2016/11/16
――アジアン・タイガース・モビリティについて教えて下さい
ポール・グルー(以下、グルー) アジアン・タイガースの歴史は、引っ越し業者から始まり現在は国をまたいだ輸出入も行っている会社です。グループ全体の歴史は35~40年ですが、アジアン・タイガース・カンボジアは、1997年に設立され、グループの中では新しい会社で、来年で20年目を迎えます。
アジアン・タイガースは元々、政府やNGO、外国企業がカンボジアに来る際の引越しを行っていました。しかし現在はカンボジアに来る企業もあれば、去る企業もあります。それに伴い、カンボジアからの引越しも手掛けることになり、現在は多数の企業と契約しており、益々拡大していますね。
カンボジアには、昔から営業している3つの引っ越し会社がありますが、しかしその多くが、トゥクトゥクを使って搬送するような小規模のお客様を担当しています。例えば、ある地区からある地区に移る様というように。
しかし、我々はより専門性を求められます。ですので、スタッフも全て訓練し、コンプライアンスやチームワークにもコミットします。例えば、創業から働いている倉庫のマネージャーが、入社直後の作業員を指導します。そうして、後ろからどんどん押して上げて、能力を高め会社全体を底上げしていくんです。そうやって全社員に引越し業務の誇りを持たせ、高いレベルの引越しサービスを提供しています。
――ご自身はその中でどのような役割をされているのでしょうか
グルー その中で私は、引越し部門の地域担当役員をしています。役割は自社のサービスやプロセスをお客様にご紹介し、お話しすることです。弊社はお客様と実際に会って、顔を突き合わせて仕事をすることを大事にしています。ですので私の現在の仕事も、90%は人に会っていますね。非常に社会性が必要な仕事です。
――貴社の特徴について、他の会社との違いを教えて下さい
グルー 我々はバンコク、日本、シンガポール、中国、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアなど世界各国に支店を持つ、引越しをベースにしたグループ企業です。各国完全に別会社ですが、サービスにはシナジーがあります。なぜならば、国をまたいで引越しをする場合、どの国でもほとんど同じ手順を踏むからです。
そして、これは非常にユニークな試みですが、我々には、不動産会社や法務コンサル、建設会社など6つの協力会社があります。いざカンボジア赴任が決まると、お客様ご家族の家探しから始まり、ビザ取得代行、場合によっては家を買ったり、建てたりすることもあります。そんな時にも、家を買う時には法務コンサルが、家を建てる際には建設会社が、ビザ取得にももちろん専門の会社がサポートします。
このようなことができる引越し業者はカンボジアではないですよ。来月にはネットワーキングスペースができるので、そこで6つの会社が集まって仕事ができるようになります。1社1社は小さいですが、1組のお客様に対して、互いに強い協力関係で仕事をしています。これがアジアン・タイガースの面白いところで、他の会社にはないところですね。
他の会社では、引越しはできるけどオリエンテーションはできない。オリエンテーションはできるけど家探しはできないなど、引越し業者は引越し業者です。我々は、お客様が拠点を移す際に必要な全てのサービスを、1つの傘の下で行うことができるんです。このサービスは新しく今年1月にスタートしています。
それに伴い、現在はさらに、お客様にとって個人的なサービスを大事にしていますね。例えば、留守宅の賃貸サービスはもちろん、イミグレーションの書類作成や労働許可証の取得まで。家族の家探しはもちろん、学校なども探しますよ。そしてカンボジアに来る際は、家族の形態や必要に応じて、1~3日で観光を含めたカンボジアのオリエンテーションを行います。飲食店やスーパー、遊ぶところにお連れします。当たり前のことですが、しかし初めてカンボジアを訪れる人には分からない部分ですよね。通常、普通の会社であれば来て早々、市内散策をしたり、必要なものを自分で揃えなければなりません。
しかし、我々のサービスを利用されるお客様は、銀行口座の開設も不要、細々したことに気を取られるのも不要。すぐに仕事ができる環境になります。そしてこのような引越しに関するスペシャリストをGMS(Global mobility Specialist)といいます。私のもう1つの肩書ですね。新しい国に移動する際、生活そのままを引っ越せるようなサービスを作り上げる、世界に通用する力があることを意味しています。(取材日2016年8月)
(次回へ続く)