カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

業界別インタビュー

2015年7月20日

カンボジアの医療リスク[医療・医薬]クレア・ウェビン

医療・医薬

インターナショナルSOSプノンペンクリニック International SOS Phnom Penh Clinic
Medical Doctor: クレア・ウェビン Claire Uebbing
日本人スタッフが常駐し、24時間365日診察が可能、在住者の緊急時の心の拠り所となっているインターナショナルSOS、プノンペンクリニック。今回は、そのドクターであるクライレ氏にカンボジアの医療について伺った。(取材日/2015年7月)
インフルエンザや腸チフスの予防接種を

――さっそくですが、カンボジアの医療について、教えて頂けますか?

クレア・ウェビン(以下、ウェビン) はい、今日においてもカンボジアは医療的にはリスクの高い地域とみなされ、現地人、旅行者、在住者を問わず医療水準の差を垣間見る機会があります。他の開発途上国でもそうであるように、一番多い病気は呼吸器疾患と下痢症です。それぞれ、空気の質が低いことや衛生状態が不十分なことが原因です。呼吸器感染はばい菌やウィルスが引き起こします。汚染や埃を含んだ空気は病状を悪化させ、さらにカビ、花粉、埃アレルギーのある人は鼻や副鼻腔に炎症が起こり、風邪を引きやすくなります。2014年においては、カンボジアでは鳥インフルエンザおよび新型インフルエンザを含むインフルエンザの流行はありませんでした。ですが、インフルエンザ流行時に健康でいるために、予防接種を年に一度受けることをお勧めします。

 下痢症にはさまざまな原因があり、大腸菌、サルモネラ菌、腸チフスなどの細菌とジアルジアやアメーバーなどの寄生虫が代表的です。清潔でない食べ物から下痢は起こり、こまめに手洗いをすることも大切です。調理済みの料理を放置したり、料理人が十分に手洗いをしない、調理用具を十分に洗わない飲食店の利用は避けましょう。腸チフスの予防接種を受けることもお勧めで、一度の接種で3年間有効です。

何よりも安全第一を心がける

――なるほど。食べ物以外にも気をつけるべきことはありますか?

ウェビン はい。まず、健康被害がすべて感染から起こるわけではありません。若い世代における死亡の主な原因は外傷です。カンボジアへの訪問経験者はお気づきかと思いますが、バイクの往行が激しく、飲酒運転は一般的で、また道路状態も整備されていないなど、交通事情がいいとは言えません。何よりも安全第一を心がけるのをお勧めします。バイクや自転車に乗るときはヘルメットを着用し、道の逆送や最高速度での運転など見かけてもまねはしないでください。出来る限り、夜の運転も避けるのをお勧めします。道を歩いて横断する時は目をしっかり開けて常に左右両方向を確認し、堂々と道に踏み出し、ゆっくりと規則正しいペースで渡ってください。

誘惑に負けないように

――最後に、カンボジアにいる日本人の方にアドバイスをお願いします

ウェビン ご自身の健康にくれぐれも気をつけて、カンボジアでの時をお過ごしください。外国にいるからと羽目を外さずに、日本では手をつけないような誘惑に負けないように気をつけてください。ここカンボジアにはアルコール、タバコ、麻薬、女性などの誘惑があり、事実、病気、中毒、モルヒネやヘロインなどの過量服用から引き起こすトラブルも多くあります。
カンボジアは新しい文化と伝統に触れられる素晴らしい国です。前述のアドバイスをご参考の上、ここでの滞在を満喫してください。(取材日/2015年7月)


インターナショナルSOSプノンペンクリニック International SOS Phnom Penh Clinic
事業内容:専門医常駐、家庭医学全般、予防接種、健康診断、医療搬送など
URL: http://internationalsos.co.jp/clinic/cambodia.html

その他の「医療・医薬」の業界インタビュー