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トップが語る、カンボジアビジネス(2016/5発刊4号より)
カンボジアで仕事をしたいなんてことは全く思っていませんでした(1/2)

1970年にカンボジアの地に足を踏み入れた父が運送業を始めた。両親が別居する中、母とタイで過ごしたクリストファー・トーマス氏にとってカンボジアのことを気にも留めなかったという。ところがその後、物流会社を父から引き継ぐことになってしまった。
はたしてトーマス氏の目に映ったカンボジアの姿はどのようなものだったのだろうか。

カンボジアに来たきっかけ

学生時代をタイで過ごし、父の会社を継ぐためカンボジアに来たクリストファー・トーマス氏。当時のカンボジアの印象とは。

 私たちの会社は1999年、今とは別の名前で始まりました。当時はカンボジアがWTOの加盟国になって、一般特恵関税制度(GSP)を利用してヨーロッパ諸国に輸出できるようになって、そういう時代でした。

会社を設立したのは私の父です。父がカンボジアに来たのはおそらく1970年だったと思います。父は1980年代から長い間運送業をやってきました。最初の拠点はシンガポールでしたが、シンガポールやマレーシアからカンボジアに移る顧客の動きに合わせ、拠点をカンボジアに移しました。

私は母と約10年間、タイのチェンマイで過ごし、高校、大学はタイの学校を出ました。大学卒業後、2007年にカンボジアに来ました。家族経営の企業によくあることですが、父の仕事を手伝いに来たのです。現在は父が退き、私が会社の指揮を執っています。

正直言って、カンボジアに何か特別な思いをもって来たわけではありません。ここに来るまで、カンボジアがどんな国なのか知らなかったし、気にも留めませんでした。もちろん父がカンボジアで働いて、会社を持っているのは知っていましたけどね。しかし大学生の時にサマージョブのような、短い就業体験をカンボジアでしました。そうやって長い時間をかけて、ゆっくりとカンボジアのことを知っていったのです。それでもカンボジアで仕事をしたいなんてことは全く思っていなかったです。大学を卒業した時に父が、よかったら見においでと声をかけてくれて、来てみて、こうなりました。もうずいぶん前のことです。

若くしてカンボジアに渡ったトーマス氏がカンボジアで学んだ文化や働き方。

 カンボジアに来たばかりのころは、楽ではありませんでした。まだ25、6歳で若かったですし、カンボジアは私の育ったタイとは全く違いました。イオンもない、おしゃれなレストランもない。今はなんでもありますけどね。でも当時は、全く違っていました。そしてカンボジアのコミュニティで同年代の友達を見つけることはとても難しかったです。すべての人が私より年上、40歳や50歳の人ばかりで、だからそういう年上の人たちと一緒に、自分をもっと成熟させなければなりませんでした。簡単ではなかったです。ここに住むことに慣れるのに1年半くらいかかりました。

しかしビジネスという観点でいえばそれは学習の機会でした。だから大変だったとは言いたくありません。ゼロからスタートして、得たものそれをすべてを吸収していくのは楽しく、それはそれほど難しくはなかったです。ただカンボジアの人々、文化、働き方を学ばなければならないというだけでした。

海外に行って、ほかの国と同じことができるとは思わないほうがいいです。カンボジアの文化や人々、どうやったら彼らと一緒に働けるかを理解しなければなりません。会社を成長させるためには、カンボジア人から知識を得る必要があります。すべてを自分でやろうとするのは、あまりいいことではないでしょう。地元の人々と協力することが非常に大切です。

ビジネスで大切にしていること

多様化する顧客の要望にどう応えるか。そのために必要なこととは。

 私たちの会社はカンボジアですでに15年続いていることになります。私たちの会社は国や顧客とともに成長し、サービスを多様化させてきました。以前は靴や服の入ったコンテナひとつを運ぶような簡単なものだった顧客の要望が、ここ2,3年はもっと多様で難しくなっています。繊維製品だけでなく他の品目、果物や家具家財などの輸出入が増えています。

カンボジアの非常に速い発展に適応し、新しい顧客の、新しい要望に応えたサービスを提供していかなければなりません。カンボジアでは誰もやったことがないことを、自分でやってみながら学ぶ必要があります。私たちは会社設立当初、繊維市場に焦点を当てていましたが、徐々に繊維産業だけでなく他の産業とも関わることができるようになりました。1999年に3,4人で始めた会社が、現在では70、80人以上にまで成長しました。

ビジネスのメリット・デメリット

カンボジアのビジネス環境の変化、その影響とは。

 カンボジアでの運送業は競争が激化し、空運、運輸海運はともに輸送スペースを奪い合っている厳しい状況です。しかしビジネス環境という点でいえば、陸・海・空による運送は、以前より透明化が進み、顧客の要望をかなえるという意味においては簡単になったと思います。

陸道路が改善されてきたのはここ1,2年くらいです。以前は道路の状況、特に国内路線の状況は非常に悪く運送が困難で、コストもかさみました。しかし現在、政府も以前より透明性が増して、コストも安くなってきました。運送だけでなく総合的に、カンボジアのビジネス環境は改善していると思います。

カンボジアビジネスの利点、課題とは。

 カンボジアでビジネスをする際の利点は、運送業だけでなく一般に資本を100パーセント保有できることでしょう。ローカルシェアを得なくていいというのは、隣国のタイやベトナムと比較したとき外国人投資家にとって非常に大きな利点となります。

一方でカンボジアは税関職員の質が低いとよく言われますが、私はそうは思いません。誰も彼らに正しい手順を見せていないからです。まずは彼らに対する教育が必要です。たとえば10年以上繊維品だけを運んできた運送業者のところにある日誰かが突然「花を運んでほしい」と言ってきてもどうしたらいいかわかりませんよね。経験がないわけですから。税関職員もそれと同じことで、だからまずは教育が一番重要だと思います。

トーマス・インターナショナル・サービス
General Manager
クリストファー・トーマス
Christopher Thomas
1970年にカンボジアの地に足を踏み入れた父が運送業を始めた。両親が別居する中、母とタイで過ごしたクリストファー・トーマス氏にとってカンボジアのことを気にも留めなかったという。ところがその後、物流会社を父から引き継ぐことになってしまった。
はたしてトーマス氏の目に映ったカンボジアの姿はどのようなものだったのだろうか。

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