2015年6月19日
(前編からの続き)
――これまでで、最も苦労したことはなんでしょうか。
チャナンヤラック・ピェッチャラット(以下、チャナンヤラック) どんな業種であっても困難は出てきます。大切なのは戦略を練り、予測できない事情があった時の対応策を用意しておくことです。
2011年のことですが、幅広い洪水の影響で交通網が麻痺しました。多くの道路が寸断され流通網は断絶されました。Don MaungとThonburiのサービスセンターも洪水の被害を受け、拠点移動を余儀なくされました。その時に我が社では事故対策プランを策定し、顧客への影響が最小限になるよう心がけました。もちろん従業員の安全確保も必要です。状況を細かくチェックし、安全を最優先にしながらお客様への情報提供や必要な場合は代替え手段の提案を行いました。
私は長年の経験から失敗なき成功はないと考えています。全ては失敗した時の対応により変わると思います。その失敗から学び経験を積むかどうかで今後の成功へとつながります。
――他社との違いは何でしょうか。
チャナンヤラック 我が社はクリアな目標を立て、それに向けて戦略を練っています。DHLエクスプレスカンボジア支社は順調な成長を続けていますので、今後もマーケットの先頭に立ち続けていくつもりです。
我が社は常に新しいビジネスポテンシャルを発見しています。それらはネットワークとテクノロジーへの投資により、顧客にとってもより良い環境になると考えています。もちろんコスト管理は重要ですが、既存の組織を活用することにより顧客との関係も良くなるでしょう。
そして何よりも我が社の成功は従業員の努力の賜物です。DHLの成功は個々の努力の上で成り立ちます。献身的な、そして情熱的な全従業員の意識が他社との差別化になると考えますし、未来の成長の力の源であると思います。我が社は引き続きCIS・CIMプログラムを活用した人材育成を行うつもりです。お客様へ最善のサービスを提供するには刻一刻と変化する状況を読み取る力と知識が必要だからです。
――カンボジアに進出するうえで、留意することはなんでしょうか。
チャナンヤラック カンボジアは様々な分野で自由市場と言えます。政府の取り組み方もビジネスフレンドリーですし投資や新規参入を活発に呼ぶ込む環境整備を心がけています。カンボジア政府による、自由市場経済主義への変革で今後も投資や参入が増えていくと予測されます。また2015年ASEAN統合により、カンボジアと周辺地域は益々魅力的な市場となり得ます。さらには商品やサービス、人材の移動も活発になるでしょう。
しかし、カンボジアのような国に参入を考えるときには、マーケットの特徴や国の文化、様々な規制の状況などの理解を深めることを怠ってはいけません。
――日系企業へのメッセージをお願いします。
チャナンヤラック 我が社は今後も独自のサービスを構築し顧客の細かなニーズに対応していきます。同時にネットワークやテクノロジーの投資にも力を入れ、更に国際的な水準でサービスが提供できるよう努めていきます。大切なのは顧客の傍に立ち、彼らがビジネスの為に何を必要としているのかをきちんと理解することです。そこを押さえることで顧客の細かな要望がわかりますし、商品をカスタマイズすることも可能になります。我が社は顧客に信用され、選ばれるサービスでありたいと常に考えています。(取材日/2015年3月)