関係者の方々がWin-WinになるM&Aの成約のため、最高品質のM&A支援サービスを提供しているニサイ。業界では確固たるブランド力を持ち、その存在は知る人ぞ知る。しかし、その会社を創業したのはなんと23歳(当時)のカンボジア人女性だ。タイや豪州の同種のビジネスを参考にシステムをローカライズ。週に1件の売買を成立させることを目標にしつつ、将来は海外展開も目指している。
―――このようなユニークなビジネスを始めたきっかけは何ですか。
テップ・マラ(以下、テップ) このビジネスを始めたきっかけは、3つです。1つ目は、2012年、サービスアパートメントのビジネスで大きな黒字を作った。とはいえ、資金があまり無かったので、新規事業としてサービス業で何かやろうと考えていたところ、ビジネスを売りたくても売れずに困っている人を見て、仲介業をやることを思いつきました。お店やビジネスを売りたくても、マーケティングリサーチが不得手で買い手が見つからない。もし見つかったとしても、そのビジネスに色んな問題を抱えている場合が多い。そうした問題を解決するサービスが必要でした。また辺りを見渡せば、資金的に余裕のあるカンボジア人の若者が安易にビジネスを始めるケースが増えていたので、今後は失敗する人も増えるだろうと予想し、ビジネスチャンスだと思いました。
―――どのくらいの取引実績がありますか。
テップ 顧客の数は対前年比で売り主・買い主共に2割から3割増えています。1ヶ月あたり30件ほどの問い合わせがあり、そのうち5~10件は売買を成約させています。
―――売り主が自分のビジネスを販売する主な理由は何ですか。
テップ 色々ありますが、ビジネスの知識や経験の不足、忍耐力の不足や運転資金の不足などです。もう一つの大きな理由は、ビジネスを経営する上で、きちんとしたマーケティングリサーチをしていないなどです。親が裕福で資金的に余裕がある若者が周囲を見て、自分もやりたくなるケースが多いですね。そしてスタッフも定着しない。
―――買い主があなたを通してビジネスを購入する主な理由は何でしょうか。
テップ 理由は2つあって、1つはスピードです。ビジネスが続けられなくなったら「ニサイで売る」と直ぐに言われるほど定着しています。売れなければズルズルと負債が増えるかもしれない中で、最悪でもデポジットくらいの資金は手元に入る、つまり売買の成約が早いという定評があります。
早い理由は、私達には約3万人の買い主リストを持っていること。中には、外国人のお客様や不動産会社などのエージェントもいます。また、フェイスブックページのマーケティングは大事にしており、現在は約15万件のいいね!があります。掲載した売り情報は潜在的な買い主に瞬く間に共有されます。最短でその日のうちに売買が成立することもあります。傾向として売りに出たビジネスを買う人は、同業他社である場合が多く、彼らは業界の状況など知識や経験があるため、直ぐに買います。
もう一つの理由は、信用だと思います。私達のビジネスと同じことをする個人ブローカーの中には、第三者のためにする契約を行って(いわゆる三為業者)、サヤを取る者もいます。私達はそのようなことはしません。買い主、売り主双方にとって公平中立な立場で、とにかく迅速に転売を行うことをモットーにしています。
―――売買を成立させるとき、最も難しいことは何ですか。
テップ 売買価格の調整です。ゼロから創業するよりも3割 から6割の投資額で買い主がビジネスをスタートできるよう な価格設定を心がけています。売り主は高く売りたい、買う 主は安く買いたいわけですが、どちらも気持ちが移ろいやす く、私達もコントロールができません。話の内容もコロコロと よく変わります。特に買い主は、3日間経てば気持ちが変 わってしまいます。
―――創業してからいろんな困難があったと思いますが。
テップ このビジネスを創業した年は色んな問題があり、解決するたびに勉強になりました。双方の顧客に安心を与えるサービスを構築するために、少しずつ必要な知識や経験を積んできました。例えば、売り主が本当のオーナーでない場合や、買い主が本当の買い主でない場合もありました。税金や管理費未払いなど売り主が細かいことを開示しなかったことでのトラブル、デポジットの受け渡しにおけるトラブルもありました。また、カンボジアの場合は不動産の名義確認など公務員を相手に仕事をすることは大変です。そのようなトラブルは、私達が顧客の代わりに被ることで経験を積み、乗り越えてきました。
―――日本の投資家にメッセージはありますか。
テップ カンボジアと日本の間には昔から良い関係があります。しかし、経済支援も嬉しいのですが、もっとビジネスとして日本人投資家に入ってほしいです。日本のプロダクトやサービスの品質は皆が信用しています。フン・セン首相が今日の政治の安定を築いてくれていますし、レイバーコストも比較的安いです。また、カンボジア人の若者も日本人と一緒に仕事をしたいと思っていると思います。
(取材日:2019年12月)
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