カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

世界で最も住みたいネイチャーシティの実現へ(2017/05発刊6号より)

 ”IoC”。この言葉を聞いたことがあるだろうか。IoT(物のインターネット)が製品化される中、世界の最先端企業はIoC(Internet of City=都市のインターネット)の開発にシフトしている。実際にグーグルも専門の会社を設立し、ますますIoCの開発は激化するだろう。「そんなIoC技術をふんだんに使った、世界で最も住みたいネイチャーシティを作ります。」そう語るのは、カンボジアで街づくりを行っている猪塚武氏。Forbesジャパンや日経電子版にも取り上げられ、目にしたことがある人も多いのではないだろうか。”IT”×”自然”?耳慣れないコラボレーションと綿密な計画性に、いま、世界があっと驚く。

 

カンボジア政府から全面的なバックアップ。幻の都市の再現へ。

――キリロム高原都市について教えてください

 キリロム高原都市は、昔、日本政府とカンボジア政府が共同開発に合意した都市です。ご存知でしょうか。日本が第二次世界大戦で敗戦した後、最初に友好条約を結んだ国はカンボジア。その際、賠償の代わりに一緒にやろうとしたのが、キリロム高原都市の開発なんです。

 しかしカンボジアの内戦のため、出来て10年で全て破壊され、さらに、当時を知る人々が亡くなっているためあまり語り継がれてもいません。まさに幻の楽園。我々がしようしていることは、その幻の都市を再現することです。加えて、国有地に都市を作っているので、グランドオープニングには環境大臣が来賓として来るなど、カンボジア政府からも全面的にバックアップを受けています。

 

It都市+”楽しさ”の融合

首都から海へ向かう高速道路の好立地

――目指すネイチャーシティについて教えて下さい
 例えばドバイの砂漠とか、スマートシティって世界中に沢山あるんですよ。ただ、みんな計画されたつまらない街で、環境省の研究所の人が、住みたい街は一つもないと言うほどです。要するに環境を守ることと、人間がわくわくすることは一見乖離しているように見えます。

 しかし、vKiriromのベースは自然の中のリゾートです。既に緑豊かなため、人が住めるような場所やアクティビティを少しずつ入れてハイテク化しており、みんなが思う『一度は行ってみたい、住んでみたい場所』を目指しています。まさに、『IoC技術をふんだんに使った、世界で最も住みたいネイチャーシティ』なんです。


 また、我々が提供しているのは『フュージョンツーリズム』です。具体的には、アグロツーリズム、ソーシャルツーリズム、アドベンチャーツーリズム、アートツーリズム、グリーンMICE、これらを融合して『一生に一度の体験(Once time in a life experience)』をデザインしようとしています。住んでみたいネイチャーシティじゃないといけないので、基本楽しくないと。短期滞在者の方は『一生に一度の経験』を、長期滞在者の方は『人生を変える経験』を体験するというのがコンセプトです。

 vKiriromには、世界で戦えるIT人材を育成する学校、キリロム工科大学が併設されており、その学生たちが街づくりを行っています。彼らの中には、貧困家庭で生まれた学生も多いですが、20倍の試験を潜り抜け、うちに入って世界で戦えるリーダーになっていきます。まさに、人生が変わっていく経験ですよね。それは、ここで働く日本人も同様で、小学生から大人、おじいちゃんおばあちゃん、全ての人々にとって人生の方向性を変えるきっかけになります。そのため、キリロムに20年住むというよりは、3年4年いてぐっと方向性を変えて巣立っていく場所だと思いますね。

