カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

STAFF VOICE

(2020/1月発刊11号より)

自分で考え自立して働くことが求められるこの職場で、多くの新しい学びを得ています
JC Agricultural Cooperatives Co.,Ltd
ジェネラルオペレーションオフィサー ノウン・クンティー
コンポンチュナン出身、バッタンバン在住。学校受付、大手通信企業勤 務を経て、2017年5月にJCAC入社。1歳の女の子を持つ母でもある。

農業未経験から、新しい農業技術を農家に届ける日本企業に勤めて3年目。新しい学びに貪欲で向上心あふれるクンティーさんに、カンボジアの農業やご自身の仕事に対する思いを聞いた。

幼少時代~学生のころ

 子どものころは農業の道に進むことは考えていなかったというクンティーさん。

 「会計学を学び、銀行で働くことが小さい頃の夢でした。でも地元の大学には会計学の学部がなく、英語を専攻することにしたんです」

 英語を習得したことでクンティーさんの将来の選択肢は広がり、大学卒業後は、地元コンポンチュナン州にあるインターナショナルスクールの受付や大手通信企業に勤めた。

転機

 結婚を機に、カンボジアでは珍しく夫の家族と同居することになったクンティーさん。バッタンバン州へ引っ越すため、転職が必要になった。せっかくの機会だから今まで挑戦したことのない仕事をしてみたいと選んだのが今の仕事だ。

 「まず考えたのは、新しい挑戦をしたいということでした。農業の分野に決めたのは、カンボジアの国や国民にとって力を入れるべき大切な分野だから。今の会社で働くことに興味を持ったのは、私が新しい農業技術を身に付け、それを農家に伝えていくことができれば、それがひいては農家の人たちの知識や技術となって、彼らの収入や生活の向上に貢献できると思ったからです」

 第一次産業はカンボジア全体のGDPの約3割を占めており、重要な産業だが農家の収入は低い。

転職

 2回の選考を経て採用され、2017年5月に今の会社に就職した。以来、ジェネラルオペレーション・スタッフとしてバッタンバン州の農家を回り、農業用ドローンを使って農作物の生育状況をチェックする新しい技術サービスを提供している。日々の業務は、農家を訪問し農業用ドローンの紹介や操作を行うこと、またトラクター等の機械修理や支払管理、営業販売部門の管理、日報の作成などである。

大好きな職場

 今の職場が本当に大好きだというクンティーさん。

 「自分で考えて働くということを大切にしている会社だと思います。全部教えてもらい、教えてもらった通りに作業をこなす、というスタイルではなく、何をすればよいかをまず自分の力で考えてみるという機会をいつも与えられてきたので、自分で考えて行動する習慣が身に付いたと思います」

 その他にも、職場の好きなところを挙げてもらうと、農業の新しい技術を学べるところ、スタッフ間で協力し助け合う関係が築けているところ、先輩たちが忍耐強く後輩を理解してくれようとするところなどだそうだ。 そういった職場だからなのか、仕事で困ったことや悩んだことも特にないという。

 「もちろん、初めて農業用ドローンを飛ばしたときなどは、失敗してドローンが落ちてしまったらどうしようと緊張したこともあります。でも不安があるときは、どうしたらその不安が解消するか考えます。そのときは、仕事以外でもユーチューブでドローンの使い方の動画を見て勉強し、不安を解消しました。分からないことや不安があるとき、職場の先輩に答えを求められる環境は整っていますが、人に聞く前にまずは自分で考えてみることが先だと思っています」

 カンボジア人は向上心が高く、勉強熱心だと言う経営者が多い。ただ、一方で何か不安を感じていても言わないことが多いのも特徴だ。

患者さんの子供の笑顔を見るのが大きなやりがい

ファイナンシャルプランナーとして勤務する以上、クライアントの不幸は免れない。土日はクライアントが入院する病院へのお見舞いやクライアントの葬式の参加などがほとんどだという。しかし、生命保険を契約していたことで金銭的な負担が無く生活をできているクライアントが多く、ほっとする毎日だという。

 「クライアントの多くは妻子ある方ばかりです。クライアントの不幸は大変悲しく不安に感じます。しかし、それ以上に悲しいのは残された子供達の行く末です。私もまた、同じ立場だったので、ちゃんとご飯を食べることができているか、学校には通えているかなど心配ばかりです。しかし、クライアント宅を訪問して元気に走り回っている子供達を見ると悲しみも和らぎ、本当に心からこの仕事をしていて良かったと思える瞬間です」と涙を交えながら話してくれた。

農業用ドローンが農家にもたらすもの

 バッタンバン州の農家に農業用ドローンを紹介するこの仕事に、クンティーさんはやりがいを感じている。

 「新しい技術は農家の役に立ちます。例えば農業用ドローンを使えば、人間が隅々まで歩き回って農作物の生育状況を確認する必要がなくなるので、特に広い農地を持っている農家の方は、作業時間も労力も削減できます」

 農業用ドローンのような機械が、農作業の効率を大幅に上げてくれることをより多くの農家に知ってもらうために奮闘している。

日本人からの学び

 日系企業で日本人と働いて得た学びも多いそうだ。クンティーさんにとって、以前から日本という国が仕事や生活における良いお手本というイメージがあったが、実際に日本人と働いてみてそれを実感したという。

 「日本人は時間や規則を守り、明確な目的を持って真面目に仕事に取り組みます。彼らは自立して働いていますし、その姿を見て、私たちにも自立した働き方、自分で考えて行動する姿勢が求められていると気づかされました。新しい知識や体験にもオープンなので、お互いの知識や考えを喜んでシェアし合えるところも良いと思います」

将来の夢

 バッタンバン州の農家に農業用ドローンを紹介するこの仕事に、クンティーさんはやりがいを感じている。

 「新しい技術は農家の役に立ちます。例えば農業用ドローンを使えば、人間が隅々まで歩き回って農作物の生育状況を確認する必要がなくなるので、特に広い農地を持っている農家の方は、作業時間も労力も削減できます」

 農業用ドローンのような機械が、農作業の効率を大幅に上げてくれることをより多くの農家に知ってもらうために奮闘している。

農業用ドローンが農家にもたらすもの

 向上心にあふれ、上司からも信頼の厚いクンティーさん。いつかは自分のビジネスをしてみたいと夢見ているが、「今は会社に認めてもらえるくらい自分の力を出し切って、昇格できればうれしいです。自分の仕事が、カンボジアの農家・農業への貢献にもなればと思います」と笑顔で答えた。

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一緒に働く上司のコメント


ジェネラルオペレーション・スタッフ チェン・サンポア
 彼女はフレンドリーで仕事熱心なスタッフです。職場の上司や後輩問わず誰とでも良好な人間関係を築いていける人です。責任感が強いので、時には頑張り過ぎなくらい、いつも仕事を最後までしっかりやり抜いてくれます。小さなお子さんの面倒も見なければならないとき、職場で面倒を見ながら、残業してくれたこともありました。今後もぜひ活躍し続けてほしいです。


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