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業界別インタビュー

個人消費が伸びれば業界も円滑に動く[金融・保険]ホウ・レン・トン

金融・保険

ハッタカクセカー Hattha Kaksekar 
CEO: ホウ・レン・トン
カンボジアのマイクロファイナンス大手のハッタカクセッカー。MUFG及びアユタヤ銀行との資本提携をし、国内初の社債を発行したハッタカクセッカーの今後の展望とは。CEOのホウ・レン・トン氏に話を伺った。(取材日/2018年10月)
三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下のマイクロファイナンス

――ハッタカクセカーについて教えてください。

 前身は1994年、『食糧安全保障プロジェクト』としてカナダの国際機関OCSD / OXFAM-Quebecにより設立された、農民への少額融資を提供するという重責を担う団体でした。その後、『非政府組織(NGO)ハッタカクセカー』に名前を変え、2001年には今の株式会社ハッタカクセカーとなり、マイクロファイナンスとしてのライセンスも取得し、商業省に株式会社として登録をしました。ハッタカクセカーはカンボジア語で「農民に対する援助」を意味します。また2016年には、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の傘下でタイでは5番目に大きいアユタヤ銀行に買収され、子会社化されました。

 その歴史の中で、我々は融資だけではなく預金などの様々な銀行業務を行うようになり、また全国に拡大しました。今では国内178支店まで広がり、従業員数は3000人以上、融資総額は700Mドル、預金総額は400Mドルとなりました。

――先日国内初の社債発行をされましたが、それに伴う上場についてはどうお考えですか?

 2018年9月、中小企業の事業をサポートする目的で、国内初となる社債の発行を行いました。その金額は約3000万ドルです。【内訳:約800億リエル(約1970万ドル)、追加需要資金で400億リエル(985万ドル)】債券の満期は3年で、年間表面利率は7.5~8.5%となっています。

 社債発行により弾みがつき、近い将来の、カンボジア証券取引所(CSX)への上場は可能だと考えています。しかし金融市場には、長期金融市場(キャピタルマーケット)と短期金融市場があり、長期証券市場への登録はまだ先ですね。

将来的にはリエルでの銀行取引が主流になるのでは

――マイクロファイナンスの預金金利について教えてください。また、現在は3種類の通貨で銀行預金が可能みたいですね。

 現在、商業銀行の預金金利は6-6.5%ですが、マイクロファイナンス機関の預金金利はそれ以上、例えばハッタカクセカーの場合は1年の定期預金で年利は最大7.5%です。

 カンボジアリエル、USドル、タイバーツで預金が可能ですが、カンボジア政府及び国立銀行は、脱ドル化政策を推進しており、国内でのリエル利用を促しています。HKLもこの政策を支持しています。将来的にはリエルでの銀行取引が主流になるのではないでしょうか。今でこそ他国通貨での預金が可能ですが、もしかしたらそれも難しくなるかもしれませんね。

――今後の展望を教えてください。

我々としては、MUFG及びアユタヤ銀行との資本提携後により、今後も堅調な成長が見込まれます。また金融業界としても、①国からの強いサポート、②政治の平和と安定、③個人消費の伸びを受け、益々景気は良くなっています。特に個人消費が伸びれば、金融業界の成長も円滑に動くでしょう。


ハッタカクセカー Hattha Kaksekar 
事業内容:
URL: https://www.hkl.com.kh

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