FaceBookページは、カンボジア内で約90万イイね

――具体的にどのような体験ができるのでしょうか
 新しいプロジェクトでは、大学連携型のCCRC (Continuing Care Retirement Community) を計画しています。これは、仕事をリタイヤした人が、元気なうちに別の場所に移住し、第二の人生を楽しむものです。例えばゴルフ場の横に老人ホームがあり、朝から晩までゴルフ三昧など。ゴルフ好きの方には非常に魅力的ですが、しかし2年も経つと飽きてしまうみたいです。やりがいを求めてしまうんですよね。

 vKiriromには、ゴルフ場はもちろん、キリロム工科大学や、またボランティアが出来る場所がたくさんあります。大学で生涯学習ができたり、人によっては学校で教えるなど。これが生きがいにもなり、長く生きててよかったなと思えるんですよね。



 カンボジアも長期のリタイヤメントビザが取得できるようになり、我々もこれから移住者を募る段階です。早期リタイヤされる60歳から75歳の方々や、大学と一緒に共同研究するスタッフ、リゾート、教育関係者を募ります。また、今後は大学にもIT以外にリゾートマネジメントと建築の学部が増え、新しい形の小学校も今年中に作る予定です。こんなのがあったら世界でも面白いだろうなという場所になりますよ。加えて、企業研修として運動会など、チームビルディングを学べるアクティビテイも数多く行っています。現在はローカル企業が主ですが、ゆくゆくはグローバルカンパニーがvKiriromに世界中から人を集めて、3週間程度の研修を行って帰る。そんな場所を作る予定です。

 引き続き、病院経営などを行うパートナーも探しています。また、現在インターンシップ生がインド人を含めて4人います。宿泊施設が豊富なため、世界中から何千人も希望者が集まるような、そんなインターンシップの殿堂にしたいですね。

約1万ヘクタール。東京ドーム2000個分の開発

――投資家の方ができる取り組みを教えてください

vKirirom開発計画
約1万ha(東京ドーム2000個分)


 我々は不動産事業も行っており、vKirirom内の別荘の分譲や会員制リゾートの会員権の販売をしています。移住者の多いマレーシアで、リタイヤメントされた日本人の方々の声を聞いたところ、富裕層は多くなく、年金で暮らしている人がほとんどでした。その中で、一番求められていたのが300万円程度のナーシングホームです。そのため、求められていた4万USDのナーシングホームや別荘、9%の利回りが期待でき、13の個室のある外国人スタッフ用寮などを取り揃えています。

選べるvKirirom 2nd Home

 不動産投資家の方々にとって一番気になるのは、将来の需要と流動性でしよう。学校はますます大きくなるため、学生寮としてのニーズはどんどん伸びていき、将来の学生数は3万人を目指しています。我々がやっているのは、主に需要の創出ですね。そのため、お客様が使わない間は、別荘やリタイヤメントホーム、学生寮として借り上げることができるんです。50歳で別荘を買って10年間学校に貸し、そしてリタイア後の60歳で住むなど。例えばニセコでは2004年に平米5000円だった土地が、今や約300倍の平米150万円です。ニセコの事例を研究しながら、vKiriromもそうなるよう頑張っています。また、今買った方が、建築費が安いというのもありおすすめしていますね。もちろん希望のデザインがあれば、ご自分でも家を建てられますよ。軽井沢のような場所ですから。

 加えて、外国人は土地が買えませんが、 vKiriromでは定期借地権が可能で、土地の所有者は国です。そのため、外国人も名義借りをせずに土地を使用することができます。また、54ホールのゴルフ場の企画・設計を行なっており、他にはないコンセプトで高い利益率を確保する想定です。ゴルフ場を含め、優秀な学生たちと一緒に街ごとイノベーションを起こしますよ。

 猪塚武氏

早稲田大学理工学研究科を卒業後、東京工業大学で修士を取得。アクセンチュアを経て1998年に株式会社デジタルフォレスト社を設立。WEBアクセス解析の分野で日本シェアトップまで育て2009年にNTTコミュニケーション社に事業売却。
2011年12月よりA2A Town (Cambodia) Co., Ltd.を設立。高原リゾート、大学、産業クラスターを含む「リゾート学園都市vKirirom」を経営する。世界的な起業家組織EO(Entrepreneurs’ Organization)の日本支部会長、アジアの理事も務めている。




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