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特別レポート(2020/01発刊11号より)
カンボジア観光投資についての可能性
~観光統計、ニュースから考察するカンボジア観光産業への投資~(2/2)
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観光イベントへの投資

 様々な国内観光イベントがカンボジア全土で開催されているが、例年の定番となっている大イベントが、3月のリバーフェスティバル(川祭り)、4月中旬のクメールニューイヤー(新年のお祭り)、10月~11月のウォーターフェスティバル(水祭り)、そして12月のシーフェスティバル(海祭り)となっている。

 また、スポーツツーリズムも盛んとなってきており、中でもマラソンに関しては、1996年から続くアンコールワット国際ハーフマラソン(12月)、プノンペン国際ハーフマラソン(6月)、クメールエンパイアフルマラソン(8月)、シハヌークビルマラソン(3月)、ボーコー国立公園マラソン(10月~11月)、そして2019年度に初開催されたコンポントムハーフマラソン(11月)などがある。

 その他にも、アンコールウルトラトレイル(1月)、キリロムエレファントトレイル(7月)、自転車レース、キリロムMTBレース(12月)、モトクロス大会なども開催されている。

 その他、シェムリアップには世界的に知名度の高い歌手なども訪れ、アンコール遺跡内でのコンサートや文化イベントなども開催されている。

 筆者が所属する観光省プロモーションマーケティング部では、こういった様々なイベントサポートのほか、カンボジアを広めてくれる各種メディア(テレビ、出版、インフルエンサーなど)に対する予算を組み、各種支援を行っている。内容は、撮影許可どり、ガイドや車両の手配のほか、具体的な企画の相談から手配までのワンストップサービスも受け付けている。

~カンボジア各地への海外投資ニュース~

ここ1年間で発表された、観光に関係する投資ニュースを紹介したい。

【シェムリアップ】
野生動物公園と水族館計画を発表アンコールワイルドライフ&アクアリウム社が2019年5月に計画を発表。予算は7000万ドル。100haの敷地をすでに準備しており、第1フェーズは1800万ドルを投資し、2021年5月から開始。第2フェーズではボタニカルガーデンやエキシビションホール、爬虫類サイト、レクリエーションエリア、ショッピング、宿泊施設などが検討されている。

【シェムリアップ】
新シェムリアップシティ計画浮上2019年9月16日に開催された第3回ツーリズムマスタープラン策定委員会にて、現在のシャムリアップ市から60㎞東に建造されている国際空港エリアに新しいシェムリアップ市を作る計画が盛り込まれていることが発表された。

【シェムリアップ】
新複合リゾート施設を計画シェムリアップ州内の50haの敷地にタイ企業が2億ドルをかけた複合リゾートエリアの開発を発表。エリアには別荘地やリゾート、飲食店、水上市場などのアトラクションのほか、恐竜をモチーフとした20haのテーマパークなど入る予定。

【シェムリアップ】
シェムリアップ新空港建設市街地から51㎞東に位置し、敷地は700ha、投資額は8億8千ドル。第1フェーズ完了後は、年間700万人の旅行者の受け入れが可能となる予定。2022年末に完成予定。

【プノンペン】
ヒルトンホテル2022年にプノンペンでオープン。具体的な立地は公表されていないが、セントラルマーケット近くではないかと関係筋からの情報がある。280室程度の部屋を準備し、レストランやジムなどのファシリティも完備。

【プノンペン】
新プノンペン空港建設状況2023年初旬に工事完了予定。プノンペン都南部タクマウ州から30㎞ほどの地域に建造。2019年9月より工事着工となり現在も順調に工事は進んでいると発表された。この空港が稼働することにより、エアバスA380-800s、ボーイング747-800sも離着陸が可能となり、1万8000人の雇用が生まれるという。

【コンポンスプー】
ワールドクラスレーシングサーキットが2020年度にオープン。コンポンスプー州内モンルティアグリツーリズムサイトに、日系企業とのジョイントベンチャーでワールドクラスのサーキット場が2020年度にオープン予定。

【シハヌークビル】
シアヌークビル空港、滑走路拡張工事シハヌークビル空港では近年の急激なフライトの増加を考慮し、現在2500mある滑走路を2020年中頃を目処に3300mへ拡張する。投資総額は2100万ドルとなる。

【カンポット】
カンポット港工事順調新しい海のゲートウェイ、カンポット港の工事(2018年8月の工事着工、2019年度末完成予定、ADB支援)が順調に進んでいる。今後カンボジアにとっても重要な物流ネットワーク、国内外をターゲットとした観光港となっていくと期待されている。

【バッタンバン】
トータルカップレース耐久2019開催2019年12月6日~8日、バッタンバン州内にある軍用空港施設で、トータルカップバイクレースが開催された。イベントはオープンクラス(アンダー150cc)、耐久(135~200cc)などの5つのカテゴリーに分けて開催。

【コッコン】
Temiツーリズムプロジェクトに5億ドルの投資コッコン州にて新しい観光開発Tem(iTourism,Ecological,MarineandInternational)ツーリズムプロジェクトが発表。プロジェクトには800室の5つ星ホテルやコマーシャルセンター、ゴルフコース、バンガロー、ヴィラ、アミューズメントパークなども含まれている。投資額は5億ドルとなる。

【カンボジア】
プノンペンーベトナム間高級クルーズ船運航開始ビクトリアメコンクルーズがプノンペンーベトナム・カントー市を結ぶ高級クルーズ船の運航を開始した。クルーズ船は総客室数35室あり、船内には360度見渡せるレストランや図書館、スパ、シネマルームなどを完備しており、河沿いの村々を回る4~5日のコースがあり、料金は906$からとなっている。

【ベトナム】
ビザ30日ルールが廃止ベトナムを観光する場合、15日以内の滞在だと日本人はビザ免除となる。ただし、2015年6月より、前回のベトナム出国日より30日経過していない再入国時は新しくビザを取得する必要があるという決まりがある。この決まりが来年2020年7月1日にはこれが廃止されることが決定された。これにより、日本→ベトナム(ハノイ)→シェムリアップ→ベトナム(ホーチミン)→日本などの観光ルート設定も可能となるため、より多くの都市訪問が可能となり、東南アジアエリア全体のか訪問者数が伸びることが期待される。



  西村清志郎
Nishimura Seishiro

カンボジア在住歴15年、旅行会社、出版社、宿泊施設運営など長年にわたり 観光業に携わっている。現在は、観光省プロモーション&マーケティング部(はJICAシニアボランティア派遣満了)アドバイザーとして観光省に勤務している。主な業務はカンボジアへでのイベント、撮影コーディネート、日本人観光客、視察、学生ツアーなど誘致、広報活動などとなっている。高知県出身。


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