カンボジア政府が2023年11月に開始した職業訓練・技術教育プログラムには、2025年4月25日までに約11万3000人の若者が登録し、そのうち63%にあたる7万2000人が既に卒業した。フン・マネット首相が、プノンペンのチュロイチャンバー国際コンベンションセンターで開かれた非公式経済団体および学術団体代表者5000人以上を集めた式典で、これを明らかにした。
このプログラムは、貧困層および脆弱層の若者150万人を対象に、無償で職業・技術訓練を提供し、月額28万リエル(約70ドル)の生活支援金も支給するものである。目的は、若者に専門技能と生活スキルを習得させ、将来の高収入職への道を拓くことにある。
首相によれば、これまでに卒業した若者のうち、約1万6000人が適切な雇用に就いているという。フン・マネット首相は「地方自治体および労働組合の指導者は、このプログラムをより多くの若者に広め、参加を促進してほしい」と呼びかけた。
さらに、民間企業にも協力を要請し、「訓練生やインターンを受け入れ、理論だけでなく実務経験を積む機会を提供してほしい」と述べた。
このプログラムは、カンボジアの人的資本を強化し、経済成長を支えることを目的として、職業技術教育訓練機関(TVET)を通じて運営されている。
一方で、卒業生約7万人に対し就職者は1万6000人にとどまっており、就職率は約22%に過ぎない。日本では同様の職業訓練機関の就職率が85〜90%に達していることを踏まえると、カンボジアの課題は明らかである。
日本では、産業界との密接な連携、インターンシップの重視、資格取得支援、個別就職サポート体制の充実により高い就職率を実現している。カンボジアにおいても、単なる訓練提供にとどまらず、「就職につなげるための一貫したサポート体制」を構築できるかどうかが、このプログラムの成否を左右するであろう。