カンボジアに進出する日系企業のための
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TOP INTERVIEW
トップが語る、カンボジアビジネス
(2015/9発刊3号より)
カンボジアという国は惚れるか耐えられないのかの2種類に分かれると思います(2/2)

カンボジア・ラオス・ベトナム全域をカバーする唯一の調査会社として様々な情報と経験を持つインドチャイナリサーチ。カンボジア人の妻と二児を持つマネージングディレクターのカール・リモイ氏の言葉からはカンボジアに対する思いがにじんでいた。

カンボジアビジネス成功のためのヒント

カンボジアビジネスの成功の鍵を握るものとは一体何なのだろうか。

前回からの続き
 私たちは社会的調査だけでなく近年は商業目的の調査も数多く手がけています。ロックフェラー財団やUSAID、JICA、UNICEFなどの国際的なNGOは主に開発支援プロジェクトの影響査定の発注が主になります。商業目的の調査は市場調査や参入前調査など、自国の調査会社が提供しているような内容をカバーしています。また、カンボジアでは特に若者の動向調査に力を入れています。国民の6割が25歳以下という人口構成は、この層を理解することによりカンボジアの未来の開拓になると考えているからです。

 カンボジアに於いて調査業に携わっていて、国のポテンシャルやチャレンジが良く理解できるようになりました。資源豊かな国ですし、若者は未来に向けてとても前向きに考えているところなどは大きなポテンシャルだと感じます。特に農業分野はきちんと計画を立てていけば今後ASEAN地区に置いて大きな産業に成長するのではないかと考えています。

 アジアとヨーロッパは文化や考え方がだいぶ違うので、その違いを理解したうえでの業務遂行が必要になります。人間の行動パターンや人口統計学等をよく理解しておかないと調査業務の際にも主観が入りますし、消費者行動の予測も立てられないと思います。

 さらに地理(地方)によっても需要等が変わってくるので市場をどこに狙うかによっても大きく変わってきます。昨年カンボジア最大になるイオンモールがオープンし一定の成功を収めているようですが、今後もいくつか類似の計画があります。市場調査が結果を左右することも大いにあり得ます。

 カンボジア(の調査業界)では先入観から結論を出そうとする人が多いです。彼らは深く理解しているかどうかに関わらず答えを出してくることも多々あります。その点を見抜くのはトレーニングを積んだ人でない限りは難しいでしょう。今では多数の会社が市場調査や参入前調査のサービスを提供していますが、その多くの会社が長年の経験と科学的証拠を基にしているとは言えません。このような会社のサービスは格安かもしれませんが、間違ったデータを基にした調査は後に大きなリスクとなるでしょう。

 また、カンボジアは暗い歴史もあり、年齢層によってはそれに配慮する必要もあります。そしてそのトラウマは世代を超えている場合もありますので、気を付けなければいけません。その暗い歴史がきっかけで家族を大切にするという習慣が生まれたと思います。その習慣も消費行動に影響しますからね。

今まで一番つらかった出来事を、どう克服したのか

 格差がほとんどないヨーロッパから来るとカンボジアの格差について衝撃を受けることが多々あります。権力を振りかざし、他人を利用するような現実に悲しみを受けたことも多いですが、同時に目を覚ましました。新しいことにチャレンジしようと励みに変えた一面があります。西洋の恵まれた環境から来たと言ってその事実がここで通用するとは考えてはいけませんし、逆にターゲットにされる可能性もあります。とにもかくにも目を覚まされたという感覚が強いですね。

長年カンボジアで走り続けるリモイ氏。彼の仕事上の喜びとは。

 好奇心旺盛な性格なのでこの仕事に向いていると思います。商業調査に関わっていると様々なジャンルの会社と出会います。いろんな業種に接する機会があり、バラエティ豊かで毎日とても楽しいです。またカンボジア人スタッフが仕事を通して成長する姿を見るのが喜びでもあります。

進出する日系企業へのメッセージ

日本の技術や文化に興味があるリモイ氏。日系企業に対する思いとは。

 まず第一に、進出する際に長い目で見ていますか? 成長の余地はある国ですが市場規模はアジアの中では小さいです。開拓者メリットはありますが、何事も時間がかかるという覚悟をしておいた方がいいと思います。また自社の成長を考えるだけではなく、この国の消費者や経済を同時に成長させていくというCSRを絡めた意識をもって取り組んだ方が成果は見えると思います。消費者や経済が安定的に成長していくことにより会社は将来的に利益を上げられるようになりますからね。あとは外の人の目線やアイデアが必要なので外資の参入は大歓迎です。日本はJICAなどの公的団体も民間も積極的に投資をしてきていると感じます。
 最後にローカル経済と消費行動を知る人の助言を受ければ成功する確率はかなり上がると思いますよ。

インドチャイナリサーチ
Managing Director
カール・リモイ Kark Johan Remoy
ノルウェー育ち。大学をスコットランドで過ごし、卒業後ノルウェーの会社に就職。10年後に仕事を辞め、旅の途中で出会ったカンボジアでその魅力に惹かれ移住を決意。2011年に、Research Directorとして同社に入社後、現在ではManaging Directorとして多忙を極める日を送っている。

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