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業界別インタビュー

2015年7月6日

現地の通信事業者との大きな違いとは(前編)

通信・IT

NTTコミュニケーションズ・プノンペンオフィス
カントリーマネージャー: 宮崎 一 Miyazaki Hajime
利用者と設備の比率をいつも管理し、24時間のうち一番のピーク時でも混雑しない設計ポリシーを貫くNTTコミュニケーションズ。カンボジア日本人商工会に登録されている企業152社が同社を利用していることからも信頼と実績がみてとれる。カントリーマネージャーの宮﨑氏から、サービスの特徴や通信業界などについて伺った。
ワン・ストップ・サービスにより提供

――まず、簡単にプノンペンでの御社の活動について教えてください

宮崎 一(以下、宮崎) NTTコミュニケーションズ プノンペン支店は2010年7月に、NTT コミュニケーションズ・タイランドの支店として設立しました。2011年にはISP(インターネットサービスプロバイダ)のライセンスを取得し、インターネットや国内・国際の専用線サービスを、現在120回線近くの法人のお客様に提供しています。
 私たちの強みは、日本や近隣国タイなどから進出される企業様に対して “ワン・ストップ・サービス”として、回線(インターネットや専用線)も含めたIT機器の導入や保守を提供できるところにあります。すでに進出済みの法人の方々にも、既存システムの改善提案、導入後のサポート、故障受付と対応、レポート作成などもサービス提供しております。例えばオフィス・工場の無線LANやテレビ会議、PBX、サーバ、セキュリティー機器といった、ITインフラの構築を得意としています。日本の情報システム部との専門的なやり取りも現地にいるお客様に代わって対応できるところも強みです。

非常に競争が激しいマーケット

――次に、カンボジアの通信市場の現状について教えてください

宮崎 カンボジアは規制が非常にオープンな分、外資系企業が多く参入し非常に競争が激しいマーケットになっています。携帯電話6社、インターネットが実質20社程度と、人口1531万に対して、サービス事業者がとても多いのが特徴です。
 近年急速に通信(携帯やインターネット)が普及したため、比較的新しい設備・技術の導入が進み発展しました。例えば、企業向け通信ではほとんどのアクセス回線が光ファイバー化されており、タイではまだ半数以上が銅線のアクセス回線を使っているのとは対照的です。
 一方、過度な価格競争のためサービス事業者が利益をあげにくい構造にもなっています。設備産業という観点からすると、利益を設備投資として再投資し品質を上げるという部分のサイクルが回りにくくなっており、最近は携帯電話の通話品質や低下しているようにも見受けられます。

現地の通信事業者との大きな違い

――では、どのようにインターネット事業者を選べばいいのでしょうか? また御社と他社との違いを教えてください。

宮崎 通信事業者は数が多く、選ぶのは難しいと思います。似かよったプランを提供するサービスも実際使用してみなければスピードがどれぐらい出るかわかりません。なぜ、プラン通りのスピードがでないのか。それは、広告の表現の仕方によります。 例えば、光ファイバーを導入した際、何メガというようなプランを契約するのですが、それはオフィスや自宅から最寄りの通信局までの速度であって、そこから先の速度については考慮していません。
 しかし、その先のネットワークの設備によって速度は変わってきます。一般的にカンボジアの通信事業者で安い価格を売りにしているところは、局から先の設備が顧客の数に比べて貧弱である場合が多く見受けられます。たくさんの利用者が速度を共有するため、混雑する時間になると“繋がらない”ことが発生します。一般的なカンボジアの通信事業者では100%を超えるトラフィックが来るような設計になっており、仮に100%を超えるデーターを送受信しようとすると、超えた分のデータを捨てる仕組みにできています。イメージとしては、バケツリレーのようなもので、バケツから水があふれた分は捨ててしまうのです。そして、捨てた分はもう一度送りなおす仕組みになっています。ですので、混雑している時間帯にバケツが小さい通信業者を利用すると、水がたくさん入った分捨ててしまうので、何回も再回送する、いつまで経ってもファイルが開けない、メールが送れないという状況に陥ります。
 NTTコミュニケーションズでは、インターネットの速度が低下しないよう24時間NOC(ネットワークオペレーションセンタ)にて、トラフィックの混雑状況を常にモニタリングしています。また、トラフィック状況に応じて、バックボーン(インターネットが国際に抜ける入り口)の調整をしているところが、現地の通信事業者との大きな違いです。(後編へ続く)(取材日/2015年3月)


NTTコミュニケーションズ・プノンペンオフィス
事業内容:長距離・国際通信事業、IPをベースとしたソリューションサービス
URL: http://www.th.ntt.com/jp/

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