カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

  • 経済
  • 2017年2月3日
  • カンボジアニュース

デジタルファイナンスにより カンボジアのGDP、6%上昇の可能性[経済]

 デジタルファイナンスがカンボジアの国内総生産(GDP)を6%押し上げる可能性がある。クメールタイムズ紙が報じた。

 アジア開発銀行(ADB)とコンサルティング会社オリバー・ワイマンとマイクロセーブが共同で作成した「東南アジアにおけるデジタル・ファイナンスによる金融包摂の加速」という報告書の中で、デジタル・ファイナンスは、持続可能な経済発展のため重要な役割を果たし、支払いサービスが利用できない人々の最大40%、信用貸しができない人々の20%の需要に対応できるという。

 その金融効果は、インドネシアやフィリピンでは2%~3%、カンボジアでは6%のGDPを押し上げる可能性があり、1日2ドル未満で生活している人の収入を、インドネシアとフィリピンでは10%、カンボジアでは約30%増加させられるとしている。また、電子決済では17億ドルを生み出し、5億ドル以上の節減に繋がると見積もられた。



 しかし、報告書では依然としてカンボジアの金融包摂環境は大きく歪んでおり、貧しい人々への信用貸しが改善したにもかかわらず、多くの人々が融資を受けていないことを指摘している。

 カンボジアでは、マイクロファイナンス機関(MFI)によるモバイル支払いの積極的な参入により、2016年にはそのようなサービスを通じてお金を受け取った人々は約33%に上るが、一方で、成人の13%しか銀行口座を所有しておらず、正式な金融機関だと4%未満だ。

 現在、モバイル・マネー・サービス・プロバイダーのいずれも預金サービスを提供しておらず、MFIも、預金のための大規模ネットワークを開発することができていない。そこでカンボジア国立銀行は、第三者に対する既存ライセンスの補完または代替が可能な支払いサービスプロバイダーライセンスの導入に取り組んでいる。

 同報告書は、カンボジア、インドネシア、ミャンマー、フィリピンの東南アジア4か国の金融業関係者を80人以上インタビュー、調査した。

関連記事
経済
カンボジアの不良債権比率が7.9%に上昇、資産の質に懸念――世界銀行報告[経済]
(06月13日)
経済
小規模企業向け融資残高35億ドル突破も信用懸念──建設分野の延滞率21%に[経済]
(05月08日)
経済
カンボジアと日本、QRコード決済連携を推進──普及と実装に課題も[経済]
(04月27日)
経済
カンボジア、ブロックチェーン金融に本格始動──民間主導でデジタル化加速[経済]
(04月16日)
経済
個人ローン急拡大でNPL比率上昇──中央銀行が警戒感[経済]
(04月11日)
経済
カンボジア金融セクター、不良債権急増で収益圧迫[経済]
(03月26日)
あわせて読みたい
特集
隠れた“フィンテック先進国”カンボジア ~スマホ・携帯による送金額は国内総生産の半額規模にまで到達、急速に普及する金融×IT先端サービスの行く先は?~ (1/4)
特集
急拡大するカンボジアのマイクロファイナンス市場。存在感を増す日系企業の参入と巨額投資、そのマネーが向かう先の実体は?(3/3)
特集
急拡大するカンボジアのマイクロファイナンス市場。存在感を増す日系企業の参入と巨額投資、そのマネーが向かう先の実体は?(2/3)
特集
急拡大するカンボジアのマイクロファイナンス市場。存在感を増す日系企業の参入と巨額投資、そのマネーが向かう先の実体は?(1/3)
業界
アプリケーションの開発に試行錯誤を繰り返した[金融・保険] シン・チャン・モー(1/2)
経済の最新ニュースランキング
最新ニュース