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2020年3月11日
カンボジア進出ガイド

【飲食・観光】

312 カンボジアの観光・飲食②(2020年1月発刊 ISSUE11より)

飲食業 The restaurants

 政府は、毎年同国を訪れる約500万人の観光客の質と衛生を確保する努力の一環として、国内2000軒以上のレストランに営業許可証を発行しており、シェムリアップとプノンペンでは特に高品質のレストラン需要が増えている。また、国内の日本食レストランは210店を超え、その大半はプノンペンに集中していいる。外食産業への追い風は2020年以降も続くだろう。



 生鮮食品を得意とする日系卸業ロカフード&ビバレッジの今出川美紀氏は、「2018年の初旬からプノンペン中心部において飲食業界全体が拡大している実感があり、2019年はそのトレンドがより顕著になってきていることを肌で感じています。内装設備が充実したカフェも依然として増えており、中華系を中心に様々な外資系飲食店も次々とオープンしています。また、小売業界も同様に伸長しています。従来はローカルの市場や個人商店が一般的な購買の場所でしたが、この1、2年でチェーン展開を前提とするショッピングモールやスーパー、コンビニ業態が外資系、現地系共に多く参入してきています」と外食産業を取り巻く環境について言及した。



 急成長する飲食業界の動向について、日本食品の卸業として老舗のダイシン・トレーディングの小池聡氏は、「日本食ブームは始まっています。私達プレイヤーは、輸入・仕入れの点でいち早く効率化を図り、多様な商品展開と輸送コストの軽減による価格の維持に注力することが重要です。安価な価格設定は重要ですが、国の発展に伴って輸出入に関わる法制税制が整ってきているため、違法で安価に輸入を行うような企業は存続が不可能になります。正規の方法で確かな商品をお届けし、安心して手に取っていただくことは確実に行いながら、効率の良い仕入れと輸送によって価格の安定化を図る必要があります。私達は本年より、陸続きのタイにも目を向け、バンコクでの買い付け強化体制に取り組んでいます。より効率の良い輸入方法を探したり、新しい商品を展開できるよう頑張っています。また、メーカー様との連携が欠かせません。伸長傾向とはいえ、まだまだ成長過程であるカンボジアの日本食市場です。中長期的な視点をメーカー様、商社様と共有しながら、商品とブランドの浸透に努めています」と語った。

 また、市場調査会社ARCのレポートによると、カンボジアの冷凍食品市場は、2024年までに市場規模が1億1965万ドルに達すると予測されている。2019年から2024年の間の年平均成長率は3.9%となる。成長の要因は西欧料理の影響が大きいことと、観光業の活況による。需要が高まる要因として、ターゲット消費者である在住外国人や観光客の増加が挙げられるが、最近ではカンボジア人の食卓も、主菜・副菜が少量かつ豊富化しつつあるほか、冷凍食品は食品安全性も高いと認識されている。

ハラール認証 Halal certification

 商業省によると、2018年に以降、47社の地元企業にハラール認証が付与された。ハラール認証制度が法的に運用されている国々へハラール製品として輸出する際には、輸出相手国のハラール認証機関から正式に承認を受けた認証団体が発行したハラール認証書が必要になるが、ムスリムに飲食サービスを提供する飲食店も厳格なハラール基準に基づき認証されている。

 現在、70社以上がカンボジアのハラール認証団体に申請中で、証明書の取得までには約1か月かかり、職員による現地監査も含まれている。関係者は、「企業はが認証書の取得を希望する場合、ハラール基準に厳密に従って食品が準備されるようにする必要があります」と述べた。

 カンボジアイスラムビジネス協会の会長のレイ・ヴェスナ氏は、「カンボジアでのハラール食品の需要はまだ比較的少ないが、成長する余地は十分にあります」と述べ、またハラール認証を取得したパークカフェの責任者は、「イスラム教徒の国への直行便が増加する中で、レストランはイスラム教徒の顧客を引き付けることができる。プノンペンの中心部とシェムリアップでイスラム教徒のコミュニティの数が大幅に増加した場合、より多くの店舗のハラール認識を検討するでしょう」と述べた。

ホテル業 The hotel

 ホテルがカンボジアのホスピタリティ業界に重要な役割を果たしている。観光省によると2018年9月現在、カンボジアには現在800以上のホテルがあり、合計で46000を超える客室があるが、外国人観光客や国内観光客の増加に直面するため、今後10年間で少なくとも10万部屋が必要になると予測している。

 不動産コンサルティング会社であるナイトフランクによると、プノンペンで営業している50室以上のホテルは83軒にのぼり、2018年1月から2019年6月の間に6つのホテル、合計773部屋が追加されたことによって、総客室数は1万1120室になった。これは主にプノンペンに訪れる中国人観光客の増加と需要を受けて、高級ホテルが増えている。同社は、今後の観光市場の変化から、2019年以降のホテルの供給はハイエンドクラス40%、ミドルクラス38%、エコノミークラス22%になると予測している。


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