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日本の厚生労働省は、カンボジアのNEA(国家雇用機構)に対し、カンボジアにおけるサービスの質の向上強化を目的とし、パフォーマンス評価のための仕組(PAF)の導入、顧客満足度調査等の実施の支援をしている。
このプロジェクト(Japan-WAPES Joint Project)は、アジア太平洋地区の公共雇用サービスの持続可能性を強化することを目的とし、世界公共雇用サービス協会(World Association of Public Employment Services=WAPES)と日本の厚生労働省との共同プロジェクトだ。
WAPESは、1989年に設立された、雇用政策や公共職業安定所(日本ではハローワーク)を所管している行政機関等により構成される国際機関として、加盟国間の情報交換や経験の共有、多国間・二国間協力の促進や、調査・研究を行っている。現在は約80か国が加盟しており(ILOはオブザーバー参加)、日本は厚生労働省職業安定局が、カンボジアはNEA(国家雇用機構)が加盟している。
また、カンボジアでは、官民の様々な職業紹介機関が求人企業と求職者の橋渡しをしているが、このうち公共職業サービスについては労働職業訓練省傘下のNEAが実施している。
プロジェクトの一環としてNEA幹部、WAPES職員、各国の専門家が5日、カンボジアで最大級の民間人材紹介会社であるクリエイティブダイアモンドリンクス社(CDL)を訪れ、同社の事業概要の説明や事業目標達成に向けた社員のマネジメント手法、顧客満足度の向上方法などについて説明を受けた。
同社CEOの鳴海貴紀氏は、「顧客満足度の向上には秘策など無く、日々細かな課題に気付き、直ぐに改善することの積み重ねだ。コンサルタントというからには顧客とのコミュニケーションや話す内容が重要であることは当然だが、それら直接的な接遇は属人的な部分に影響されるため、職業紹介機関として、均質な接遇のための組織づくり、仕組みづくり、動機付けをきちんと整備することが重要になる」と述べた。
NEAは、このプロジェクトを通じて民間企業の先進的な取り組みから学習することも狙いの一つだ。参加者の一人は、「民間企業がここまで詳細に事業や従業員のパフォーマンスを管理しているとは想像もしなかった。また顧客満足度の向上するための方法については大変参考になった。NEAでも可能なことは取り入れたいと思う」と語った。