2018年1月26日
(前回の続き)
――CSXとミャンマーやラオスなどの近隣諸国の取引市場を比較した際に、どのような違いがあると考えていますか。
ホン ミャンマーやラオスが最初に取引を開始した際、それらの市場は私たちよりもはるかに優れているように思われましたが、最近は彼らも同様に苦労しているように見受けられます。例えば、ラオスは私たちの1年以上前取引を始めましたが、まだ5社しか上場企業しかありません。ミャンマーにおいても、取引所はより以前に発足しましたが、私が覚えている限り、4社しか上場していないと思います。 これらの2つの市場は、取引所が開始された直後は良い業績を上げたように見えましたが、現在は新しい会社の上場に関して問題を抱えているように思います。
カンボジアの投資家の中にも、現状にがっかりし、取引を中止した投資家がいるのも事実です。 CSXには8,000以上の取引口座がありますが、ほとんどの口座は活動的ではありません。投資家たちは口座を開設したにも関わらず、しばらく取引を行なってから、取引を停止してしまいました。現在、活発な取引を行なっているのは、100程度の口座です。より活発な取引を行なうのに十分な上場企業がありません。取引所は、実際のマーケットのように機能します。多くの商品があるマーケットでは、売り手が多く、買い手もたくさんいます。現在、当社のマーケットには5つの製品しかないため、活発な取引は期待できません。
また、取引量に関しても、近隣諸国の市場の方が上場に関する法的手続きをより効果的に処理することができるからです。 カンボジアでは、SECCからの重要な承認が必要です。カンボジアの方が、規制がはるかに厳しいため、CSXと近隣の諸国の市場を比較することは不公平です。
――CSXの取引のほとんどは中国、台湾、および日本の投資家により行われていますが、その理由をどのように分析していますか?
ホン CSXには様々な国からのブローカーがいます。日本、中国、台湾、マレーシア、ベトナム、そしてカンボジア国内からの投資家たちです。その中でも中国からの投資家たちは、自国での経験が豊富な投機家であり、海外においても投資を試みているため、取引において最も活発です。さらに、中国、台湾、日本からのブローカーとアンダーライターは、カンボジアのブローカーたちよりも積極的です。最近、日本からのトレーダーがタイの証券会社(SPI)に加わったため、タイの投資家たちも活発になってきています。
取引口座の約50%はカンボジア人が保有していますが、かなり限られた数の株式しか購入しておらず、取引量の約3分の1しか占めていません。
――カンボジア国内からの投資家を増やすために、具体的にどのようなことを行なっていますか。
ホン 過去2年間で、私たちはイオンモールで展覧会を開催しました。次回は、2018年1月に予定されています。私たちは国内の投資家たちに会い、取引市場について説明し、誤解を解消するめの取り組みでした。人々の中には、取引市場の仕組みをカジノと比較してきた人たちもいます。
また、私たちは、毎月トレーニングも開催しています。誰でも月に一度、トレーニングを無料で受講することができます。昨年は、市場への参加と投資を促すために、実際の市場に見立てたトレードコンテストを開催しました。そのコンテストでは、参加者がお金を失ってしまった際には、私たちは参加賞を与えましたが、参加者たちが利益を上げたならば、お金をそのまま保有することができるものでした。また、いくつかの賞も準備しました。さらに、オンラインビデオやソーシャルメディアを通じて、プロモーションビデオや文章の公開もしています。
――CSXはどのようにして上場企業を増やしていく予定ですか?
ホン 予測するのが難しい問題ですね。CSXが立ち上げられたとき、私は今期までに、20社の上場企業を目指していました。今後の見通しは、現在の5社の上場企業が得た業績と恩恵、そしてトレーダーの満足度にかかっているでしょう。これまでのところ、上場企業はまだあまり大きな利益を得ていません。なぜなら、一般の方々は依然として取引市場への熱意をあまり持っていないためです。しかし、カンボジアの人々に対する説明、そして興味を与え続けていくことで、2年から3年の間に、少なくともあと5社の企業を上場させたいと考えています。
――現在、上場を準備している会社を教えていただくことはできますか。
ホン 私たちはいくつかの上場を検討している企業を知っていますが、企業が上場する前に名前を明かす子はできません。不動産、インフラストラクチャー、サービス業といった業界から関心が寄せられています。。
――最後に、我々の読者に対しコメントをお願いします。
ホン 私が大学生の時、日本企業はカンボジアにやって来て、ビジネスチャンスを探していました。また、日本政府は、かなり長い間、カンボジアを発展させるため支援をし続けてくれました。しかし、日本の民間企業は、他の外資企業よりもカンボジアでの地位を十分に確立できていないように思います。ですが、私は、日本をはじめとする海外からのビジネスマンたちにとって、まだ多くのビジネスチャンスの余地があると思っています。
カンボジアには、若くて才能のある起業家が多くおり、彼らは、外資企業や地元企業で仕事をしています。 しかし、多くの起業家たちは、ビジネスを発展させるために必要な資金の獲得に苦労しているのも事実で、これはビジネスの発展において、最大の障壁といえるでしょう。投資に対し関心のある海外の投資家たちはカンボジアの民間セクターにおいて、投資の機会を見つけることができると思います。(取材日:2017年9月)