2017年1月23日
――カンボジアへの投資は、人材業界にどのような影響を与えているんでしょうか
温小勇(以下、温) そうですね、毎年沢山の国がカンボジアに投資をしています。1位は中国、2位は韓国、そして3位が日本ですよね。その他はヨーロッパかな。しかし、特に東アジアからの投資が多いと思います。中でも最近は不動産投資でしょうか。新しい家、新しいビル、年々数多くの建物が建てられ、次いで、衣料品や靴などの縫製工場でしょう。
人材は、作業員やオフィス職員はもちろん、マーケティングやマネージメントなど、投資関連全てに関わるものです。今後も投資が加速・拡大すればするほど、人材分野も広がっていくと言えると思いますね。
――人材サービスに何が求められているんでしょうか
温 一番は求人掲載ですね。求人票の掲載は現時点で最もコストが低い方法です。Webサイトやフリーペーパー、新聞等に求人情報を載せることで、低コストでいち早く人を雇うことが出来ます。
次いで、リクルートメントサービス。投資家や企業が何度かカンボジアに足を運び、いざビジネスを始めようとした時に頼れるサービスです。現地の平均賃金や求人職種など、基本的な情報が分かりますし、お互いが希望する条件を予め提示するため、時間やお金のロスを避けられます。外国企業にとっては、こちらが一番馴染みがあるんじゃないでしょうか。
最後に、職業訓練ですね。このサービスは特に学生に多く利用されています。例えば、大学での専攻は通信だけれども、スキルアップのため全く違う職種に就きたい。そういった場合に、研修施設に入ります。もちろん、投資家サイドにもメリットはありますよ。いざ、カンボジアに来たけれども、条件に合う人を雇えなかった。その際まず人を雇い、追って研修を受けて必要なスキルを養うことが出来ます。
――職業訓練サービスの内容を教えて下さい
温 まず、我々のメイン事業は、ページビュー数は毎月300万件、求職登録者は4万人以上のカンボジアで最大の求人サイトです。職業訓練サービスについては、つい最近始動したところなんですよ。
この事業では、地元の研修施設30社以上と提携しています。研修施設にとっては、Webサイトや営業部隊を持たない会社も多いため、我々の求人サイトを使って集客が可能です。一方、我々にとっては求人サイトを訪れる求職者への新たな出口として提案することができ、また研修講師を探すのは難しく自社で研修講師を雇うつもりはありませんでした。ですので、お互いウィンウィンの関係を保っていますね。
――現在、カンボジア人に必要な技術は何だと思われますか
温 難しい質問です。各業界で求められているスキルが違うため、一概にこれが一番だとは言えませんね。もちろん、会計業務は会計に詳しい人、工場勤務であれば特定の機械を動かせる人、英語や中国語が求められることもあります。
ただ、研修やトレーニングには大きなチャンスがあると思いますよ。例えば、ノートパソコンの操作。これはたった5日間の研修で、確実にパソコンのスキルがアップします。その他にも短期間で技術を伸ばせるものは沢山ある。そういった分野の研修規模は、今後益々大きくなるでしょうね。
――高い技術を習得できる研修センターはカンボジアにたくさんあるのですか
温 我々のところはそうですが、他は分かりません。もちろん地元の専門学校や研修施設は市中にたくさんありますよね。何を学ぶか、もちろんトレーニングセンターによって、長所短所は様々です。
――返答が難しいのを承知でお伺いしますが、将来、カンボジア人に必要な技術は何だと思われますか
温 本当に難しい質問です。将来は、より技術職が求められると思います。既に、多数の外国企業がカンボジアに投資をしていますが、業況を見るとこれから益々、インフラの部分、高速道路等に投資をする人が増えるんじゃないでしょうか。市外の住宅地や商業施設を見ても、市内と市外を結ぶ動きは今後2-3年で更に加速するでしょう。そうなった場合、建設部門の技術者需要は拡大しますよね。例えば、シアヌークビルも今後4-5年で開発されると言います。
将来何が大事かは一概には言えませんが、将来どの業界がホットかを考えると見えてくるかもしれませんね。例えば、建設やインフラです。政府は地方の開発も積極的に行っていますから、5年後もまだ熱い分野ではないでしょうか。(取材日/2016年8月)
(次回へ続く)