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――会社としての展望を教えて下さい。
チア 弊社としては、持続可能なビジネスを目指しています。持続可能なビジネスとは、まず初めに、自社でデザインや施工、建設を行い、物件開発を行うこと。次に、建設資材の輸入をすることです。SOMAコンストラクション&エンジニアリングで資材の輸入から建設まで一貫して行うこと。これを目指しています。
――カンボジアの、今の建設業界の業況について教えて下さい。
チア 家や建物でいうと、物件の品質管理や、自社で賃貸を行うなどのビジネス需要はすでに増えてきています。住宅は供給過多で需要が下がると言われていますが、低所得者~中所得者層向けの住宅需要は伸びており、成長は期待できるでしょう。
一方インフラ面でいうと、カンボジアはまだ開発途中であり、道路や橋、エネルギー供給の需要は高く、引き続き成長しています。カンボジアには、タイ・ベトナム・ラオスの中心にあり、ミャンマーや中国とも近いという地の利があります。また、政治的にも安定し、政府による税金の優遇措置もあるため、投資家はますます増えるでしょう。引き続き成長は続くと思います。高い建物や高級物件のみ成長が鈍化するくらいで、その他の産業は引き続き伸びると思います。
――カンボジアの建設業界の問題点を教えて下さい。
チア 3つ挙げるとすると、まず1つは総合建設。この問題点はカンボジアにおける資材の輸入です。ここ5年間、建設業界はブームですが、建設資材の輸入は国内では既に限界を迎えています。そのため海外からの輸入に頼っており、しかし時間がかかり、頼んだものが入らないなど問題も多いです。現在、国内のサプライヤーが必死になっている最中ですね。
2つ目は、人材の問題です。投資家の方とも話すのですが、カンボジアには熟練技術者がほとんどいません。例えば5~6年かかるような大掛かりのプロジェクトだと、カンボジアの作業員では経験がない。今は向上している最中ですが、海外から人材を雇う必要がありますね。
3つ目は、お客様の問題です。外資系ディベロッパーと仕事をする際は、お客様は高品質かつスピードを求めるため、我々の提示する金額でも満足頂きます。しかし地元企業はとにかく安い価格を求める。現在、中国系の建設業者も入ってきており、彼らは品質もそこそこで、納期意識はありませんが、とにかく安い。そこと戦っていくことは我々にとってはチャレンジですね。
――カンボジアで建物の建設を行う際、どのようなことに注意すればいいでしょうか?アドバイスをお願いします。
チア まず1つは、カンボジアは他国と比べると利点が多いと思います。また、カンボジア人と日本人の相性は良いですね。日本人はカンボジア人を愛し、信頼してくれます。しかし、土地の選定やカンボジア人にうけるデザインなど、カンボジア人が本当に求めているものを知らないことも多いです。そのためパートナー選びは非常に大事ですね。またもう1つは、建設業者の選定。この2つが上手くいけば成功するでしょう。カンボジアでの事業成功をぜひ信じて下さい。