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業界別インタビュー

2014年12月24日

日本の学校に即編入・転入可能な日本人学校がカンボジア・プノンペンに来春開校[教育・学習支援]手束耕治

教育・学習支援

日本人学校設立準備委員会
委員長: 手束 耕治 Tezuka Kouji
家族でカンボジアに赴任している家庭にとって子弟の教育は大きな問題だ。カンボジア・プノンペンに、来春待望の日本人学校が開校する。準備に追われる日本人学校設立準備委員会委員長の手束耕治氏に、カンボジアでの教育事業と開校する日本人学校について話を伺った。
カンボジアでの日本人教育の現状

カンボジアの在住日本人数は大使館発表で2100人。ここ3、4年で倍増しています。商工会も約3倍で現在180社を超えています。お子様を帯同する家庭も増えていますが、日本人学校がないためにご家族だけ帰国するケースもあるようです。
現在は補習授業校で毎週土曜日に授業が行われています。もともと補習校はノースブリッジの一部屋を間借りしてスタートしました。そのあと一軒家を構えるようになり、その後、ハノイ通り近くにある日本人学校に移転し、補習授業を行っています。2012年に一度、日本人学校の立ち上げ準備が行われたのですが、当時はまだ通学予定の生徒数も少なく実現しませんでした。

日本人学校のメリット

メリットしては日本の学校に、即編入、即転入可能ということ。これが大きいですね。初年度である今年の4月の入学予定者ですが、40人から50人を予定しています。今年11月に文科省が現地視察実施し、12月11日には正式に開設が認可されました。すでに備品調達などを済ませております。スクールバスも運行することになっています。
やはり家族を帯同しての移住のポイントは、学校、病院、生活用品になります。病院も生活用品も日系で取りそろえることが可能なので安心。そして学校は日本人学校で解決です。ただ、日本人学校は小・中学校のみなので、高校生は日本へ帰るか、他国へ行くしかないのが現状です。

日本人学校以外の選択肢

ほとんどは、インターナショナルスクールです。まともなのは10校くらいしかないかもしれません。ISPPとノースブリッジがトップ2で、授業料は年間1万5000ドルとかなり高額。ただ、インターナショナルバカロレア制度対象校は、この2校のみとなっています。続いて、ナンバー3が、i CAN British International Schoolで授業料は7000ドル。続いて、ブリティッシュインターナショナルスクールの5000ドルとなっています。
去年の8月にアンケートとったところ、日本人学校が必要という声が圧倒的だったんです。入学希望者も数多くいました。ちなみに日本人学校は私立学校になり、授業料は年間5000ドル程度を予定しています。先生の半分が文科省から派遣されることになっています。

カンボジア人の教育事情

カンボジア人の入学率は、小学校で95%超、中学校が40%、そして高校は20%、大学が3%となっています。ベトナムでは中学校の入学率が80%を超えていますから、それを考えるとカンボジアでの教育水準はかなり低いと考えられます。日系の製造業の工場で働く労働者の内2割は読み書きができないといわれており、仕事を教える前に、まずは識字教育から行われているという話を耳にしたことがあります。
大学に関していえば、国立大学は単科大学。私立は玉石混合で、大学というより専門学校に近いイメージでしょうか。大学の授業料は年間500ドルほどで、英語やPCのスキルが人気になっています。就職に有利とはいえ、大学を卒業してもレベル的に厳しい状況があります。
このほか、カンボジア人も通っている中華学校は、年間1000ドルくらいの授業料です。ローカルの小中学校は無料で2部制。日本人も通うことは可能ですが、レベルは相当低いので、他の国では通用しないと思います。(取材日/2014年8月)


日本人学校設立準備委員会
事業内容:日本人学校の開校準備・運営
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