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  • 政治
  • 2017年6月14日
  • カンボジアニュース

救国党の躍進はリスクを伴うと識者が指摘[政治]

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(c)Phnom Penh Post

 今月4日に行われた地方選挙での野党の躍進は、来年の国民議会選挙に大きく影響すると見られて、政府からの反発も懸念されると識者は指摘している。プノンペンポスト紙が報じた。

 先日行われた地方選挙では与党の人民党が51%、最大野党の救国党が44%の議席数を獲得し、人民党は2012年には97%もの行政区で勝利をおさめていたものの、今回は71%に減少している。

 無党派の調査グループ、スティムソン・センターにより開催されたフォーラムでは、今回の野党の躍進は前例がないと評価した。

 人民党がカンボジア地区評議会の議席の多くを失ったのは、人権、腐敗、経済発展などにおける救国党の政策が支持されたことと、これらによって引き起こされている環境悪化への懸念が要因にあると研究者のコートニー・ウェザビー氏は発言。環境に悪影響を及ぼす開発プロジェクトなどは、カンボジアにおいて腐敗の認識と密接に結びついており、来年の総選挙では重要課題になるだろうと指摘した。



 著者のセバスチャン・ストランジオ氏も、森林破壊や土地収奪のような、より具体的な環境問題への対策が選挙において大きな役割を果たすと指摘し、今回の救国党の選挙キャンペーンでも顕著に見られたという。

 2013年の総選挙以降、フン・セン首相は環境大臣に最年少大臣となるサイ・サムアル氏を抜擢するなど、人民党も環境問題に関して方針を変えている。

 一方で、躍進する救国党に対し、人民党は脅威を示し、ティア・バニュ国防相は先月、野党の抗議者を打ち負かすと発言。フン・セン首相も先月29日に、国家の安定維持のためならば、100~200人殺害すると発言した。

 この数字は、100~200人の死傷者を生み出した、1997年のラナリット第1首相派との間で起こった武力衝突をなぞらえたものであると、カンボジア政治に関する本を出版する著者のソーパール・イヤー氏は指摘。また来年の総選挙の結果についてストランジオ氏は、「救国党が勝利できるという兆候はあるが、人民党が権力を放棄するとは思えない」と述べた。

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