――まずは、自己紹介をお願いします
イン・チャンニー(以下、イン) 私は元々教師です。タイのキャンプで経理や英語、一般教養を高校教師に教えていました。1992年、国連開発計画(UNDP)と国際労働機関(ILO)による零細企業発展プロジェクトへの合流のためカンボジアへ来ました。当時地域経済発展機関のプノンペンエリアの局長として着任しましたが、翌年UNDPの協力を経てカンボジア地域経済発展機関(Cambodian local economic develop agency、アクレダの前身)をNGOとして形成しました。当時国内5か所の支店があったので、それらを全て統合させたわけです。私は初代代表に選任され(設立当初28人の役員)その後2期4年、1997年まで代表を務めました。タイでの教師生活から一転、経済関連NGOの代表となったわけです。
――アクレダ銀行について教えてください
イン はい。アクレダは持続可能性という点を大きなミッションとして掲げ、さらに当初4つの目標を掲げていました。97年の終わりにはその目標を全て達成しすべて自己収益で運営できるようになったので、NGOから専門銀行と移行を開始しました。準備から許認可取得までは2年かかり、2000年には400万米ドルの資本金を準備しました。設立当時アクレダNGO、アクレダ労働組合はじめIFC、DEGやFMO等の欧州系経済基金団体が株主として名を連ねました。その後2003年には資本金を1300万米ドルまで増額し、商業銀行へと変更しました。私自身は2000年当時にGMに選出され、商業銀行へと変更後2004年にCEOに着任しました。
我々は2008年にラオスへ進出(商業銀行41支店)し、その後2013年にはマイクロファイナンス事業(6支社)でミャンマーへ進出しました。その他にも2つの事業を手掛けています。
当行では電子取引(モバイルインターネットバンキング)にも力を入れております。現在カンボジア国内では255本支店、個人や企業合わせて140万口座(2月現在)を誇ります。2010年から国内最大手(シェア5割以上)となり、2013年のNBCレポートではすべての部門で(預金残高、貸出残高、支社数、純利益)トップとなりました。
――カンボジアの銀行業界について少しお話していただけませんか
イン カンボジアには35の商業銀行と12の専門銀行があり、マイクロファイナンスも39社と人口や国の規模に対する金融機関の数は多いと感じています。貸付残高94億ドル、預金残高100億ドルを超えます。GDP比では貸付残高が54.6%、預金残高は58%となっています。当行はそのうちともに2割を超えるシェアをもっています。
2014年は業界全体では対前年比28%増と強い成長でしたが、当行は対前年比35%増加でした。経済的にも政治的にも安定しており、アジア開発銀行の今後数年のGDP成長の見通しも良いので、しばらくは安定すると見られています。
国内では数多くの銀行が林立しており競争は激しいとは言えますが、同時にそれぞれ専門分野を持っているので競合するとまでは言い切れません。(取材日/2015年3月)