2018年1月5日
――ご自身の自己紹介をお願いします
クロイ・リティ(以下、クロイ) 私は12年間、ホテルや旅行代理店など、ホスピタリティ業界で働いています。観光業界とビジネス情報システム分野での経験により、コミュニケーションとマーケティング分析が専門分野ですね。
当ホテルには2年以上の立ち上げ当時から参加しています。 優れたチームワークと多大な努力の結果、弊社はプノンペンの有名なホテルの一つになりました。
――営業・マーケティング部門での業務内容について教えてください。
クロイ マネージャーとしての主な責務は、ターゲットを定めて会社の収益を生み出すことです。具体的には、チームをマネジメントする中で、マーケティング調査や広報を含むプランの計画、実施をしています。 また、直接販売と間接販売の戦略を策定して、取引をクロージングする役割も担っています。契約後も、顧客満足度、契約内容の確認などを行っています。常にチームワークを重視し、すべての従業員と効果的なコミュニケーションが取れるよう心がけています。
――御社は、ホテル内での水の製造など環境に優しいホテルを目指していると伺いました。最近、ほかの取り組みはありますか?
クロイ 当ホテルは、国によって正式に飲料水の製造販売を認可されています。ガラスの容器をリサイクルし館内で提供し、浄水室は国際的衛生基準を100%満たしています。
また、当ホテルではこれまで主に以下のような環境に配慮した活動を行っています。
・恵まれない子供たちへ使用済み石鹸の寄付
・「クリーンシティプロジェクト」に参加し、近隣のゴミを清掃
・ゲストがリクエストした場合のみバスタオル、歯ブラシ、ベッドシーツを交換
・ホテル内のエアコン、ライトセンサーによる省エネルギー活動
・ホテル全体の80%以上のLEDライト使用
・化学薬品の使用が少ない塩水プールの設置
・iPadでのチェックイン手続きの導入などによる紙資源の節約
・フレッシュな空気を取り入れる15種類以上の植物によるアトリウムの設置
私はこれらの活動のすべてが、我々の未来に繋がっていくと信じています。
――ホテル内の"Unplug Bar"や "SKY BAR"といったバー充実していますが、どのような人が利用し、どのようなイベントが開催されていますか?
クロイ Unplug Barは、ロビーにあり、お客様はリラックスしたり、人々を迎えたり、お好みの飲み物を選んだり、軽食をとったりできます。スカイバーはホテルの屋根の上にあり、夜になるとプノンペンの素晴らしい景色を見渡しながらオシャレな音楽と、創造的なカクテルをお楽しみいただけます。
この2つの会場は、特にビジネスマンと若い世代をターゲットにしています。ビジネスマンにとっての情報共有の場にもなりますし、誕生日、記念日などのプライベートなパーティー会場としてもご利用いただけます。
――カンボジアのホテル事業の現状をお聞かせください。
クロイ カンボジアのホテル業界は競争の激化により発展しています。現在プノンペンでは310以上のホテル、15,000以上の客室があり、前年と比較しても継続的に増加しています。競合他社の新たな参入により、各ホテルは市場シェアを獲得するための努力をしなければなりません。観光省と民間企業の取り組みにより、ホスピタリティの質は改善されてきています。 例えば、観光省は、中国人観光客の誘致に力を入れていて、我々はそのような市場動向に備えなければいけません。
――カンボジアのホテル業界でビジネスを行う際に留意すべき点を教えてください。
クロイ 例えば、適切な市場調査とコスト分析を行い、カンボジアに合った業務体系を整える必要があります。市場調査をもとに、ターゲットを明確にし、ホテルの立地、設備やサービスを決めていくといった感じです。競合他社との価格競争も容易に予想されます。価格設定は自由な市場ですので5つ星ホテルであっても、お客様が来なければ価格を下げるでしょう。その時に、ターゲットを見失わないよう準備しておく必要があります。法規制を踏まえたビジネスプランを立てるために、観光省からの情報にも敏感である必要があります。
また、カンボジア人の教育水準についても理解し、適切な人事管理のもと、彼らの能力を向上させることも重要ですね。
――政府は2016年から2020年までに観光客数を500万人から700万人に増やすことを目指しています。これを踏まえて、今後のホテル業界には何が必要でしょうか?
クロイ カンボジアの観光客数を増やすため、民間企業としてベンチマークを設定し、デザインの改善やイベント企画する必要があります。展示会の参加、海外への広報、独自のセールスポイントの開拓など、各ホテルのブランディングに投資すべきです。変化を続ける市場の動きに適応することが重要であり、高い水準のサービスを維持することによって、観光客がカンボジアに戻ってきたくなるような体験を提供しなければいけません。
――今後、カンボジアのホスピタリティ業界はどう変化するでしょうか?
クロイ 個人的には、観光産業への参入企業の数は急速に増加してると思います。5つ星のホテルが次々とオープンしていて、特にブティックホテルの人気は、中間層市場の多様化の例の一つです。さらに、観光客がカンボジアで体験できることに素晴らしい多様性が見られるようになってきています。カンボジアのホスピタリティ業界の未来は、1週間未満の観光客の滞在期間を長くするために、国内の観光地の拡大やサービスをさらに促進することにあると思います。
――将来の展望を教えてください。
クロイ 弊社のビジョンは、世界のホスピタリティ業界における先駆的で優れたサービスから常にインスピレーションを得ることです。当ホテルでの取り組みのすべてにおいてベストを尽くし、信頼できるチームを築き、持続的な業績を上げることで他社との差別化を図り、顧客に期待以上の驚きを届けることを目指しています。当ホテルはお客様に素晴らしい経験を提供することで、カンボジアのホスピタリティ業界に良い影響をもたらすと信じています。(取材日:2017年10月)