2015年1月8日
(前編からの続き)
現在建設されているビルの中で300-500という価格帯が非常に少なく、とても残念なことです。なぜならそこには、かなりの需要があるからです。我が社の社員も、その家賃帯に住んでいる人が多いです。その価格帯で、良い物件が供給できていません。
さて、人々はカンボジアの賃貸物件は、比較的安いというイメージを持って来るのですが、実際来てみると少しも安くはないという現実を目にします。例えば豪で800ドル払えば何か借りられるかといわれると、おそらくその値段帯の物件はありません。発展途上国であるカンボジアに来て800ドルも出せばさぞ素敵な物件に巡り合えると思いきや…。あるカップルはフレンチコロニアルスタイルのアパートが、その価格帯でたくさん見つかるという希望を持ってやってきましたが、ほとんど無いのです。
売買物件は上昇していますし、特に中央付近でそれが顕著です。賃貸物件の価格はかなり安定しています。我が社で言いますと、オンラインビューがこの12か月かなり増えています。実際移住してきている人も、かなり増えているように思えます。様々な社会的、経済的背景の人々がカンボジアを訪れます。ビザの面で見ると、カンボジアはASEANの中でも容易に移住できる国です。そのようなライフスタイルを求めてやってくる人にとっても楽なのです。
また経済的機会の上昇も、ここ数年では確実にみられるようになりました。もしカンボジアの政府がCNRPと折り合いをつけ、人々の衝突が無ければ、この国は更なるブームの真っただ中だったかもしれません。海外の投資家はカンボジアに興味津々です。ただ、現在の政治状況に手綱を引かれている人がいるのも確かです。全てではありませんが、今も多くの人が投資目的で訪れていますし、環境の容易さから直接投資も増えていると言えるでしょう。
どこの不動産業界でもそうですが、投資はまんべんなく行われます。ただ主なものは中心地が多いですね。ボンケンコン(BKK)1、7マカラ(MAKARA)、ボンケンコン(BKK)3、トンレバサック(Tonle Bassac)など。ボンケンコン(BKK)1をハイエンド投資の中心として考えた時、その周りを見ても不動産投資が活発に行われていることがわかります。ダイヤモンド・アイランド(Ko Pich)も目まぐるしく変わっています。エンターテインメントと居住性が混在しており、目を見張るほどの変貌です。更にはこれらすべての不動産に言えることですが、販売にさほど苦労していないところが、今後の展望を考えた時に重要なポイントとなるでしょう。
オフィスに関していえば自分が必要なものを明確に決めることです。次にその必要な条件をクリアする物件の価格帯を理解すること。どのようなエリアであるべきか、デスティネーションビジネスの場合多少中心から外れてもその独自なサービスを求めて人は動きます。そのため中心にある一等地でなくてもボンケンコン(BKK)3、トゥールトンボン(TTP)でも良いでしょう。その5分10分をかけてでも、お客様が訪れるからです。しかし小売りやサービス業なら、ボンケンコン(BKK)1やリバーサイド、或は隣接する地区にいる必要があります。そこにすべてが集まっているからです。まずは自社の目的と、その業種の中心地区がどこであるのかを理解すること。なぜならカンボジアの場合は、業種によって地区別に集約される現象が多くみられるからです。
カンボジアの不動産サービスは自由度が高いです。あなたが借り手なら、我が社や数多くあるサービスの中でも、きちんとライセンスを持っている会社を選ぶべきでしょう。良い代理店なら契約プロセスも早く、比較的容易にしてくれます。まずはプロセスを知ること、懸けられる予算の把握、どれくらいの期間契約する必要があるのか等です。
近年は、多くの物件の契約年数上限が5年に引き下げられました。例えば改装などで多額をかける場合、5年という期間は決して長いとは言えません。回収するのに10年かかるかもしれませんし、もしそうだとしたらそのような契約が可能な物件の選択肢はかなり狭くなります。それらすべてを勘案したうえで選びます。特にプノンペンでは、希望のすべてを満たすものは少ないかもしれません。希望するものに利用できるか、契約条件やデポジットは納得できるものか、改装中はレントフリーにできるか。もし答えがイエスなら、すぐに契約すべきです。プノンペンの不動産業界の流れはとても速く、特にNGOなど国外の関係機関での調整に時間がかかる団体でよく見られるのが、すべての審査を通る頃には、その該当物件が無いことがよくあります。物件の契約に関してはスピードが重要ですね。
購入に関しては、会社として物件を購入する場合、所有権を考えたほうがいいですね。オフィススペースでしたらSOHOユニットの売り出しもはじまりました。1つまたは複数のユニットを購入して、オフィスとして利用することができます。この物件に関しては先ほど申し上げたストラタ・タイトルの設定があります。そのような制度がない物件の場合(soft/hard title)、有効な所有権の取り決めをする必要があります。正式に登記された会社の場合、土地を登記しただけではリスクが高いので、議決権を51%以上にする必要があります。こうすればローカルパートナーの名義が含まれたとしても、会社の判断に口出しをすることが不可能となります。
次に長期リースというものがあります。50年+50年の契約になるのですが、正直最近はほとんど見られません。更にこれは人気の高い方法で、特に住宅で多いのですが、ノミニー制度を利用するものです。カンボジア人の友人もしくはノミニーの扱いのある会社、もしくは弁護士や不動産会社を通して設定します。あなたの資金で、しかし名義はカンボジア人のものになります。そこに100%の不動産抵当権を付けることにより、抵当の除外もしくは満額支払いがない限りは第三者に売り渡すことができないのです。このような手法で土地を守ります。ですからまずはどのシステムなら納得できるか決めたうえで、賃貸の時と同じようなプロセスに進みます。
何に必要なのか、投機目的の購入なのか、ロケーションありきなのか、ハイエンド物件を探しているのか、長期の投資を考える場合は、住宅か商業物件の両方を検討する必要があります。自身のニーズを考えることからです。単にオフィス利用のみなら、話は戻りますがその業種によるでしょう。その目的と業種に合ったロケーションが重要です。
購入する会社のほとんどが、この両方の面を追い求めて物件を探す場合が多いです。特定のロケーションである必要はある、しかし投機目的も重要。10年後にはより大きなスペース、もしくは別な場所を検討するかもしれない、その時の(売り抜けの)資本増強を考えての決断だったりします。そこをクリアしたら、あとは信頼できる代理店を探すことです。(取材日/2014年7月)