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2020年3月11日
カンボジア進出ガイド

【法務・会計】

299 カンボジアの法律・税務・会計①(2020年1月発刊 ISSUE11より)

カンボジアの税収と税制優遇処置 The Cambodian Tax syste mand Tax incentive treatment

 経済財政省によると、税務総局と税関総局による2019年の税収が合計で60億ドルにのぼり、目標額の45億6000万ドルから大きく上回った。税務調査や租税債務の管理強化、追徴課税等の担当者へのインセンティブ支払制度等の施策を通して各年度財政法にて設定された予算に基づき、政府は徴税体制を強化している。

 更に主たる施策として、税務登録義務があるにも関わらず登録を怠っている事業者への登録促進、新システム・全納税者の再登録手続の運用強化・電子登録申請制度などのICT化の推進などを進めている。また、付加価値税(VAT)還付申請に関して、売上VATと仕入VATを管理するため、税務総局はオンライン登録システムの運用を開始した。

 カンボジアは急速な経済成長と安定した政治情勢を反映して、通関や消費税の増加をもたらしている。

 様々な税制優遇措置が行われている。カンボジア人の雇用創出を目的に、カンボジアの特定産業(農業、食品生産加工、手工芸品の製造、廃棄物処理、IT研究開発)の中小企業に対して、所得税の免除などの税制優遇措置を行う閣僚会議令が2018年10月に公布された。また、従業員や研修生が海外で働くための求職、職業訓練、派遣や管理などの人材関連サービスは、VATが免税とされている。

税務に絡む経営課題 Management Challenges Involvedin Tax



 カンボジア税務の特徴として、税制度の大枠の整備はされているものの、細則の整備が遅れており、税解釈が多岐にわたることが多いことから納税に対する予見が困難であることが挙げられる。

 カンボジア進出検討段階から設立後までの会計・税務業務などをワンストップでサービスする東京コンサルティングファームの安藤朋美氏は、「発展途上国なことから、まだまだ発展の余地があり、ビジネスチャンスも沢山あるように感じます。一方で、税法や労働法など法律は毎年頻繁に変わり、年々規制も厳しくなってきており、情報を追っていかないと政府機関より罰則を受けてしまうということも多発しております。また、まだまだ輸入に頼っている上にカンボジアはあまり多くの国と租税条約を結んでいないために、関税が高く、物価は高く、光熱費も高く、人件費も最低賃金の影響で高くなってきており、多くの企業が経営を続けることに苦労しているようにも見受けられます」と語る。

 カンボジアの税務申告業務は近隣他国に比べて煩雑であるのも特徴だ。毎月、月次ベースでの税務申告書類の作成・提出が義務化されており、また年間の法人税額が確定する前段階で毎月納付すべき税金もある。ルールや手続が極めて煩雑である一方、制度自体が未整備なまま急な制度変更が実施される事も多々あり、進出企業を常時悩ますリスク要因の一つにもなっている。カンボジアの税務の問題点については対応が難しい部分があり、正しい知識を持った専門家に意見を聞くことが大事になるだろう。



 カンボジア初の日系会計事務所であるアイグローカルのマック・ブラタナ氏は、「税務総局内で新規税務登録・税務登録更新手続を改善するため、様々な変更が行われていますが未だ整備が追い付いておりません。承認担当者が変更となった場合、申請方法も異なりますので、以前と同じような必要書類を準備しても次回申請の時に当局の担当者により追加書類を提出するように依頼されることが多いです。税務総局とのやり取りには相当時間を要し、登録項目にミスや認識の相違が無いよう、提出時に申請目的を伝えることに気を付けないといけません。直近の実務では、税務登録証明書発行や税務登録更新完了までは約2ヶ月程度要しています」と語る。


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