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THONG Khon観光省大臣 インタビュー
(2017/05発刊6号より)

タオン・コン大臣写真

タオン・コン観光大臣が語る

観光大国カンボジアの実現

直行便の就航により、両国の友好関係はさらに強固に

―――カンボジアと日本。観光業の観点から、両国の関係性について教えて頂ければと思います。

 現在、カンボジア―日本間には、ANA(全日本空輸)による直行便が運航しています。カンボジアは、アンコール王朝の時代により日本との間に良好な通商関係を築いてきました。古くは1632年、森本と名乗る商人が、中国戦で熊本からクメール王朝時代のアンコールに旅をし、日本人として初めてアンコール寺院を訪れました。そのことは、寺院の壁面に刻まれています。

 1992年より日本は、カンボジアにとって重要な援助国となっており、現在、両国間の友好関係はより強固なものとなっております。今年は、日本・カンボジア間の国交樹立60周年にあたり、「将来に向けて信頼関係を強化する」という考えの元、輝かしい将来に向けてその信頼関係は変わることはないでしょう。

 近年、両国の人的交流は強化されています。と言いますのも、直行便の定期運航がANAによって昨年9月1日に実現したからです。一日一便が東京―プノンペン間を結んでいます。また、カンボジア・アンコール航空によって東京―シェムリアップ間のチャーター便も運航されます。

観光産業がGDPの12%を占める

―――目覚ましい成長を見せてきた観光業ですが、その成長について、国としての数値目標があれば教えてください。

 フン・セン首相の素晴らしい政権運営のおかげで、カンボジアは平和で安定しており、観光をはじめとするあらゆる分野で着実に発展を遂げています。なかでも観光分野はここ20年の間に大きく前進し、「グリーン・ゴールド」と称されるカンボジアの文化と自然は、32億ドルの恩恵をカンボジア経済にもたらしています。これは2016年度のGDPの12%に当たります。

 カンボジア観光に関する報告書によると、2016年に海外からカンボジアを訪れた旅行者数は500万人に達し、前年比5%増となりました。日本からの観光客も年々増加しており、今や19万1577人となっています。

 また、今年1~2月の海外からの観光客数はすでに130万人に達し、そのうち4万人が日本からの渡航客です。2か月ですでに前年を11%上回っており、この成長が継続されれば年内には540万人が、また2020年には700万人が世界各国からカンボジアを訪れることとなるでしょう。これは約50億ドルの経済効果であり、およそ1000万人の雇用を国内全域で生み出すことにつながります。そして日本からは35万人の観光客がカンボジアを訪れてくれることと期待しています。

日本からの観光客誘致に向けて4つの戦略を策定

 
―――観光客の誘致に向けて、観光省で行っている施策を教えてください。

 日本からより多くの観光客を誘致するために、観光省では4つのテーマに沿った戦略計画を策定しています。

 まず、文化遺産、都市機能、ショッピングモールなど日本人旅行者が好む観光商品の開発を行い、商品の幅を広げること。2つ目は、すでに日本はカンボジアにとってトップ3の投資国ではありますが、ビジネスマンや観光客に魅力的な投資先としての開発を行うこと。

 3つ目は、高級・高品質なデスティネーションとしての開発を行うこと。そして最後に、両国のツアーオペレーター、特にカンボジアの日本人ツアーオペレーターとの信頼関係、協力体制を強化すること。この4点です。

 政府としては、世界遺産であるアンコール遺跡群、神聖なるプレアヴィヒア遺跡、様々な文化遺産、自然遺産、美しい地形やビーチ、クメール料理、伝統、そして温かみのあるホスピタリティを基にした魅力的で清潔なグリーンツーリズムの国、Kingdom of Wonder、温もりの国としてカンボジアを成長させていく決意を固めています。

“One service, one standard”

―――また、カンボジア人の生活もより豊かになり、カンボジア人観光客も増えていると思います。観光省としてどういった取組みをされていますか。
 
 国が平和になってきている中で、カンボジア人の生活はどんどん発展していますね。実際に国内の観光も増えています。

 観光省の取組みとしては、国内の娯楽施設の改善、およびサービスの質の向上が不可欠だと思っています。アジアのスタンダードに答えるためにも、観光サービスにおいて“One service, one standard”、”One person, One skill”の強化を図りたいです。 

 また、海外へ行くカンボジア人の数も増えています。2015年の120万人に比べ2016年は140万人。国内にある観光協会について、現在はインバウンド、アウトバウンド、そして国内観光の3つがあります。以前は全て一緒にしていましたが、今はそれぞれに分けてシステム化しています。

