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業界別インタビュー

2020年4月24日

シアヌークビルは現地人に不人気[観光]オム・パリン

飲食・観光

チャーミング・カンボジア・ツアーズ Charming Cambodia Tours
マネージングダイレクター Managing director: オム・パリン Om Pharin
2018年のカンボジア人の海外旅行は10%増え140万人に達し、多くのカンボジア人が気軽に国内、海外旅行を楽しめるようになった。1995年創業の老舗旅行代理店であり、20年以上に渡りインバウンド業を営んできたチャーミング・カンボジア・ツアーズのオム・パリン氏に今人気の観光地や今後の観光産業について話を伺った。(取材日/2019年12月)
国内最大の国際観光フェアの開催により、世界中に魅力を発信

―――最後のインタビューは2016年4月でした。最近のビジネス状況に変化があった場合はお知らせください。

オム・パリン(以下、オム) まず、取材していただき感謝します。私はカンボジアに来る観光客の数が年々増加していることを誇りに思っています。私達はカンボジアトラベルマート(CTM)と呼ばれる最大の国際観光フェアを開催しています。CTMは、2017年から毎年10月に開催してきました。私は、旅行代理店であるチャーミングカンボジアツアー社と姉妹会社として展示会などのイベントを運営するスリックブース社を持っていて、観光省からライセンスを取得しましたが、このスリックブースという会社は、CTMのコラボレーションのパートナーシップとしても任命されています。

 CTMはカンボジア最大の観光見本市として、ASEANを始め海外各国から出展者や参加者が集まります。国際的なバイヤーと国際的なメディアを招待することにより、ビジネスや旅行商品における海外と国内の企業のビジネスマッチングを支援しました。CTMを通じてカンボジアの観光的な魅力は世界中に発信され、多くの国際的な観光客を引き付けています。このことは私が皆さんに共有したいことですし、このような最大のイベントを開催するために常に私たちを支援してくれたカンボジア観光省のタオン・コン大臣に深く感謝しています。

最近ではカンポットやケップが欧米人に人気

―――外国人観光客に人気のある観光地はどこですか?場所に変わりはありますか?今後の観光地の見通しはありますか?

オム まあ、皆さんご存知のとおりかもしれませんが、カンボジア最大の観光名所はシェムリアップです。シェムリアップには多くの寺院があり、それらは世界遺産に登録されています。より多くの国際的な観光客を引き付けるため、観光省やCATA(カンボジア旅行代理店協会)などが協力し合い、この最高の観光地を世界市場に向けて宣伝しています。

 その他の場所ではカンボジア沿岸部のシアヌークビルやロン島です。特に今では、カンポットやケップが人気です。カンポットとケップには潜在的な可能性があり特に欧米人にとって魅力的な観光スポットになっています。植民地時代に建てられた様式の家がたくさん残っているほか、大きな滝を見ることができ、またボートに乗って夕日や壮大な農場を見ることができます。カンポットとケップには多くの農業があり、世界的にも有名な黒コショウの農場は人気です。

 カンポットには多くの観光名所があります。ビーチや歴史的な観光名所のほか、ボートで川を下ってマングローブの生い茂る島を訪れ、地元の漁師の漁を見ることができます。特に日本人や欧米人の観光客を惹きつけています。カンポットに隣接するケップでは、ラビットアイランド(ウサギ島)があります。そこはとても美しい島で、リラックスして泳いだり、釣りをしたりすることができますし、ビーチサイドや山の周囲をサイクリングして楽しむことができます。多くのユニークなバンガローに宿泊しながら、夕食は地元でとれたシーフードを楽しめます。

カンボジアへの直行便増加により、中国人観光客は増加の一途

―――中国人や西洋人などの外国人観光客の間で国籍に違いはありますか?違う場合はどうしてか教えてください。

オム 現在、中国人の観光客は過去3年間以来、外国人観光客の中でも最も多いです。観光省が中国人観光客の誘致を促進し、中国の多くの異なる都市からのカンボジアへの直行便が増えたことが理由です。観光客の増加と観光開発の観点から、シアヌークビルはインフラストラクチャの開発が盛んで、その将来性の高さから中国人投資家らが様々に観光開発を行っています。現在、中国人による事件や事故の発生が観光客に影響を与えていることは否めませんが、こうした開発が落ち着いた後は、中国人だけでなく欧州の人にとっても魅力的な観光名所になることでしょう。多くの美しいビーチと島があり、島には多くのユニークなリゾートがあります。

 観光省により推進されるチャイナ・レディ・ポリシーと呼ばれる中国人観光客を受け入れる準備の方針に基づき、中国人観光客を魅了するための準備が整っています。中国との取引を行う旅行代理店やホテルは、中国語メニューの作成や、中国語が話せるスタッフによりサービスを提供する必要があります。中国人がホテルに到着すれば、中国語を話すことができるツアーガイドが対応します。また、観光省は欧米や日本、韓国などの市場にも強力に宣伝することを決して忘れていません。

―――カンボジア人による国内および海外旅行で人気のある観光地はどこですか?場所に変わりはありましたか?

オム シアヌークは発展途上にあるため、地元のプノンペンは観光地を変更します。特に、地元の人々は、短い休日がある場合、地元の人々は日帰り旅行や1泊程度の余暇ならVキリロムやボコール山のあるカンポットに行きます。Vキリロムは日本人が所有するリゾートであり、環境にやさしいエコツーリズムの魅力により発展しているリゾートです。キリロム国立公園の中にあり、緑がたくさんあります。Vキリロムパインリゾートは、海外からの観光客も余暇を過ごすに満足できる完全な施設とサービスがあります。

 また、クメール正月や中華正月、水祭りなどの長期連休がある場合は北東部が人気です。クラチェやモンドルキリ、ラタナキリを訪問します。ここには本当のジャングルもありますし、カンボジアの人々の伝統的な生活様式にも触れられます。世界遺産であるプレアビヒアも観光名所の1つです。

官民一体になることで、世界へのプロモーションを

―――観光産業に課題はありますか?

オム これは非常に良い質問です。観光省は、国際市場または世界へのプロモーションを推進するために、すべての観光産業の民間部門と協力して、より一層真剣に取り組む必要があります。すべての旅行代理店やホテル経営者が自社の商品やサービスを宣伝したい場合に、国際観光見本市に参加する必要があるのですが、観光省はこのイベントへの参加を促す来年のカレンダーを作成しています。単純な商品を開発するのではなく、ツアーパッケージをより魅力的にする努力を行い、プロモーションを推進する必要がありますし、MICEビジネス(会議、インセンティブ、コンベンション、展示会)も重視しています。


チャーミング・カンボジア・ツアーズ Charming Cambodia Tours
事業内容:1995年設立の旅行代理店。ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムでも展開している。観光、ビジネスのあらゆるサービスに対応。
URL: http://charmingcambodia.com/

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