デジタルファイナンスがカンボジアの国内総生産(GDP)を6%押し上げる可能性がある。クメールタイムズ紙が報じた。
アジア開発銀行(ADB)とコンサルティング会社オリバー・ワイマンとマイクロセーブが共同で作成した「東南アジアにおけるデジタル・ファイナンスによる金融包摂の加速」という報告書の中で、デジタル・ファイナンスは、持続可能な経済発展のため重要な役割を果たし、支払いサービスが利用できない人々の最大40%、信用貸しができない人々の20%の需要に対応できるという。
その金融効果は、インドネシアやフィリピンでは2%~3%、カンボジアでは6%のGDPを押し上げる可能性があり、1日2ドル未満で生活している人の収入を、インドネシアとフィリピンでは10%、カンボジアでは約30%増加させられるとしている。また、電子決済では17億ドルを生み出し、5億ドル以上の節減に繋がると見積もられた。
しかし、報告書では依然としてカンボジアの金融包摂環境は大きく歪んでおり、貧しい人々への信用貸しが改善したにもかかわらず、多くの人々が融資を受けていないことを指摘している。
カンボジアでは、マイクロファイナンス機関(MFI)によるモバイル支払いの積極的な参入により、2016年にはそのようなサービスを通じてお金を受け取った人々は約33%に上るが、一方で、成人の13%しか銀行口座を所有しておらず、正式な金融機関だと4%未満だ。
現在、モバイル・マネー・サービス・プロバイダーのいずれも預金サービスを提供しておらず、MFIも、預金のための大規模ネットワークを開発することができていない。そこでカンボジア国立銀行は、第三者に対する既存ライセンスの補完または代替が可能な支払いサービスプロバイダーライセンスの導入に取り組んでいる。
同報告書は、カンボジア、インドネシア、ミャンマー、フィリピンの東南アジア4か国の金融業関係者を80人以上インタビュー、調査した。