カンボジアに進出する日系企業のための
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TOP INTERVIEW
トップが語る、カンボジアビジネス(2016/5発刊4号より)
カンボジアで仕事をしたいなんてことは全く思っていませんでした(2/2)

1970年にカンボジアの地に足を踏み入れた父が運送業を始めた。両親が別居する中、母とタイで過ごしたクリストファー・トーマス氏にとってカンボジアのことを気にも留めなかったという。ところがその後、物流会社を父から引き継ぐことになってしまった。
はたしてトーマス氏の目に映ったカンボジアの姿はどのようなものだったのだろうか。

カンボジア人との働き方

カンボジア人スタッフを教育する際に、彼らとどう向き合うのか。

No.1からの続き
 この国で働くときは、この国の人たちの考え方や彼らがどうやって働くのかを知ったうえで、彼らと一緒に働かなければなりません。彼らに口で「これをしろ、これはするな」と指示することはできません。彼らを助け、指導し、やり方を実際に見せる必要があります。まるで兄貴ですね。兄弟姉妹を助け、手本を見せる。これはシンガポールやマレーシア、タイなどとは全く違う点です。

 この国には、運送のやりかたを教える学校はありませんから、運送のノウハウは実際にやって学ぶしかありません。ここに長く務めるスタッフにはみんな、父が全て教え込みました。ハンズ・オンのアプローチが必要不可欠です。スタッフとの距離を非常に近くしなければなりません。彼らを100パーセント自分の手で育てなければなりません。時間と努力が個人と企業両方に必要です。私がここに来た時と同じです。運送に関しては何も知りませんでしたから、ゼロから学ばなければなりませんでした。

 これはどれだけ時間がかかるかではなく、どれだけ我慢強くなれるかということだと思います。個人的な見解ですが、カンボジアの人々は非常に習得が速いです。しかし彼らを正しく、忍耐強く導かなければなりません。時間がかかるし、簡単なことではありません。しかしもし彼らに誠実さを見せれば、彼らも同じように、あなたについていき、長い間あなたのために働くでしょう。しかしこれはギブアンドテイクです。与えなければ得られない。

トーマス氏が思うカンボジアという国ならではの魅力とは。

 カンボジアの好きなところは、暮らしが非常にシンプルなところです。タイやシンガポールのように複雑なことや競争に勝つことに喜びを見出したりはしません。5年前は今よりもっとシンプルだったように思います。

 ここの人々は素晴らしくて、面白くて、素敵だと思います。確かに、みんながみんなカンボジアに暮らすことを好きになるとは思いませんが、もしあなたがカンボジアを住みごごちいいと思ったなら、私が暮らしがシンプルで好きだと思ったのと同じように、ここでの生活を理解し、楽しめると思います。人々はとても純粋です。笑顔にあふれていて、面白くて、正直です。ほかの発展途上国ではなかなか無いことだと思っています。

 父はこの国が本当に好きでした。そして、この国の人たちとともに働くことを楽しんだと思います。それもまたこの会社が続いている理由でしょうね。

日系企業へのメッセージ

カンボジアでビジネスを成功させるために必要なこととは。

 まず重要なのは、カンボジアは中国ではないと理解することです。ビジネスをする場所がカンボジアであることをきちんと理解しなければいけません。他のアジア諸国のようにうまくいかないからと言って、カンボジア人の働き方を過小評価してはいけません。カンボジアにはカンボジアのビジネスのやり方があります。

 この国でビジネスをするなら、まず最初に人々やビジネスの文化を学び、理解するのがおすすめです。日本と同じビジネスではここでは通用しません。この国の人々は非常に繊細です。少なくとも数か月はここにきて環境や文化、人々の生き方、働き方、モチベーションなどを勉強する必要があると思います。政府や法律を学ぶことも重要でしょう。なぜならカンボジアはほとんどの東南アジア諸国とまったく異なっているからです。しかしもし理解することが出来たら、それは良いスタートとなるでしょう。

トーマス・インターナショナル・サービス
General Manager
クリストファー・トーマス
Christopher Thomas
1970年にカンボジアの地に足を踏み入れた父が運送業を始めた。両親が別居する中、母とタイで過ごしたクリストファー・トーマス氏にとってカンボジアのことを気にも留めなかったという。ところがその後、物流会社を父から引き継ぐことになってしまった。
はたしてトーマス氏の目に映ったカンボジアの姿はどのようなものだったのだろうか。

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