カンボジア商業省が発行した「iTrade Bulletin」によれば、2024年の電子商取引(eコマース)市場規模は15億1000万ドルに達し、国内総生産(GDP)の6.68%を占めた。報告書では2025年の市場規模を17億8000万ドルと予測している。
商業省は、インターネット普及とモバイル決済の増加がeコマース拡大の背景にあると説明する。2024年時点でインターネット加入者数は2,190万人、電子ウォレット登録数は3000万口座に及ぶ。一方、Facebookユーザーは1165万人、TikTok利用者は996万人とされ、SNSを通じた「ソーシャルコマース」が市場の主流となっている。
しかし、報告には実利用者数と登録数の区別がなく、eウォレットやSNSアカウントの「アクティブ率」は不明である。また、GDP比6.68%に相当する収益が具体的にどの範囲(商品売上、手数料、広告収入、越境取引など)を含むのかは明示されておらず、統計的な解釈には注意が必要である。
さらに、FacebookやTikTok、Telegramへの依存度が高いカンボジアのeコマース構造には、これらプラットフォームの方針変更や技術的制限によるリスクも内在する。現時点でこの点への言及はなされておらず、今後の市場の持続可能性には懸念が残る。
同省報道官は「eコマース市場は便利で迅速、安全かつ信頼性も高く、消費者にとって好ましい」と評価し、同分野が長期的経済成長の牽引役となる可能性を示唆した。
また、中国系商工会議所デジタル経済専門協会の幹事で、オンラインマーケット「スマイルショップ」CEOのジャック・リー氏は「カンボジアでは4G通信が国土の8割をカバーしており、eコマース成長の土台が整っている」と述べ、SNSを活用した販路の広がりを指摘した。