2018年1月17日
(前回の続き)
――カンボジアの建築業界における問題点はありますか?
河内 他国では基本的に、国が都市計画を行い、開発のデザインに対しても決まりが設けられます。しかしカンボジアには都市計画が無いため、海外資本が参入し、好きなように作っているのが現状です。
現在、カンボジアにおける建設業界の大多数は中国などの海外資本です。途上国のため海外資本の参入を受け入れざるを得ないのもありますが、都市計画のプランニング、取り決めをしていないために景観は全く一貫していません。
これは政治的な問題であり、政治家が取り組まなければ解決しない問題です。
――建築・建設業界の教育は充実しているでしょうか?
河内 弊社で働くカンボジア人スタッフの多くは、大学で建築の勉強を受け、弊社で働いています。しかし、日本の大学における建築の勉強とはだいぶ違い、日本ほど中身の濃い教育を受けていないのが現状です。カンボジアではある程度の教育を受け、実社会で経験を養うといったケースがほとんどです。
先進国を知らずに、カンボジアのみで教育を受けていても限界があると思います。途上国での勉強に限界があるのは仕方のない問題ですが、その中でも彼らが自ら情報を収集する、または弊社のような海外企業が参入し、教えていくといったことが重要になると思います。
――この業界に対する今後の展望について教えてください。
河内 現在、富裕層や投資家向けの建設ラッシュが起こっており、もうじき停滞する時期を迎えます。しかしその後、今の若者が実需として実際の消費者となり、再び建築業界が盛り上がるという状況になると思っています。一旦落ち着き、また盛り上がるといった形で、建設業界は変化すると思います。
ビジネスの活動場所としてプノンペンが注目されがちですが、業界ごとに市場は異なります。建設業界はプノンペンのみならずカンボジア全土が市場の対象となっており、リゾート系ではシアヌークビルやシェムリアップ、工業系ではポイペトなど、プノンペンに匹敵するほどの熱い市場になりつつあります。今後5年、10年間でさらに盛んになっていくと思われますね。
――今後、御社はこの業界でどのような役割を担っていきたいですか?今後の事業展開について、教えてください。
河内 進出を検討する日本企業の大多数が、設計を日本語可能な企業に頼んでいます。しかし、日本語が話せるという部分だけでは得られる情報も狭くなります。弊社は日系企業のみならず、ローカル企業、フランス系企業との関わりがあります。現地に根付いているという点だけでなく、グローバルな業界との付き合いがあるという点も弊社の強みであり、ストックしている情報量が違うと言えます。
弊社の強みを生かしたビジネスとして、建設プロジェクトマネージメントという部門で建設及び建築コンサルのビジネスも始めました。情報が無い企業にとって、正確な情報収集はかなりの調査を必要とするため難しいことですが、カンボジアで事業を行う上では非常に大切になります。最も、どこで情報収集を行うのかが重要になるでしょう。