2015年6月16日
――簡単に自己紹介をお願いします。
チャナンヤラック・ピェッチャラット(以下、チャナンヤラック) 私は様々な企業で20年以上のマネジメント経験があります。DHLの前はモトローラ・タイランドのカントリーマネージャーを務めていました。その間会社は記録破りの成長を続けました。その他にもコロンビアガスやオラクル、SASなど多様な分野の企業で経験を積んでいます。
――DHLの魅力とは何だと思いますか?
物流は国の経済成長の鏡です。物流に注目するとその国の成長具合や経済事情がある程度理解することができます。流通はネットワークと人材、そして改革がすべてだと感じます。この業界で働くということは、芸術的な側面と科学的根拠の両方を持ち合わせていなければならないと感じます。革新的である必要もあると同時に、早く正確に、が大前提です。それを達成して企業の成長を続けていくには良い人材の育成が不可欠です。マネジメント業務とは、ある種芸術だと思っています。キャリアの選択を迫られたとき、DHLと物流に興味を持ったのもそんな理由からでした。
DHLエクスプレスはカンボジアの流通業界に革命を起こし、今もなお強い人気を誇ります。現在、60人の従業員と約1800の顧客を抱えています。ドアtoドアで国際荷物の配送サービスを行っており、緊急を要する書類から普通の荷物まで取り扱っています。最短で翌営業日からの配達を世界220カ国、12万の地域宛に集配送しています。DHLエクスプレスカンボジアもこの流通網の一部です。
――カンボジアでの流通事情について、どのようにお考えでしょうか。
チャナンヤラック カンボジアは門戸の広い環境整備のおかげで企業に取って参入障壁が少ない国です。政府の活発な誘致のおかげで投資企業も増えてきており、製造業も増えてきました。
ロジスティクス分野はこれら経済事情の変化、世界情勢の変化や消費者意識の変化、そしてテクノロジーの発達により益々成長していくと思われます。IT環境の向上、商品の個性化、さらに新たなマーケットの成熟により今後も確実な成長のポテンシャルがあると考えます。
ここ数十年でカンボジアは社会的にも経済的にも大きな変化を遂げてきました。それに伴って、我が社の環境もより複雑になってきています。その一番大きな要因は消費者意識の変化です。さらにテクノロジーの発達も忘れてはなりません。どんな業種でもそうですが、特に流通業界はこの2つの変化をまともに受けてしまいます。ですから、常に環境の変化に対する準備や対応策ができていなければなりませんし、予測できない場面も当然ありますので、常に注意する必要があります。
2015年のASEAN統合により、この一帯への投資環境は益々活発になると予想されます。経済統合によりASEANの注目度も上がり、ビジネスをする場所としても魅力が増すことでしょう。投資環境の活発化だけでなく、様々な商品やサービス、そして技術力のある人材も集まってくると思います。
世界を代表する物流会社として、DHLは顧客と地域の橋渡し役になると考えています。DHLは、長年の経験や世界的なネットワーク、そしてASEANマーケットの的確な把握により、今後も確実に成長していく見込みです。(後編に続く)(取材日/2015年3月)