2015年7月1日
(前編からの続き)
――今後はどのように成長していくか、ご見解をお聞かせください。
ブン・モニー(以下、ブン) 中小企業や個人がビジネスをスタートするチャンスとそのために資金を必要とするニーズがあるので、2015年は、2014年の伸び率と同じくらい伸びると思います。
今後、マイクロファイナンスに対して、私の見解はポジティブです。カンボジアのマイクロファイナンス業界は他国の例と比較しても成功していると世界から評価されています。遠い地方に住んでいても、認可されたマイクロファイナンス機関からお金を借りることができるようになっています。
昔は銀行やマイクロファイナンス機関は地方には出店しませんでしたので、借りるためには都会に出てこなくてはなりませんでしたが、今はみんなの側にあります。カンボジア全体に広がっているのは誇るべき成功の一つです。金融機関は血液と同じで、経済発展のためにはお金が流れていなければ、どこまで流せるか、流せたところは生きていける。なので、カンボジア経済は発展していくと思います。
しかし、カンボジアの国民は経済の教育がない、金融についてよく知らない。貸付残高が増加することを不安視する人もいます。でも、経済の考え方では、返済能力がある者に貸しているので、貸付残高が大きいほど経済は大きくなるということです。
――マイクロファイナンス業界の課題などはありますでしょうか。
ブン そうですね。お金や物を貧しい人たちに与えることは物乞いを作ることであり、賛成しません。なので、マイクロファイナンス機関として、貧しい人の生活を変えるために、お金を稼げるようにするためにお金を貸すというのが目的です。ですので、多くの方からカンボジアのマイクロファイナンスを応援して欲しいです。ですけど、今現在、認可されていないマイクロファイナンス機関もあり、国民を助けず、高い利息で苛めている機関もあります。頑張っているマイクロファイナンスに悪い影響を与えています。
今までは政府などはあまり把握していませんでしたが、今はこの現状を理解してもらっており、解決策を検討中です。2ヶ月間調査しただけで、認可されていない機関が約400社もあることがわかり、認可機関は事態を深刻に見ています。一つの機関で100万ドル以上の資金がないなら赤字です。なので、認可されていない10万、20万ドルの家族経営のマイクロファイナンス機関が赤字でないとするなら、それはレートを不当に高いなどにより国民を苛めなければ黒字にはならないでしょう。
――マイクロファイナンス業界に対しての今後の抱負などをお願いします。
ブン 私はこれから業界に期待しています。カンボジアの国民を助け、経済を成長させるものだと思います。カンボジアにマイクロファイナンスが入ってきて約20年経ちましたが、その間に多くのマイクロビジネス、個人事業主を支援してきました。39社の認可機関には、大きいマイクロファイナンス機関が10社あり全体の90%のシェアを持っていて、10社の中の4社が70%のシェアを持っています。これからは中堅・中小企業が重要になってきますから、彼らの良きパートナーとなるために、私たちも努力しなければなりません。
マイクロファイナンスの目的は貧しい国民を助けること、彼らの生活を変えていくことです。カンボジアは年間1000ドル程度のGDPしかなく、最貧国の中の一つですが、そこから抜け出したいと願っています。早くGDPが4000くらいになってもらいたいですね。現在は国民の60%がマイクロファイナンスを利用して生活を変えようとしています。一人の国民の平均貸付残高は1200~1300ドルとなっています。
――日系企業に対してメッセージをお願い致します。
ブン 日本人の投資家はウェルカムです。サタパナは今まで欧州の企業に協力してもらいましたが、今は日本企業に協力をしてもらっています。私たちは2012年マルハンジャパン銀行に買収され、一番大株主となっており、もうすぐ100%になります。
日本企業がカンボジアの企業と一緒にやっていくこと、多くの日本企業がカンボジアに入ることは私たちにとって誇りです。なぜなら日系企業は法律や技術、サービスなどで信頼できますから、彼らがカンボジアを信頼して投資してくれることが誇りなのです。(取材日2015年3月)