2014年12月10日
――国際貿易会社として初の進出だったわけですが、その過程はいかがでしたか?
ラム・ブイ(以下、ブイ) そうですね。チャンスと挑戦の連続でした。チャンスは大きくても、一からすべてを始めなければいけないというプロセス、例えば、雇用した人材は当然未経験でしたが、技術的な知識も多く必要とする業界です。貿易業でなくてもどんな業種でも創業時は大変なものですが、特にパイオニアは苦労の連続である分チャンスにも恵まれますね。我が社は苦難よりもチャンスに目をつけ進出し、お客様にとって輸出入の機会を提供できるということを糧にしました。全てが新しいことの連続ですから、商品をただ運ぶということでなく、お客様のご要望や反応をその都度しっかり受け留めて前に進むこともできます。カンボジア政府の協力もあり、スムーズに進んでいます。これらは私個人の力によるものではなく、マークス社全体としての恩恵ですね。ともかく、パイオニアとしていい機会を頂きました。
その後、カンボジアには数社が進出してきていますが、他社も良い実績を上げているようですし、競争相手ができるのは良いことですね。22年の経験を活かして少しでもお客様から選んでもらえるような存在になればと思います。
――他社としての違いを教えてください。
ブイ 消費者は常により良い業者を選択したいと思うでしょうから、いつも我が社は他社との差別化を意識しています。我が社は世界最大の国際海運会社の一部であり、それは港や業界のコネクションという形で目に見えてきます。ネットワークや港湾アクセスはもちろん、関連資材もその分手に入りやすくなります。何か運びたいものがあって行き先がわかっていても、コンテナが無ければ運べませんよね。MCCが子会社にあることも他社に対する優位性です。MCCは兄弟会社ですから、お客様のニーズをより細かく応えやすいと思います。海運会社に重要なことは船のスペース、貨物を運ぶためのコンテナ等の資材と目的地までのルートです。更に我が社は電子商取引にも力を入れています。現代はエアーチケットの予約をするにもネットが主流になってきましたが、国際海運会社ではまだまだ一般的ではありませんし、飛行機のチケットほど単純ではないので難しい面もありますが、Standard Bookingでしたら10分程度で手配が完了します。
Standard Bookingtとは、例えば特殊な要件などがなくGOHでA、B地点間の輸送などです。例えば経由地を指定するなどの場合は特殊要件となってしまいます。特殊要件に係るものがある場合でも通常2時間程度で手配が可能です。必要書類の作成から船の手配まで、そのすべての作業をオンラインで完結できます。エアー配送の場合はそうは行きません。
10分程度で手配が完了するということは早いと思いますが、実際のプロセス時間はたったの3分なんですよ。申請して結果が出るまでの待ち時間を入れて10分です。電子商取引の部門はマニラに置いています。全ての予約がここに集約されるのです。これらの点が我が社と他社の違いです。マースクを選んでいただけたらお客様には心配無用です。海運会社によっては荷物の追跡確認にかなりの時間を取られる場合もありますからね。まだ完ぺきとは言い切れませんが、着実にそこに近づいていると思います。
――カンボジアではどのような物資の輸送が多いですか?輸入の場合と輸出の場合を教えてください。
ブイ 輸出面では繊維と靴が最大です。全取引の85%程度あります。次にお米ですね。政府も来年の米輸出目標を100万トンに設定しました。上位3種で総量の95%を占めます。逆に輸入ですが、繊維業関連の素材や機械が主です。その多くが中国やマレーシアから輸入されます。これらは短距離ですのでMCCが主に取り扱います。長距離では、中古車が多いです。近隣諸国は既に中古車の輸入を禁じましたがカンボジアはまだまだ盛んです。中古車はアメリカからの輸入が多いですね。(後編へ続く)(取材日/2014年7月)