ナイトフランク(Knight Frank)のレポートによれば、今後数年間、カンボジアの住宅市場を牽引する主要な要因は、プノンペンなどの都市部における手頃な価格の住宅に対する国内需要の大幅な増加である。2024年現在、カンボジアの都市人口は全体の24.2%にとどまるが、2030年には30.6%、2050年には41.1%に達する見込みであり、この都市化の進展が住宅需要をさらに高めると予測されている。
レポートは、若年層の農村人口が都市部に移動することで、可処分所得の増加や借入コストの低下が住宅需要を押し上げると指摘している。特にプノンペンでは、都市内住宅への需要が長期的な投資機会を提供し、賃貸収入や資産転売の観点からも魅力的とされる。
また、外国からの投資がカンボジア不動産市場の成長を支える重要な要素となっており、日本、シンガポール、韓国、マレーシア、中国本土、台湾、香港などからの資金流入が続いている。一方、開発業者はウェルネス志向の特徴をプロジェクトに取り入れるなど、多様な商品提案で差別化を図っている。
プノンペンの中心部、特にボンケンコン1(BKK1)エリアは、利便性の高い立地と充実した周辺施設により賃貸需要が旺盛であり、国内外の投資家を引きつけている。同地域の住宅物件は年間6~7%の賃貸利回りを誇り、地域内でも競争力のある市場となっている。
バンコクの不動産市場も外国人投資によって支えられており、中国本土の買い手が中心となっているが、資本規制の強化により以前ほどの勢いは見られない。それでも、バンコクでは高品質な不動産への需要が引き続き高く、販売率は80%を超えている。
カンボジアとタイの市場動向は共に、外国投資と都市化が住宅市場を支えている点で共通しており、プノンペンやバンコクといった主要都市が投資家にとって注目のターゲットとなっている。