カンボジアの小規模事業向け融資残高は2025年第1四半期末時点で352億4000万ドルに達し、前年同期比で0.3%増加した。一方で融資口座数は1.82百万口座に減少し、前期比0.8%の減少となった。
カンボジア信用情報機関(CBC)の最新報告によれば、2025年第1四半期における中小企業向け融資残高は352.4億ドルに達し、前期比で0.3%増加した。一方、融資件数は0.8%減の約182万件と微減しており、借入需要の一部停滞が見られた。
小口事業融資の申請件数は前期比5.7%減少したが、申請総額は増加し、資金需要の一層の高まりが示唆されている。特に農業向け融資申請は15.5%増、運転資金向けは3.3%増と堅調であった一方、建設向け申請は19%減、金額ベースでは51.4%と大幅に落ち込んだ。
注目すべきは、30日以上の延滞を示す「30+ DPD」比率が前期の8.3%から9.0%へと上昇した点である。これは、信用の質がやや悪化している兆候であり、特に建設業向け融資では延滞率が21.0%に達している。延滞率9%は先進国では重大なリスク水準とされており、21%という数値はすでに債務不履行(デフォルト)リスクが顕在化しつつある可能性を示している。
さらに、CBCのデータでは、借入者の64.8%が単一の金融機関としか取引を持たず、49.2%が1口座のみ保有している。これにより債務返済の多様化手段が限られている層の存在が浮き彫りになっている。
カンボジア銀行協会(ABC)の広報責任者ソク・チャン氏は、「信用供与の伸び率は2023年の5%から3%へと鈍化した」とし、その要因として建設・観光・小売分野の需要低迷と、貸し手側の慎重姿勢を挙げた。一方で、預金は16.3%の伸びを示し、金融システムの健全性を支える強い資本基盤と高い流動性が維持されているという。