日本―シェムリアップ間の直行便も検討中

―――観光業において、カンボジア人と外国人の好みの違いは何ですか。

 もちそん、国や市場によってそれぞれ異なりますが、一番注目しているのは中国人観光客ですね。昨年における中国人の海外旅行客は世界全体で1億2000人、アジア圏内で2000万人、カンボジアでは83万人です。また今年、カンボジアを訪れる中国人観光客の数は100万人近くを到達すると予想され、2018年は200万人を目指しています。中国人観光客の特徴として、豪華で新しいものを好む傾向があります。ホテルもハイクラスで、質や清潔さも重要視します。これは日本人やヨーロッパ人にも言えますね。

 また中国人が買い物に時間を費やすのに比べ、日本人は文化や社会、環境に関する観光を好みます。今ではプレアヴィヒアも世界遺産になり、日本人観光客もよく訪れる場所です。好みや性格など、各国の特徴に合わせた戦略を考えることが必要ですね。

 しかしサービスに関しては、全ての観光客に対して同じサービスを提供する必要があります。大切なのは、その内容と質です。また、観光市場の発展に合わせ、開発も進めなければなりません。

 タイやマレーシア、シンガポール、インドネシアでは早くから直行便が整備され、それらの国と比べるとカンボジアを訪れる日本人の数は少ないと思います。日本人観光客は年相応の方が多く、直行便を好みます。日本―プノンペン間の直行便はすでにあるため、現在、観光地として人気の高いシェムリアップへの直行便を検討中です。また、プノンペン到着後すぐにシェムリアップへ出発できるようなシステム作りも考えていますね。これは、観光客の増加に大きく繋がると思います。

2020年までに20万人の人材育成が必要

―――観光に携わる人材について、いいサービスを提供するためどういった人材育成を行っていますか。

 スキルある人材の重要度は高く、いい人材無しでは、質の高いサービスも提供できません。一般的に、8人の観光客につき1人のサービス提供者が必要だとされており、カンボジアは500万人の観光客に対して、サービス提供者は60万人です。2020年には観光客700万人突破を目指しており、これは80~100万人近い人材が必要ということになります。サービスに対する苦情は特には見られませんが、全員が良いサービスを提供しているとは言えないようです。そのため、今ある人材の教育、新たな人材の創出が必要です。

 また、その教育を行う学校が必要ですね、2020年までに20万人の新たな人材を生み出さなければならず、そのためには1年間に5万人の人材教育が必要です。しかし現状としては学校が足りず、教育が行き届いていません。そのため観光省としても、他国からの資金提供をもとに、プノンペンに2つ、シアヌークビルに1つ学校を建設予定です。また、シェムリアップにあるNGOが観光業の教育を行っています。

 現在観光業で働く人材の中で、スキルを持っている人の割合は少ないと思います。マーケティングやマネージメントの勉強をしても、そのスキルを仕事に生かせる人は全体のうち30%のみです。しかし学校を作り、実践的な勉強ができれば、就職率を100%にすることも可能だと思っています。また実地調査や、質の高いサービスを提供する場所に証明証を授与するなどの施策も必要ですね。ぜひ、個人投資家にも学校建設に協力してほしいと思っています。10年後に観光業がさらに発展していることを期待しています。

今後は、観光用施設とインフラの充実が必須

―――観光業における課題や問題点があれば教えてください。

 一方で、カンボジアには旅行商品や施設・設備が不足しています。首都プノンペンをはじめ、シェムリアップ州、沿岸地区やエコ・ツーリズム地区で、4つ星ホテル、豪華な5つ星ホテル、高級レストラン、近代的なショッピングモール、娯楽施設や子供向けの遊園地、観光客向けスポーツ施設などを開発し、旅行者のニーズに合わせた効果的な運営管理をしていかなければなりません。

 また、観光地への道路、港、空港などのインフラ整備への投資も歓迎いたします。特に航空会社の皆様には、直行便の増便をお願いしたいと思います。

 旅行者の利便性を上げるために、カンボジアでは到着時に観光ビザを発給するサービスやネットでのビザ発給を行っています。また、最近では、日本人観光客および投資家に対し、1年間、2年間、あるいは3年間有効な複数入国ビザを発給する方針を採用しています。

―――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

 両国の連携、信頼・協力関係や航空路線の利便性が、観光や投資を後押しし、近い将来、より多くの観光客および投資家の方々が日本からお越しになることを楽しみにしています。


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