2016/11/25
――小池さんのプロフィールを教えてください
小池聡(以下、小池) 2004年に大学を出て、アミューズメントゲーム機器の営業職に就きました。東京、名古屋、大阪で6年間勤務しました。営業としてさらなる高いステップを踏むべく、外資系医療機器販売の会社に転職し、主に長崎県で5年半勤めました。そして、30歳を過ぎて人生を振り返り、なにかもっとワクワクすることにチャレンジしたいと感じ、退職して地元東京に戻りました。そこで、高校時代の友人である白鳥(ダイシントレーディング代表)に再会し、カンボジアでの挑戦の話を聞き、すごく面白そうだと思ったんです。
思いたって数日後に1か月半のカンボジア滞在を決め、ダイシントレーディングの業務に参加しました。想像以上にカンボジア市場の可能性、面白さ、やりがいを感じたため、一旦日本に帰ってからすぐに移住の準備をし、2015年12月に正式入社しました。
――御社の商材と仕事の内容について教えてください
小池 日本食にまつわる食材とお酒を幅広く扱っています。それらをレストランや小売店にお届けする事が基本業務です。日本の良いものを安心してお使い頂くために、品質の管理には十分に気を払っています。
私自身は主に、営業とデリバリーを管轄しています。現在弊社は、日本人社員3名、カンボジア人写真9名、それにインターンの学生さんが常時数名います。営業メンバーは、新規開拓や既存のお客様の廻り、代金回収等を行います。お客様との会話の中で要望やヒントを貰いながら、今までカンボジアに無いものを輸入するなど、日本食を広げるためのお手伝いをさせて頂く事も重要な業務の一つです。
――前回の御社へのインタビューでは日系飲食店のシェアがナンバー1とお聞きしました
小池 責任感を持って、期待に沿えるよう心掛けています。現在、創業当時にはなかった同業他社も増えています。商品ラインナップやサービスを常に向上させ取り残されないようにすると同時に、市場に日本食を広げる同志メンバーとしてお互いが切磋琢磨することは重要だと感じています。
――ライバルと差がつく御社の強みは何でしょうか
小池 弊社が目指しているのは、日本と同じレベルのサービスをカンボジアで行うことです。デリバリーのスピード、年中無休、適正価格など、きめ細かな営業をするように努力しています。
もうひとつ挙げるならば、日本の大手メーカー、商社様との関係です。様々な趣向の出店が加速する中で、日本の大手食品メーカーの注目度も上がっています。菓子、飲料では森永製菓、カゴメ。酒類では久保田、霧島、黄桜など、日本を代表する企業の正規店として販売しています。いかにして更にカンボジアに日本食を広めていけるか。お客様とメーカー様双方に要望やヒントを貰い、お手伝いすることが重要な業務の一つだと捉えて頑張っています。価格面、ラインナップや販促協力でお客様に喜んでもらいたいと考えています。
――主力の冷凍食品についてはいかがでしょうか
小池 寿司ネタなど魚介と、最近では加工食材などを取り扱っております。通常は室内用の冷凍ストッカーで管理する事が多いのですが、弊社は冷凍倉庫を導入しています。冷凍倉庫は管理が大変なのですが、大量に仕入れることができることと、より良い状態で保管できるので、価格と品質で他社に劣らないものが提供できると考えています。
――日本食以外のマーケットはどう見ていますか
小池 スーパーマーケットやドラッグストア向けに商材を供給しています。また、欧米人向けのバーへ日本の酒を、子供服屋さんへスナック類を卸したりと、広がりが出てきています。このような活動は日本の良いもの、美味しい食を知ってもらい、マーケットを拡大するために重要なことだと考え、頑張っています。
また、9月に念願のシェムリアップ支店を開設しました。新支店では、レストラン様へのサービス向上と同時に、ホテルへの提案など観光市場へのアプローチにも挑戦ようと計画しています。
――毎日営業されていて、カンボジアのフードビジネスは今後どうなっていくのか小池さん自身はどうお考えでしょう
小池 日本食レストランの数は右肩上がりで増えていて、マーケットも拡大しています。カンボジアや近隣アジアのオーナーなど日本人以外が日本食で出店する動きも多く見られます。また、日経大手チェーンの進出も相次いでいます。この流れは確実に加速、継続していくと予想しています。成長著しいカンボジアの市場で取り残されないように、また、多様化の中で私たちに期待される事も増えていきますので、応えられるよう頑張っているところです。
――小池さんからみて流行っているお店とそうでないお店の違いは何でしょうか
小池 一つは、日本人が安心して通えるお店だと思います。日本人に好まれるお店は、カンボジア人の特に高所得層に好まれます。安心とは、サービスや清掃が行き届いていること、日本の職人さんが常駐して何時でもレベルの高い料理が提供されること、値段相応であることなどでしょうか。
また、中間層のカンボジア人が日本食を楽しめるお店がみられる事は大きな一歩だと感じます。味、雰囲気、量、価格帯が受け入れられれば、人が人を呼び多くの集客があるようです。中級層現地人のマーケットは在住日本人のそれとは比較になりません。
いずれにしても、出店前のリサーチとが重要な鍵を握るようです。市場を踏まえて、強い方向性が明確なお店は成功されています。
――御社の今後の展望について教えてください
小池 日系企業として、日本食をもっと広める活動を継続していきたいです。日本食の認知が広がれば、お客様も私たちも潤うと信じています。お客様の希望に応え、寄り添いながらその一端を担えるように努力しています。
(取材日2016年8月)