カンボジアに進出する日系企業のための
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経済特区(けいざいとっく)とは、経済発展のために法的、行政的に特別な地位を与えられている地域を指す。英語では “Special Economic Zone” (SEZ)。日系の製造業のカンボジア進出先として注目されている。

カンボジアの経済特区の歴史は浅く、認可第一号は2006年のポイペト経済特区、稼働第一号は、2008年のプノンペン経済特区となる。電力、給水、下水、排水処理、固形廃棄物、環境保護等のインフラがすでに整備されていること、通関、検量、原産地証明、労働許可等のカンボジア政府への役所手続を行うワンストップ事務所を有していること等が特徴に挙げられる。現在32か所が認可を受けているが、実際にインフラ整備が整い企業が入居している特区は限られている。

1.プノンペン経済特区(PPSEZ)
会社名:プノンペン経済特区社(Phonom Penh SEZ Co.,Ltd)

カンボジア華僑と日本の不動産デベロッパーによる合弁会社。日本人担当者も常駐している。プノンペン唯一の経済特区で、プノンペン中心地からも車で45分程の好立地。独自の発電施設、上下水処理施設、通信施設など、カンボジアでは最もインフラが整っているとされる経済特区。カンボジアには下水処理施設がほとんどないのが現状だが、PPSEZでは、下水処理施設を完備している。SEZでここまでの上下水道施設を備えているのは、現在ではPPSEZのみ。
物流にはプノンペン港、シハヌーク港、プノンペン空港の三つを使う。稼働している66社のうち日系企業が37社を占めている(2014年2月時点)。
http://www.ppsez.com


メインゲート 写真提供:PPSEZ

2.ベトナム国境地区(2か所)

ベトナム親工場とのオペレーション、ホーチミン港を利用する場合など。

3.シアヌークビル地区

シアヌークビル港を利用した海上輸送である場合など。

シアヌーク港経済特区(SPSEZ)
(Port Authority of Sihanoukville: PAS)

シアヌークビル港公社(PAS)が開発・運営した、国内唯一の「公的な経済特区」。日本の ODA 事業として建設されており、高水準のインフラが整備されている。
カンボジアの海の玄関口に繋がる唯一の港湾隣接型SEZ。製品を製造する場所と原材料・部品が輸出入される場所が直接繋がっていることで、国内輸送の手間がなく、時間とコストの大幅な削減が可能となる。
また、SEZと港のコンテナターミナルとを一ヵ所のゲートで直結することで、迅速な輸出入貨物の出し入れが可能で、通常の手続きよりもスムーズな通関を行うこともできる。
http://www.pas.gov.kh/beta/spsez/index.php


シアヌークビル港SEZの景色 写真提供:SPSEZ

4.タイ国境地区(コッコン、ポイペト)

タイ親工場とのオペレーションの場合など。

■経済特別区制度のための法制度

カンボジアでは2005年に「カンボジア経済特別区委員会(CSEZB)」が設立され、同年に「経済特区の設置と運営に関する法令 No.148」経済特別区制度が導入された。

■経済特区の定義

  1. 面積50ヘクタール以上
  2. 経済特別区管理事務所(SEZ Administration Office for One-Stop-Service)の設置
  3. すべてのインフラ供給(電力、給水、下水、排水処理、固形廃棄物、環境保護等)

■入居企業への優遇措置

  1. 関税その他の税に関し、他のQIPと同様の優遇措置の対象になる
  2. 付加価値税を0%とする優遇措置対象の特区内投資家については、生産投入財輸入時において免除される付加価値税の額が記録され、製品として輸出時に記録が消去される。製品を国内に出荷した場合には、記録に従い、その量に応じた付加価値税を支払う事を要する。
  3. 特区における全ての投資収益や特区内で受領する給与を国外の銀行に送金できる権利を有する。
  4. 外国人としての非差別的取り扱い、非国有化、自由価格の保証が与えられる。

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