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業界別インタビュー

2015年7月26日

カンボジアで検品・物流のワンストップサービス、大森&トーマス[運輸・物流]山崎豊 (1/2)

運輸・物流

大森&トーマス・ロジスティックサービス Omori & Tomas Logistic Service
General Manager: 山崎 豊 Yamasaki Yutaka
明治6年創業の歴史ある物流会社で、検品事業も併せて行うカンボジア物流の先駆者、大森&トーマス・ロジスティックサービスのGeneral Manager山崎豊氏にカンボジア物流業界の現在・未来について伺った。(取材日/2015年3月)
立ち上げ屋として赴任したカンボジア

―――山崎さんの生い立ちをお聞かせください

山崎 豊(以下、山崎) 大森廻漕店というのは神戸で100年以上歴史のある物流の老舗です。将来は船乗りになりたいという小さい頃からの夢があったので、当時商船大学(現在は神戸大学に吸収)で船について学んでいました。乗船実習として半年間ほどは乗船しているので就活ができないのですが、普通ですと企業から逆指名が入るような学校でした。卒業すると商船三井や郵船などに就職していくのですが、私の時は海運不況でどこからも引き合いが無かったのです。とりあえず、船のエンジンを作っているということでヤマハ発動機に内定が決まっていたのですが、大森廻漕店に入れば転勤が無いと聞いていたので入社しました。最初は神戸にある情報システム部に配属され、確かにこの分だと転勤は本当に無さそうだと安心していた2年後、アメリカの船会社の日本支社に2年ほど出向することになりました。特に希望した訳ではないですが、経歴から選ばれてしまったようです(笑)。

 本社へ戻るときには、会社が海外展開することなって新しくできた国際開発室という部署に配属されました。そこから私の海外人生が始まったのです。最初はタイでした。そこで倉庫を設置するなどベースを作るまでに結構時間がかかり、7年ほど滞在しました。その後はマレーシアに3年、インドはかれこれ7年ですね。インド滞在中はそこを拠点にしながらバングラディシュなどにも行ったりしました。私は立ち上げ屋みたいなものですから、一つの場所に長く居るのは良いことではないのです。むしろ、早く次の国へ移るのが私の役目です。

―――なるほど。そんな中、どうしてカンボジアに進出されたのですか

山崎 他の国もそうですが、もともとは付き合いのあるお客様からのニーズから始まりました。私たちは運送屋ですが、メーカーなどが工場を作る際には、工場の建設や生産ラインの調整、原材料の輸入、製品の輸出、またそれらのコントロールなどもやって欲しいという依頼が来るんです。1社、2社だけの顧客だけではビジネスにはならないので、そこの国に拠点を設けて、もっと顧客を開拓していく。カンボジアは6割から7割が繊維関係や靴ですが、繊維の物流をするとなると、検品所を設けざるを得ないのです。海上運送、航空運送だけではお客様は満足されないですね。全部やって欲しいと。あるいは、工場の生産管理までやることもあります。

独自の強み

―――物流会社が生産管理や検査までやるのですね、驚きました。どんな検査をされているのですか

山崎 これが独特なのですが、プレイスペクションと言いまして、いろんな工場で生産された繊維製品を、日本の市場に持ち込むには検査しなければ、なかなか受け付けてくれません。欧米向けであれば、ボタンが一つ無いとなっても消費者も気にされないかもしれませんが、日本の場合はそうはいきません。まず外見検査です。例えば、カンボジア製という表記は英語でも「MADE IN CAMBODIA」と入れないと輸出できません。

 その次は、X線検査です。最も怖いのはミシン工場で針が折れて混入されたりする場合です。一つ一つを検針器という金属探知機を使い、針などの混入がないかを検査します。このチェックが終われば合格品として輸出ができます。日本へ輸出する物は、このようにしなければなりません。厳しいところでは、金属探知機の感度にいたるまで指定されます。ほとんどの縫製工場でも、このような検査をしているはずなのですが、上がってきた製品を実際に検査してみると、酷い工場では7割から8割はリジェクトされます。リジェクトされた製品は工場に送り返し、悪いところを直して、再度持ってきてもらいますが、それでも1割はだめですね。

実質的なコスト

―――問題点が多いですね

山崎 そうですね。また、これまで、なんでもかんでも中国に頼り切っていましたよね。中国製は、品質的には日本製より劣るけど生産コストが安い。あれだけの労働力があり、安く仕上げられるし、地理的にも有利です。しかし、ここにきて中国の生産コストが上昇し、日本企業はやりにくくなりました。タイもマレーシアも東南アジアの中では先進国ですから、今さらそこにシフトするのもどうかとなる。そうなるとカンボジアやミャンマーになるわけです。

 メーカーさんは、とにかくお金のことだけを考えて進出しちゃうのですが、勉強不足な点も否めません。こちらの状況をきちんと調査されずに進出して、失敗して、やっぱり中国に戻しますというケースも結構出てきています。人件費が年々2、3割上がってきます。その上、品質も悪いし、労働力も限られていると。外資が工場を建てまくれば、労働者を争奪しますので、賃金が高騰しています。品質と労働コスト、物流費用をトータルで考えると中国の方が安いという見方もできるのです。(後編へ続く)(取材日/2015年3月)


大森&トーマス・ロジスティックサービス Omori & Tomas Logistic Service
事業内容:総合物流サービス、倉庫保管、検品、検針
URL: http://www.omori-kaisoten.jp/
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