(c)Phnom Penh Post
今週発表された商業省の報告書によると、2015年のカンボジアの主要製品のコメ、衣類、靴の輸出額は17%近く上昇し80.3億だった。
輸出額全体の4分の3を占める衣料品の輸出額は、7%増にとどまった。輸出量増加は前年比43%増のコメや同21%増の靴の中国への輸出にけん引された形だ。しかし中国への織物の輸出は17%減少した。
EUも引き続きカンボジアの主要輸出国であり、全体の40%を占める。衣料品の輸出額57億ドルのうち、EUだけで25億ドルを記録した。アメリカも17億ドルと大きいが、コメの輸出が60%近く落ち込んだことにより3%減となった。なお、EU、アメリカに続いてカナダと日本が主要な輸出先となっている。
プノンペンポスト紙によると、あるカンボジアの衣服製造業界の権威は、「EUへの輸出量は多いが、これはEUが採用している途上国からの関税優遇措置であるEBA(Everything But Arms:武器以外すべて)の影響が大きく、今後EU-ベトナム間で自由貿易協定が締結されれば、すぐに輸出量は下がってしまうだろう」と懸念している。今年カンボジアの最低賃金がベトナムと同等額に改定されたことで、労働生産性の高いベトナムにコスト面で対抗できないことが不安視されている。
衣料品輸出の成長率が10%低下したことについて、カンボジア衣料品製造業組合の事務局長ケン・ルー氏はカンボジアデイリー紙の取材に対し、違法な抗議活動の影響を指摘した。
「違法な抗議活動や賃金の上昇が影響しています。違法な抗議活動は止めなければなりません。最低賃金はもう少し、生産性に応じて引き上げられるべきでしょう。もし労働組合法が有効に機能すれば、衣料品製造業にとって大きな手助けとなるでしょう」と同氏は話す。
また、経済専門家のスレイ・チャンティ氏はドル高によってカンボジア製品の競争力が低下していると指摘し、「カンボジア経済のドル化が進むと、ドル高が進み、輸出業に影響が出ます。タイバーツ安ドル高のとき、1ドルで買えるタイ米が多くなるでしょう」と同氏は述べた。
一方で靴の輸出はここ数年で急速な成長を遂げ、前年比21%増の約5.4億ドルを記録し、EUとアメリカの合計で30%以上増加している。
カンボジアの主要な4つの貿易相手国を除くと、68%増加しているが、これはコメの輸出が100%増加したことが要因であり、カンボジアの輸出は2015年もコメと衣類にけん引されていたと言える。