カンボジアは2025年1月から4月にかけて、縫製品、繊維、履物、旅行用品の輸出額を45億8000万ドルとし、前年同期比で約22%の増加を記録した。これは、縫製部門の31億4000万ドル(前年比21%増)、繊維の1億8050万ドル(19%増)、履物の6億2320万ドル(37%増)、旅行用品の6億3530万ドル(13%増)によるものである。これらの数字は関税総局の報告によるものである。
カンボジア労働職業訓練省の報道官は、「この成長は、世界的な政治・経済の不確実性の中においても、カンボジア経済の堅調さを反映している」と述べた。
同国の縫製関連産業は現在、約1538の工場・支社を擁し、約91万3000人の労働者(主に女性)を雇用している。これらの産業はカンボジアにとって最大の外貨獲得源である。
しかし、カンボジアの縫製品、繊維、履物、旅行用品部門は、米国が最大の輸出先であり、例年その輸出額の約37~40%を占めていることから、今回の輸出増加には、米国における追加関税発効を見越した駆け込み需要の影響が含まれている可能性が高い。
追加関税の発動を控えて、米国の輸入業者が在庫確保のために発注を前倒ししたとすれば、その反動で今後の数カ月における輸出が減少するリスクが存在する。
さらに、米国側が関税の恒久化または調達先の多様化を進める場合、一時的な輸出増が持続的な利益に結びつかないリスクが高まる。中長期的には、カンボジアにとって、販路の多角化と高付加価値商品の育成が急務である。