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業界別インタビュー

2016年10月2日

家族連れでの赴任が増え、教育需要が高まった[教育・学習支援]ダニエル・リー

教育・学習支援

イートンハウス Eton House
CEO: ダニエル・リー Daniel Lee
家族でカンボジアへ赴任している家庭にとって、子弟の教育は非常に重要な問題だ。受けさせるべき教育を考えたとき、インターナショナルスクールという選択肢ももちろん浮かぶだろう。東京を含む世界11カ国に展開しているイートンハウスに、インターナショナルスクールの課題やメリットなどを伺った。(取材日/2016年5月)
イオンモール3Fで課外活動

―――インターナショナルスクールの課題と、それに対するイートンハウスの解決策を教えてください

ダニエル・リー(以下、リー) まず、課題点としまして、非常に多くのインターナショナルスクールがありますが、課外活動できる場所は少ないです。両親は子供たちが週末何するか選択肢が限られます。私たちは、イートンハウス・インターナショナルスクールの他に、2014年、イオンモール3FにAdvance Learning Academy という課外活動ができるスクールを開いています。このスクールの特徴は、アジア各国から様々な課外活動のいいとこをを集めて提供しているところです。

 バレー、デコンドー、音楽、数学、中国語など、カンボジアでは珍しいと思います。ここではたくさんのプログラムがあるので、両親が連れてきて、1時間ダンスをやって、1時間テコンドーをやり、1時間中国語を勉強するということができ、子供たちにとってはとてもエキサイティングです。もちろんジャズ、ズンバ、ヨガといった大人向けプログラムもたくさんあります。

 イオンモール内に入れたことはとてもラッキーでした。1つは駐車場の心配がないこと。2つ目は、子供のレッスンの間、両親が出来ることがたくさんあることです。カフェに行ったり買い物をしたり。とても新しいコンセプトだと思います。

 カンボジアのインターナショナルスクールのもう一つの1つの大きな課題は、同じスタンダードではないことです。もしあなたがインターナショナルスクールにいって何かを学ぶとしましょう、それは、兄弟が他のインターナショナルスクールにいって学ぶことと同じではないことを意味します。

 イートンハウス・インターナショナルスクールは、シンガポールのカリキュラムと似ています。英語とマンダリンが共通語です。シンガポールで有名なフランチャイズで11か国にFC展開しており、小学校等の初等教育に力を入れいます。東京にもあるんですよ。カンボジアでは2013年にオープンしました。

 カンボジアの学校は、学校によりレベルが違うので、同じ学年でも学力が違います。例えば、8歳の児童が、うちの6歳と同じことを学んでいる可能性があります。それゆえ、入学時に生徒の教育レベルを見極め、、入学時の階級を決めています。年齢に関係なくその入学時の学年から1年ごとに階級が上がるシステムとなっています。

 2016年現在、我が校には130人の生徒が学んでいます。80%がカンボジア人で20%が他のアジアからの生徒です。

家族計画によって、インターナショナル校のメリットが変わる

―――インターナショナルスクールに入学するメリットは何でしょう

リー シンガポール人も日本人も同じだと思いますが、家族計画によると思います。ほとんどの家族が母国に戻って、母国の高校に進学したりします。そういう方には、日本人学校など母国語での教育が受けられる学校が望ましいでしょう。なぜならば、インターナショナルスクールに行ってから、母国の公立学校に戻るのは大変です。シンガポールの場合、インターナショナルスクールにカンボジアで行っていた生徒がシンガポールに戻って、公立学校に入った場合2年階級が落ちてしまいます。何を学んでいるかがぜんぜん違いますから。

 しかし、そのまま海外にとどまったり、他の国に行く人たちもいらっしゃいます。そういう方には、インタナショナルスクールがよいでしょう。母国の公立学校に戻らないのであればインターナショナルスクールに行き、海外の大学に行くのはとてもいい選択だと思います。

今は、両親が学校を選べる時代に

―――カンボジアの教育産業について教えてください

リー 私が来た2007年は単身赴任が多く、家族連れは少なかったです。何もないので奥様さえ来なかったです。今はレストランもアパートもエクササイズするところも何でもできたので、家族連れでの赴任が増えましたね。それにより、教育の需要も高まり、たくさんの学校がオープンしました。これは良いことでもあるし、悪いことでもあります。

 悪い面としましては、誰でも開校できるし、制限が少なすぎるので、レベルの低い教育を行う学校も横行していまうとうところです。しかし、反面、良いところとしましては、フランチャイズ展開ができるので、シンガポールや日本などから良い教育システムを持ってきて、先生もその国から雇えるので、高い教育水準が維持できるというところです。

 今は、両親が学校を選べる時代になりました。これからどんどん教育産業はいい意味で変わっていくと思います。

進出するならば適切なリサーチが大切

―――カンボジア進出を検討している日本人へ、メッセージをお願いします

リー 適切なリサーチが大事だと思います。たくさんの日本人日本企業がきて、失敗しているのを見てきました。失敗例としましては、カンボジアのやり方、文化を知らずに。日本の文化を強要してしまうようなことです。日本人はとても誠実でより厳しいのですが、カンボジアに来たら、よりオープンマインドでこの国の文化、風習を受け入れるとこだと思います。

 しかし、カンボジアはまだビジネスチャンスがたくさんあります。安全だし、政府も安定しています。。私自身9年いて、7つの会社を持っています。アジアでは外国資本100%で会社を持てるところはとても少ないですが、こちらでは、外国人にも多くのチャンスがあります。シンガポール、日本、香港はすでにたくさんのビジネスがあり、好機はとても少ないですね。良いビジネスだと思って人に話すと、もう誰かがしていたりしますね、しかも10年前に(笑)。

 なので、こちらに進出をされるのは非常に有意義なことだと思いますが、くれぐれもリサーチだけは怠らないようにしたほうが良いと思います。(取材日/2016年5月)


イートンハウス Eton House
事業内容:インターナショナルスクール
URL: http://www.ehis.co/
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