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カンボジア人を雇用する日本人の苦悩 Vol.2

能力あるスタッフを評価したい
K.S
(前編からの続き)これまでの経験からすると、面接で採用できるのは10人に1人位です。全く働いたことのない学生が、土日祝日休み、学校があるので、勤務時間は朝8時から17時まで、給料は150ドル以上ほしいと平気で言ってきますから。3年前はそんな子はいなかったし、とりあえず働きたいですと言うピュアな子が多かったのに。
 イオンで働く事にあこがれみたいなのはあるようで、イオンの中でスタッフがジョブホッピングしそうな気配です。
H.K
能力次第ですよね。能力あるなら150ドル余裕で払います。能力ない人に150ドル払ったら、能力ある社員に失礼ですね。
K.S
そうなんです。能力の無い、ただ勤務時間中、時間を潰してるようなやつほど給料上げろって言ってくる。長時間そこにいる事で、自分は良く働いてると勘違いしてます。
 本当に良くやってる子はチームリーダーに抜擢して、150ドル以上払ってます。能力のある経理、IT、通訳は200~400ドル払ってます。
 こっちで大事なのは危険察知能力かも知れません(笑)。本当に「えーっ」ていう事が頻繁に起こり、そんなんに即対応したりしないと、あっという間に時間が過ぎてゆき、すり傷かなと軽く思ってたら骨折してたみたいなことがあります。
 でもちゃんとできれば結果は出ると思うから、大阪よりはマシかもしれませんね。
人員供給システムがカギ
H.K
カンボジア人スタッフはそういうものです! そういうものとして体制作っとくしかありません。
 「この人が欠けたら困る」という人がいてはならないのです。もちろん人員構成が日本と比べて冗長となり、人件費がかさみお小遣いが減りますが、心の平安にはかえられません。
K.S
おっしゃるとおりです。余分に雇って、辞められたら困る子を作らないのが、スタッフを勘違いさせない最善の方法と思います。
 これまでいろんな不正もされてきましたし、最初はすごく良い子がお金を目にすると変わってしまう。いかにお金に触れさせないか、いかに不正をできない仕組みを作れるかがここでは非常に大事です。
 辞めると言ってきたスタッフに理由を確認しようと、再度来てもらい面談したのですが、最初はマネージャーのセクハラとか、別の女性マネージャーが人前で大声で叱ったからとか言ってました。でも実は、もう一つ理由があって、イオンの別のテナントで職が見つかったそうです。
 うちよりも勤務時間が短く、給料が高く、昼メシまで出してくれるそうで、うちが給料をその会社と同じ位に上げてくれるならば戻って来ると言われたけど、もういいわと言いました。
 まだ入って1か月しか経ってなくて、オープンもしてなくてどれだけ戦力になれるかも分からんのに、はいそうですか、では給料上げましょうとは言えないです。この子の給料上げたら全員の給料を上げないとダメだしね。なんやかや理由を並べてたけど、結局は金みたいでガッカリです。うちの管理が悪いのか?
 ちなみに転職先は、8時間勤務の昼飯付きで160ドルだそうです。うちは9時間拘束で昼飯1時間休みなので、8時間勤務で120~130ドルです。いきなり20%も上げられますか? 1日も実践で働いてないし。
 今のスタッフも何かよそからいろいろと聞いたみたいで、福利厚生や昇給、残業、休日出勤手当やボーナスなんかについてアレコレと騒ぎ始めてます。上の子の話を聞くと余計にうるさくなりそうです。
 明日、40人一気に面接します。とりあえず絶対数を確保して黙らせないとね。何人使えるか?
解りませんが…。うちの条件決して悪くないはずですけどね。オープンのゴタゴタでホント疲れます。
I.K
面接40人、お疲れさまです!
K.Sさんの管理が悪いんじゃなくて、転職するカンボジア人に問題があるんです。しかしスタートが160ドルからってあり得ないですね。ブラフかも?
スキルが身に付いたら200ドル払うんですかね。それなら就職希望者は沢山いるでしょうね。そのテナントさんにぜひお話をお聞きしたいです。
おわりに――対談を終えて
K.S
今後は目標を共有できるように工夫したいと思っています。基本的には素直で従順、大らかなスタッフ達が大好きですし、憎めない子が多いです。日本ではできない様な体験をさせてもらってる事に感謝してますし、できるだけ長く彼らと働きたい、辞めないでくれといつも願っています。
I.K
日本の常識は世界の非常識。義理も人情もない世界で、くじけずに、されど現地化せずに商売をするのは大変ですねぇ・・・。
H.K
カンボジア人は不思議なほど日本人に気質が似ていると感じています。しかし、一つの勤め先に対していい意味でも悪い意味でもこだわりがないのは、他の国とやはり同様であり、むしろこの面では日本人のほうが特殊なのかもしれませんね。

K.Sさん、40人面接の後日談

オープン二日前に40人と面接、内12名を採用。その日の夕方に、電話で明日から出勤する様に指示。翌日(オープン日前日)に12名を研修。オープン当日に出勤した者が6名、昼食に出て戻って来たのは内3名だった。


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