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業界別インタビュー

2020年3月6日

プノンペン中心部は飲食業界全体が拡大[観光・飲食]今出川美紀

飲食・観光

ロカフード&ビバレッジ LOKA Food&Beverage
営業&マーケティング担当者: 今出川美紀 Imadegawa Miki
食品輸入卸事業を中心に事業規模を拡大しているS.E.A.T.S。好調である食品輸入卸事業をブランド化したロカフード&ビバレッジでは、カンボジア国内の多様なジャンルの飲食店に食材を卸している。2019年11月のバンコク支店開設でネットワークを強化し、カンボジアでのさらなる躍進を遂げている中で、カンボジアの食品流通業界の現状と今後の展望について今出川氏に話を伺った。(取材日:2019年12月)
2018年初旬からプノンペンは飲食業界全体が拡大

―――自己紹介をお願いします

今出川美紀(以下、今出川) 現在、小売企業様を中心に営業担当をしております、今出川美紀と申します。日本の食品会社に7年ほど勤めた後、弊社に入社しました。入社したきっかけは、東南アジアを舞台に転職を考えていた際に弊社CEOの峯島と出会い、今急成長中のカンボジアで一緒に働きたいと思ったことです。異なる文化や考え方を持ったメンバーと働くこと自体が自身にとってとてもチャレンジングで、毎日学びと反省を得られる環境に感謝しています。またこの環境を活かして、日本や隣国からお客様のニーズの「少し先」を捉えたモノをカンボジアへ持ってくることにより、カンボジアの市場の活性化に貢献したいと考えています。

―――カンボジアにおける食品卸業界、外食産業を取り巻く環境について教えてください。

今出川 2018年の初旬からプノンペン中心部において飲食業界全体が拡大している実感があり、2019年はそのトレンドがより顕著になってきていることを肌で感じています。内装設備が充実したカフェも依然として増えており、中華系を中心に様々な外資系飲食店も次々とオープンしています。弊社が得意とする日本食系食材を主に取り扱う飲食店に関して言えば、客単価が20USドル前後の店舗が集客できるようになってきています。主な客層はアジア系などの外国人に加え、カンボジア人のアッパーミドル層です。後者は、経済成長をベースとした購買力の増加に伴う嗜好・興味の多様化が理由だと考えており、今後もこの傾向は継続していくと見立てています。

 また、小売業界も同様に伸長しています。従来はローカルの市場や個人商店が一般的な購買の場所でしたが、この1、2年でチェーン展開を前提とするショッピングモールやスーパー、コンビニ業態が外資系、現地系共に多く参入してきています。

購買意欲が強く拡大する市場 安定したサービスが鍵

―――そうした業界の状況の中で、貴社を含めたプレイヤーにおいてどのような影響を与えていますか。また課題がありますか。

今出川 基本的には追い風だと考えています。市場規模が拡大しているので、お客様に正しく価値を提供できている限り新たな機会を掴むことはさほど難しくないかもしれません。それは弊社はじめ既に存在する数多のプレーヤーも同様の環境にあります。クライアントのニーズの見極めと分類を行い、ターゲットに対して日々のオペレーションレベルで自社資源を効果的・生産的に投下することに注力する必要があると思います。特に、カンボジアスタッフとともに安定したサービスを提供し続けることは、継続した課題だと認識しています。

強みを生かし、新たな価値を

―――また、様々なプレイヤーがいる中で、貴社のポジションについて伺えますか。

今出川 弊社は、2014年の事業開始後6年間の間に累計約400社の企業様へサービスを提供して参りました。中でも現在は、冷蔵・冷凍の日本食を中心とした水産品を最大の強みとしています。

 豊洲及び成田市場より週3便航空貨物で安定的に鮮魚を輸入しているのは現在弊社のみで、当日に日本で競りにかかった魚を直行便で、その日のうちにプノンペンに届ける特別な物流ルートを構築しております。より安定した品質とサービスの提供を第一に目指して活動しております。

 主なクライアント様は、プノンペンや地方の高〜中価格帯の日本食レストラン様で、日系/非日系問わずご利用頂いている他、大手小売企業様数社へ冷蔵・冷凍水産品の拡充のお手伝いもさせて頂いております。2019年11月よりバンコク支店も開設しており、強みとする商品を軸に、今後はタイやベトナムの生産者とのネットワークもより強化して、新たな価値を提供していきます。

チャンスが多いが決して容易ではない

―――今後、外食産業で進出する日本企業に対して、留意しておくべき点などアドバイスをください。

今出川 カンボジアの市場は日系企業に対してもチャンスが多くある市場だと思います。とはいえ、ASEAN周辺国と比べても市場規模は小さく、都市部を含めまだまだ大半のカンボジアの方々は経済発展の恩恵を受けられていないのが実態だと思います。弊社としても、様々な側面をもつこの国での飲食ビジネスは決して容易だとは考えておりません。

 ご進出の検討の際には、実際に現地で一次情報を収集されることが重要ですが、そのためのお手伝いは弊社としてもぜひさせて頂きます。情報収集の観点で気軽にご連絡頂けたらと思います。


ロカフード&ビバレッジ LOKA Food&Beverage
事業内容:日系商社S.E.A.T.S Inc.が運営する食品輸入卸事業。生鮮、精肉を得意とし、調味料、酒類なども豊富に取り扱う。取引実績は200社以上。飲食店立上げ前後で役立つ現地企業・サービス関連情報も柔軟に対応する。
URL: http://loka-food-beverage.com/

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