2016年6月24日
―――自己紹介をお願いします。
ジュリアス・シーマン(以下、シーマン) プノンペンポスト紙を発刊するポストメディアという会社で、ビジネス開発ディレクターをしています。主な仕事内容は、新たな収益源や新しいメディア製品の開発を行い、それぞれに適した出版戦略やPRコンセプトの決定です。
例えば1年前、私は利益を上げるため、広告収入アップのプロジェクトを担いました。第一段階として、社説の独創性より打ち出す戦略を立てます。例えば、広告主を怒らせてしまう可能性があっても、それを敬遠するのではなく以前より徹底的に市場を分析する。結果的に、信頼性の高い社説は、我々の読者を増やすことになり、これは広告主に弊誌の優位性をアピール出来ますよね。
また、広告露出を増やすため、全てのメディアを横断的に使用したクロスメディア記事広告を開始しました。紙媒体はもちろんオンライン紙面やソーシャルメディア、様々なチャネル上の読み手に届き、今のところ非常に機能していますね。
―――最近のホットなトピックを教えて下さい。
シーマン 商業的な観点から言えば、現在メディア企業は出版チャネルの多様化に伴い、広告提案も幅広くなりその対応に忙しくしていますよ。我々も他社に負けないよう、広告を効果的に読者に届けるため多くのプラットフォームを提供しています。
デジタル革命以前、広告主はテレビやラジオCM、紙媒体の広告に予算を費やしていました。出版物の黄金時代でしたね。 今はデジタル配信に可能性を感じます。出版社は、印刷物と共にオンラインでもコンテンツを提供する必要があり、ソーシャルメディア広告や、オーディオ、ビデオなど、可能がある全てのコンテンツを使用します。このような取材に対応することも重要度が増してきていますね。弊社はメディア革新を、継続的な課題にしています。
―――最近の新聞業界について教えて下さい。現在部数は増えていますか?
シーマン カンボジアのメディア業界は、始まったばかりでまだ厳しい市場ですよ。 カンボジアは人口も少なく、新聞広告の収入も低く、出来ることが制限されています。生き残るため、特に新規参入者には厳しいでしょうね。
情報省のウェブサイトには、国内の新聞や雑誌が100紙登録されていますが、同省の内部リストによると実際に動いているのはわずか約30紙です。 失敗した出版会社の多くは、広告収入を得るため最大の過ちを犯してします。それは広告主を喜ばせるため、彼らが望むものを書くこと、まるでプレスリリースのようにね。すると読者にとってはどの新聞も同じになり、他紙全てが競争相手になり得ます 。結果、読者がいない媒体に広告主を呼び込むことは出来ず、その手の新聞は消えていく仕組みです。 もちろん、広告収入に頼っていない企業も何紙かありますが、これは政治的な意味を持つものがほとんどであり、例えば次の選挙で目的が達成すれば、このような出版物の資金は枯渇していくでしょうね。まあ、 時が教えてくれますよ。(取材日/2016年4月)
(次回へ続く)