2018年2月26日
――御社は人材開発、それに基づく調査、アウトソーシングを行っていると聞きました。各事業について教えてください。
サンドラ・ダミーコ(以下、ダミーコ) 弊社HRインクは、様々な事業を展開しています。
まず、給料に関する調査を多く行っています。興味がある方には、カンボジアにおける給与情報を提供可能です。給料に関する情報だけでなく技術的調査、経済的調査など多くのHR調査を行っています。弊社はカンボジアで唯一、給与調査を行っているため、クライエントの多くから給与予算、HR予算に関するプランニングの依頼を受けます。詳細まで調査しており、毎年調査を実施している唯一の会社です。
またアウトソース事業も行っています。市場開拓を希望しつつも、カンボジアに直轄拠点を持たない多くのクライアント企業にご利用頂いています。例えば大規模プロジェクトの開催にあたり短期間労働のスタッフが必要という場合に、弊社は労働力を供給します。その範囲はドライバーや掃除担当者、セールスレディなどありとあらゆる分野に亘ります。その中でも、税金の支払い、労働法の遵守、国の規制に従った雇用を全派遣スタッフに補償しています。そして、派遣スタッフに関する給与管理と遵守を行います。給与計算ソフトウェアやオンラインでの給与管理を希望するクライアントに対しても、給与計算とコンプライアンスの管理が可能です。
最後は、リクルートメントです。クライアントのニーズによって、上はCEOレベルまで対応します。また、集約されたカンボジア市場において様々な業種のクライアントをサポートするため、業界毎の専門家チームを用意しています。
――御社はカンボジアで最大の人材紹介会社だとお聞きしました。御社の強みを教えてください。
ダミーコ 御社はカンボジアで開業した初のHR 会社です。2005年に創設し、全サービスを展開してきました。顧客サービスやサービスの提供、コンプライアンスに強化したため、現在のNo.1の位置を維持できているのだと思っています。
御社は競合他社と同価格でサービスを提供する中で、クオリティを重要視しています。弊社の強みは、人、チームです。多くのチームは10年近くに亘り私と共に活動してきました。弊社を育て上げてくれ、理解も深いです。弊社は現在、ミャンマーでも成長していますが、スタッフ全員がその成功にも貢献してくれました。
最初は非常に規模の小さな会社として始まりましたが、スタッフと会社が共に成長を遂げ、今ではミャンマーを含め他国への進出や共同事業も行っています。今後はカンボジアの会社として、アジア地域におけるHR業界のリーディングカンパニーとなることが私のミッションであり、ビジョンです。
――前回インタビューを行った2年前から、どのような変化を感じますか?
ダミーコ カンボジアは非常に速いスピードで変化しています。この業界の競合企業も非常に増えました。競争力が高まるのは弊社に革新や新しいチャレンジをもたらすので、非常に良いことだと思っています。
一方で進出企業が増える中で、税金を払わない、法を遵守しない、コンプライアンスを重視しないといった企業も多くいます。数か月前、カンボジア政府は各企業に対し会社登録を促しました。これが非常に重要になると思っています。
カンボジアにおける人材業界に対しては、私は非常に楽観的です。今後も成長を続けると思います。
――御社を利用する日系企業のクライアントは多いのでしょうか?
ダミーコ 進出する日系企業の増加に伴い、弊社を使用するクライアントも増えています。
日系企業のクライアント数は他国に比べ多くはないものの、大規模な会社であることが多いです。反対に、ヨーロッパ系企業のクライアントは多いですが、会社の規模は大きくはありません。また、アメリカ、韓国、中国、香港、シンガポール、マレーシアの企業も多く利用してくれています。
――様々な言語のスピーカーを用意しているということでしょうか?
ダミーコ はい。アジア地域の日本、中国、韓国、タイ、ベトナムはもちろんのこと、フランス、アフリカなど、多地域の言語での対応が可能です。
――カンボジア人はASEANで最低の教育水準だと言われています。多くの外国企業がカンボジアに参入する中、御社はカンボジアの求職者と海外企業を繋げる際に注意している点はありますか??
ダミーコ まず、私自身カンボジア人スタッフと共に働いていますが、個人的にカンボジア人はASEANで最も教育水準が低いとは思っていません。
カンボジアの歴史を見てみると、他のASEAN諸国とは教育の歴史が異なり、知識人、教育を受けた人々をクメールルージュにより失っています。1997年に、ゼロから再生しなければいけなかったのです。しかし、カンボジア人は学ぶことに貪欲ですし、特に言語に関しては吸収スピードが速いです。教育水準が低いというのは、適切な言い方では無いと思っています。
どう文化を学びに結びつけているかどうかが大きな違いを生むと思います。人は失敗から学びます。失敗した際もサポートし、なぜ失敗を起こしたかという理由を考え、学べる環境を作り上げることが出来るはずです。
学びは教育という側面だけでなく、生活全般において得るものです。そのため、教育に対する責任は、誰しもが持っていると思っています。特に人生における学びのほとんどのことは、仕事で得られます。教育だけでなく、仕事においても人々には成長する機会があるはずだと言いたいです。何のために教育を行うのか、考えてみてほしいと思います。そのため、投資家による教育分野への投資が、重要だと思っています。
カンボジア人と日本企業のマッチングも行いますが、カンボジア人の多くが日系企業の厳しさにトラブルを抱えていると思います。カンボジア人はフレンドリーで易しく、日系企業のような厳しい環境には慣れていません。カンボジアにも規律はありますが、日本の規律とは異なります。企業と求職者のマッチングミスを防ぐために、我々は日系のクライアントからインタビューを行い、環境に適応できる人材を探します。最近では多くのカンボジア人が日本に勉強しに行き、カンボジアに戻ってきているため、日本の文化や日本人の働き方を理解している人が多いようにも感じます。そうしたことからギャップはどんどん小さくなっているとは思います。弊社のスタッフにも日経企業で働いた経験のある者、日本での生活経験のある者がおり、日本の文化や働き方を理解している彼らが日系クライアントへの対応を行っています。
カンボジア人と日本人がお互いを理解し、適応し合うことが重要だと思いますね。
(次回へ続く)