カンボジア政府は、プレアシアヌーク州での25件のプロジェクトに対し、総額約9億1700万ドルの特別インセンティブを承認した。この中には、未完成の建物の完成を目指す12件のプロジェクト、新規プロジェクト12件、既存プロジェクトの拡張1件が含まれている。これにより、同州でインセンティブを受けたプロジェクトの累計数は165件に達している。プロジェクトの種類には、住宅設備工場、バッグ・紙製品工場、多機能ビル、ホテル、リゾートなどが含まれ、カジノ以外の投資機会も広がっている。
プレアシアヌーク州投資促進委員会(PSPIP-WG)のヒアン・サヒップ(Hean Sahip)会長とロン・ディマンチェ(Long Dimanche、前駐韓国大使)副知事が、「プレア・シアヌーク州投資促進特別プログラム2024」のもとで行われた第11回会合で投資案件の進捗状況を確認し、地域の投資環境改善への取り組みを議論した。ロン副知事によると、欧州観光客を誘致する目的で、ポーランド人によるコ・ロン島でのリゾート開発プロジェクトも進行中である。
このプログラムは、コロナ禍や規制の影響で減少した中国投資を補うため、放置された未完成建物の問題解決や観光業と産業基盤の強化を目指し、さまざまな税制優遇措置や行政支援を提供するものである。
具体的な特典として、未完成建物の完成支援のための3年間の所得税および最低税の免除、建物完成までの付加価値税(VAT)免除、5年間の不動産リース源泉徴収税の免除、固定資産税の免除、および建築許可に関する公的サービス料の免除が含まれている。また、外国投資家向けに3年間の長期ビザも提供され、投資の利便性が向上している。
カンボジア・インベストメント・マネジメントのアンソニー・ガリアーノCEOは、カンボジア政府の対応を「経済問題に対する具体的かつ強力な計画」として評価しており、シアヌークビルの現状を「一時的な問題」と捉えている。同氏は、「今回のインセンティブが投資家にとって絶好の機会を提供する」と述べ、「シアヌークビルの美しい沿岸ビーチは観光と不動産の分野で大きな可能性を秘めており、カジノ業界も東南アジアにおけるユニークな市場として注目される」と付け加えた。
シアヌークビルの未完成建物の問題は依然として解決には至っておらず、2024年初めの時点で約362棟が未完成のままとなっており、総額1.16億ドルの追加投資が必要と見積もられている。この問題は、2019年のオンラインギャンブル禁止とその後のCOVID-19パンデミックにより多くの中国投資家が撤退し、建設が中断されたことが背景にある。