国際労働機関(ILO)と国際金融公社(IFC)協力の下、ベター・ファクトリーズ・カンボジア(BFC)が実施した調査によれば、全体の15%に相当する縫製工場が、数週間分の注文しか確保できていない状況で、操業継続が危ぶまれている。調査は、4月2日に発表された米国によるカンボジア製品への報復関税(トランプ元大統領による決定)が業界に及ぼす影響を評価する目的で行われた。
調査対象はBFC登録の756工場のうち203工場で、以下の結果が判明した:
・55%の工場が6ヶ月先までの注文を確保
・30%の工場が6ヶ月以上の注文を確保
・44%の工場は原材料と注文状況に基づき、少なくとも3ヶ月間は稼働可能
・15%の工場は、現時点で確定注文がない
カンボジア労働組合連盟(CATU)のヤン・ソポーン会長は、「関税交渉が不調に終われば、一部の工場閉鎖や移転が起き、労働者に深刻な影響が出る」と警告している。
カンボジア縫製・履物・旅行用品協会(TAFTAC)のケン・ルー事務局長は、「通商不確実性により、多くのバイヤーが年後半の発注を見送っている」と述べた。調査では、27%の工場がバイヤーから2025年注文において価格引き下げの要請を受けたとされており、追加関税の影響でバイヤーがコストを工場側に転嫁している傾向がうかがえる。
一方、26%の工場は新規顧客の開拓に成功。業界全体としては、人材採用、研修強化、自動化投資、米国以外の市場開拓を通じて危機対応を図っている。
なお、2024年時点で、縫製品の37.19%は米国向けに輸出されており、米国市場への依存度の高さが今回の関税の影響を増幅させている。