2018年6月29日
――自己紹介と会社紹介をお願いします
塩入伸雄(以下、塩入) LOKA Food & Beverage 営業&マーケティングダイレクターの塩入です。当社は日系商社S.E.A.T.S Inc.の食品輸入卸事業として2014年より事業を開始しており、今年で5期目となります。
事業としては、日本、タイ、ベトナム等のアジア周辺国を主な仕入れ先として、地方を含むカンボジア国内の飲食店、ホテル、カフェ、スーパーマーケット等へ商品を卸しております。取扱商品は比較的高価な生鮮、精肉、調味料、酒類を中心に取り揃えており、容器や調理器具など、お客様が必要とされるものであれば食材に限らずお取扱いしております。これまでにカンボジア国内の300社程度のお客様とお取引をさせていただいており、日本食に限らずフレンチやクメール系のお客様からのお引き合いも増えております。
――自社の強みは何ですか
塩入 冷凍・冷蔵の魚介系商品のラインアップの充実度と安定的な供給体制です。日本全国500社以上の仕入れネットワークを保有し、東京・築地にて24時間いつでも荷受け可能な体制を整えております。築地で競りにかかる新鮮な鮮魚に加えて、日本全国から仕入れた商品を毎週2回の頻度で、直行便にて安定的に空輸していることが当社の一番の強みです。また、コールドチェーンの確立が周辺国に比べ遅れているカンボジア国内の物流事情ですが、当社はプノンペン市内において、鮮魚は輸入即日店舗配送、冷凍品であればマイナス20℃以下の温度帯を維持して輸送できる体制を整えております。
――貴社は先日オフィスを移転しましたが、どのような背景でしょうか?
塩入 業務拡大に伴いスペースが手狭になったことが直接の理由です。当社の業態はスタッフの勤務場所に加え、冷蔵庫設置、配送用車両の駐車や在庫保管のためのまとまったスペースが必要になります。日々の配送や来客時の利便性も考慮し、ここ1,2年でレストランやアパートメントが増え注目度が上がりつつあるロシアンマーケットエリアに移転しました。
――将来の展望について教えて下さい
塩入 冷凍・冷蔵魚介系の商品では特に、他社では真似できない価格と品質を実現していきます。販路について、現在は主に現地富裕層をターゲットにした飲食店向けの商流が中心ですが、年々増大している中間層の消費需要もとらえていく目的で、今後は現地の小売り向けの商流も強化していきます。そのために、タイやベトナムといった周辺国の生産者と直接やり取りしながら、カンボジアの現地需要にフィットした商品の発掘、そして企画、開発まで手掛けていきます。既に複数の工場を定期的に訪問して協議を重ね、トライアル商品の市場投入を随時開始し、予想を上回る反応のある商品も出てきました。冷凍・冷蔵魚介系の分野で、カンボジアにおいて業界をリードする存在になりたいと考えております。
――日系飲食店の進出が拡大していると思いますが、その種類と傾向などありましたら教えてください
塩入 後半から今年に入り新規に出店される日系飲食店の数がまた増加傾向にあると思います。日本で知名度のある大手チェーン店よりも、個人オーナー様の居酒屋業態や、寿司刺身をメインで扱う海鮮系のお店が増えている印象です。また、複数の日系飲食店オーナー様からのヒアリングも踏まえると、ここ半年程度で顧客に占めるカンボジア現地の方々の割合が、徐々にではありますが上がってきた実感があるようです。この傾向が続き、日本食の市場が広がっていくことを期待しています。
――カンボジア人のお酒文化と現在の変化などあれば教えてください
塩入 カンボジアの方々は依然として国内産のビール、輸入品ではウィスキー、ワインを一般的に好むようです。一部、日本のお酒では梅酒やジャパニーズウィスキーが比較的人気ですが、市場としてはまだ限定的です。
――カンボジアの卸売業界について、特に卸売価格についてどのようにお考えですか?
塩入 日本とカンボジア間を結ぶ直行便は時間帯サービスともに非常に便利な一方で、他国のように複数の航空会社が路線を提供し競合している訳ではないので、航空運賃がタイ間やシンガポール間に比べて割高です。そして輸入に際し現地側での負担も少なくないため、それらが価格を上げる主な要因となっています。当社では各飲食店様のご要望をできる限り取りまとめて「量」を確保し、物流コストを相対的に下げる努力を日々実施しております。この点をメリットに感じ、当社にご発注いただくケースが多いようです。
――読者のみなさまに一言お願いします
塩入 今年はAEON2号店やそれに伴う複数の出店をはじめ、カンボジアの市場がまた一歩前進する年だと感じております。進出のタイミングは業種、業態によって異なりますが、カンボジアは他国に比べ小資本で出店できることが大きなメリットの一つです。”百聞は一見に如かず”というように、先ずは明確な目的を持ったうえで、現地をご視察されることをお勧め致します。
また、主にカンボジア進出関連のお問合せの増加に伴い、2018年4月より日本(東京・大阪)にも窓口を設置する予定です。カンボジア現地及び日本にて、カンボジアに精通した当社関係者がご対応致します。まずはお問合せ内容に関わらず、お気軽にご連絡ください!(取材日:2018年3月)