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業界別インタビュー

2015年7月8日

現地の通信事業者との大きな違いとは[通信]宮崎一 (2/2)

通信・IT

NTTコミュニケーションズ・プノンペンオフィス
カントリーマネージャー: 宮崎 一 Miyazaki Hajime
利用者と設備の比率をいつも管理し、24時間のうち一番のピーク時でも混雑しない設計ポリシーを貫くNTTコミュニケーションズ。カンボジア日本人商工会に登録されている企業152社が同社を利用していることからも信頼と実績がみてとれる。カントリーマネージャーの宮﨑氏から、サービスの特徴や通信業界などについて伺った。
他国より海外接続の回線は混みやすい環境にある

(前編からの続き)
―― 現状はよくわかりました。将来的に通信業界の改善は見込めるのでしょうか

宮崎 一(以下、宮崎) 通信事業者それぞれにポリシーがありますので、一概に何が悪いとは言えません。良いところもあれば悪いところもありますし、利用者の数によって動的に変わります。今月良いからといって、来月以降はわかりません。設備を導入したばかりのころは、各利用者が設備を使用できる比率が高いため、速度は速いと感じるでしょう。しかし、利用者が増え設備を追加していかない事業者の場合はいずれ遅くなるでしょう。NTTコミュニケーションズでは、利用者と設備の比率をいつも管理しており、近隣国のタイも同じですが、必ず24時間の内の一番ピーク時でも混雑しないような設計ポリシーを貫いています。こういったことは法律で決まっている訳ではありませんので通信事業者に依存しているのが現状です。
 また、トラブル時の対応も大きなポイントです。インターネットが繋がらず、コールセンタに電話をしたところクメール語(カンボジアの母国語)の対応だった、復旧の目処を示すガイドラインやエンジニアが派遣されるのかもわからず待つしかなかった、といった話をよく聞きます。 現在インターネットはすべてのビジネスに必須とされているため、そういったことからも冒頭に申し上げた通り、多くの法人の方々に弊社のインターネットを利用していただいているのかと思います。現在(2015年3月)のカンボジア日本人商工会に登録されている企業152社の数から見ても皆様に期待を掛けていただいているのだと思っています。

 また、カンボジアの場合、カンボジアは国内にコンテンツが少ないので、必然的に海外のWEBサイトを見ることが多くなります。アメリカのIT大手、グーグルやフェイスブックなどはカンボジアの中にサーバがないため、これらのWEBサイトに接続する場合は、すべて海外接続になってしまいます。つまり、他国より海外接続の回線は混みやすい環境にあるのです。海外への接続というのは、通信事業者にとっては大きなコストとなります。なぜなら海底ケーブルを持っている大規模な通信事業者から海外接続のための通信を購入しなければならないからです。そこがボトルネックのひとつとなっていると思います。

24時間の監視センターをカンボジアにも設置したい

――将来の展望や今後の活動について教えてください

宮崎 昨年、NTTコミュニケーションズは海底ケーブルをカンボジアへ引き上げるとニュースリリースしました。現在、海底ケーブル引き上げに向け、カンボジアのパートナーと共に準備を進めています。実は、インドシナ半島で海底ケーブルが物理的に上がっていない国は、海に面していないラオスを除いてカンボジアだけです。国の安全保障を考えると、現在使用しているベトナムやタイ経由で海外へ繋がるルートはあまり良いとは言えませんから、カンボジア政府にとっても、カンボジアが海外へ直接広がるということは悲願であると思います。海底ケーブルが上がり、海外への接続ルートを各通信事業者が取り扱うようになれば、カンボジアのネットワーク事情の全体的な底上げにも繋がると思っています。


NTTコミュニケーションズ・プノンペンオフィス
事業内容:長距離・国際通信事業、IPをベースとしたソリューションサービス
URL: http://www.th.ntt.com/jp/

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