2024年6月26日
――現在プノンペンで様々なインターナショナルスクールがある中で、貴校の特色について伺えますか。
渡邉 大貴(以下、渡邉) まず1つ目の大きな特徴は、先生が主体の一斉保育ではなく、「子ども主体の保育」を提供していることです。日本では、この保育スタイルが、国の保育所保育指針の中で掲げられています。JISPPでも、子どもが生まれながらに持っている、無限の可能性を引き出すために、子どもたちの「やりたい」という意志を尊重し、子どもたちが主体的に遊び学べる環境作りをしています。子どもが主体的に遊びや学びに没頭することで、「好奇心」「自己肯定感」「創造力」「社会性」「思考力」といった、いわゆる非認知能力を育むことを目指しています。JISPPの園児たちは、「遊びを通して学ぶ」ことを大事に、文字、言語、思考力、リトミック、科学、色、料理などを、楽しんで学んでいます。遊びのように没頭するので、様々なことをとても早く習得することができます。
また、JISPPでは、毎日外遊びの時間を設けています。子どもの脳は、遊びに没頭する時に最も活性化し、多くのことを学ぶと言われています。そこで私たちは、子どもたちが思いっきり体を使って遊ぶ機会を常に提供できるよう、約700平米の広大な緑豊かな園庭と、日本規格の遊具を設けました。果物の木も植えており、自然に囲まれた遊び場が失われつつあるプノンペンでは、貴重な場所だと思います。
さらに私たちは、子どもの自立を促す日本式保育を実施しています。自立した基本的生活習慣を身につけることは、将来自立して生活していくためのスタートラインです。JISPPでは、乳児期から食事、着脱衣、排泄等の基本的生活習慣の自立をサポートしています。他の保育園・幼稚園では、食事、着脱衣、排泄が一人でできていることが、入園の条件になっていたり、給食を提供していなかったりしますが、JISPPでは、これらの生活習慣の自立をサポートすることに力を入れて取り組んでいます。また、園児一人ひとりの成長や活動については、日々連絡帳に記録して、お迎えの際に保護者の方々一人ひとりにお伝えし、さらに週末には保護者会を開くなど、保護者の方々と積極的にコミュニケーションをとるようにしています。食事については、日本人栄養士が考案した献立の下、日本人シェフが給食を作っています。
――園庭以外に園内の施設についても、何か他の幼稚園にはない特色がありますか。
渡邉 広い教室で、自然光と風が入るように設計されているので、園児がリラックスした気持ちで過ごすことができます 。さらに、机や椅子などの家具は、日本の有名な木製玩具店と提携し、そのメーカーがデザインした高品質の木製玩具を使用しています。また、大広間では、雨の日でも思いっきり体を動かして遊べます。
――先ほどお話にあった「非認知能力」について、なぜJISPPでは重視しているのか、より詳しく教えて下さい。
渡邉 JISPPでは、子どもたちが大人になった時に「自立して幸せな人生を送る」ことを目標に、2−6歳の間にいわゆる「非認知能力」の基盤を育むことを重要視しています。
私は約10年間、カンボジアで教育に携わっています。カンボジア教育省とのプロジェクトを通じて、初等教育を中心に、公立学校から私立学校の生徒までのべ5,000人以上の生徒と関わってきました。
そんな中、小学1−2年生の段階で、子どもたちの態度に大きな違いがあることに気付きました。授業中に難しい問題に直面しても、「I love challanges」と諦めず、意欲をもって、主体的に学んでいる子どもがいる一方で、問題に直面した瞬間にすぐ諦めたり、間違えることを恐れて挑戦しなかったり、主体性がなく先生に指示されるまで何もしない子どもたちもいました。
何がこの違いを生むのだろうと観察していると、どうやら幼稚園や家庭の環境が影響していることが分かりました。先生やお手伝いさんが世話を焼き過ぎていて主体性が無かったり、基本的生活習慣が身に付いていなかったり、正しい知識を覚えることばかりを気にして間違えることを恐れていたり。そのような子どもたちが、プノンペンでは少なくありません。
こうした主体性や意欲、自己肯定感、やり抜く力といった非認知能力は、幼少期にその殆どが形成されると言われています。また、脳の発達がピークを迎える6歳までに非認知能力の土台を築くことの重要性が、今世界的に注目されています。幼児期の教育や非認知能力は、将来の年収や幸せに大きく影響するという研究結果も出ています。
私たちは、この「非認知能力」を伸ばすため、つまり「将来自立して幸せな人生を送る」土台を作るために、日本で教育のリーディングカンパニーである、マミーズファミリーやシンクシンクのプログラムを用いて、アクティブラーニングや、子ども主体の保育、遊びを通じた学習といったアプローチで、日々子どもたちと接しています。
――カンボジア教育省と連携し、国全土の幼児教育の質の向上にも動いていると聞きました。
渡邉 近年カンボジア政府は、幼児教育の質の向上に非常に力をいれています。2024年には、カンボジアの幼児教育のナショナルガイドラインが策定・発表されましたが、それはJICAの支援によって作成されたもので、日本の指導要領が元となっています。今後は、その日本式の幼児教育が国全土に広がっていくことが想定されますが、私たちは、日本式の教育を実践しているモデル園として保育実習の受け入れをするなど、カンボジア教育省と連携していく話を進めています。私たちの幼稚園が拠点となり、国全土の幼児教育の質が更に向上していくことを願っております。
お子様の保育園・幼稚園を検討されている方がいらっしゃいましたら、スクールツアーを随時受け付けておりますので、是非とも気軽にお声掛けいただければと考えています。また、8月より、トゥールトンポンやバンケンコンエリアからスクールバスを運行予定です。
週末には子育て関連のイベントも実施しておりますので、当校Facebookページのご案内を是非チェックしてみて下さい。