2016年9月14日
―――どうしてカンボジアで不動産仲介業を始めようと思われたのでしょうか
青山英明(以下、青山) カンボジアに来る前は、外資系大手生命保険会社のIT部門でサラリーマンをしながら、株取引で作ったお金を元手に日本で不動産賃貸業をしていました。そして2012年にサラリーマンを引退。当時はリーマンショックの煽りや原発のリスクもあり、国外への分散投資を考えていました。
カンボジアを選んだ理由は、第一は面白そうだからですね(笑)。私自身、身内がベトナムでビジネスをしており、度々訪れていたので状況を把握していました。ただホーチミンは大都会で大手企業の進出も盛んですよね。そんな時にカンボジアに来て、インターネットはそこそこ速く、上水道も整備され、タイやベトナムに比べ英語が通じる環境、また、100%外資で法人設立が可能なのが魅力でした。デメリットに思える人口の少なさですが、これはマーケットが小さいので大企業が入りにくく、中小企業にはメリットでもあります。大手の人海戦術には中小企業には敵いませんからね。ある程度のインフラが整っているのに何もない、投資として何かやれそうだと思いました。
リサーチを開始して驚いたのが、大手不動産開発会社の予想賃料が自分で調べた金額と大きく違っていたことです。そこで正当な売買価格の調査を始め、ウェブサイト上で公開を行いました。
当時はプノンペンでも相場がなかったため、どこでどんな物件がいくらかを知る術が無く、類似物件が2ブロック離れた先ですと倍の開きがあったりする事もありました。しかし情報公開していくと、市場の均一化が起こります。売買も同じで市場価格が知れる様になると、それが相場になり、下げ圧力にもなる。それと良い物件情報があった時に自分の所に真っ先に情報が来る訳ですから自分が買うのにも都合がいいなと思ったのがきっかけですね(笑)。
―――自社の強みを教えて下さい
青山 Angkor-home.comで公開している独自のデータベースです。カンボジアは日本の様に外に出ないで営業なんてできないですから、今でも市内を網目のように走って直接オーナーさんと会って情報を集めています。
地道な活動を重ねて集めた膨大な情報を集計し、平米単価や条件、オプションを加味すると全部データとしてエリアごとの相場や平均値を出せます。賃料相場に関しては、弊社が一番正しい数字を把握していると思いますよ。
――まず事業所物件や商業物件として最近ではどのような選択肢がありますか。それぞれの家賃相場や特長など、また進出する会社の業種や規模別でアドバイスをお願いします
青山 日本と比べて相場が無いので安く抑えようと思えばいくらでも安くなるのがカンボジアですから、下は色々とありますし、上は日本並みの価格の物件があります。選択肢の幅が広いのがカンボジアの特徴ですから、戦略を決めずにブレると、物件条件が変わってしまうため、なかなか良い物件には出会えません。まず戦略を決めて、狙う顧客層を決めて、物件を選択する。どの業種にも言えますが、カンボジアに来るとあれもこれもと目移りしがちです。最低限のマーケットリサーチを最初にして戦略を決めてから取り組む事をお勧めします。
―――なるほど。住宅物件についてはいかがでしょうか。外国人が住みやすい場所とか職場から近い場所、治安など気にする点がいくつかあるかと思いますが、現在はどのような物件を借りることが出ますか。また、日本から初めてカンボジアに赴任する方に向けて、注意すべき点はありますでしょうか
青山 プノンペンは非常に小さい町ですので、移動手段さえ確保できて渋滞にさえ気を付ければ、よほど職場から遠くない限り場所はそれほど問題にならないです。問題になるとすれば治安ですが、外国人でセキュリティを重視するのであれば月額350ドル~400ドルは最低必要になります。これが今人気のBKK1地区ですと最低でも500ドルからになります。
高級物件ですとプール、ジム付きなど豪華な設備が付きますが、日本で同じ金額では絶対に借りられない条件の物件が安く借りられるのはカンボジアの魅力の一つですね。(取材日/2016年4月)
(次回へ続く)